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モバイルワークの「柔なスタイル」を生かしつつ在宅型テレワークに最適化シリーズ「私とテレワーク」(3/3 ページ)

自宅で本格的に仕事をできるように、テレワーク環境を構築するにはどうしたらいいのか。PC USERには、以前から自宅で仕事しているライター諸氏が多数いる。彼ら彼女らからその極意を伺っていく。フリーランスライターの井上晃氏に伺った。

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変化への対策は撮影環境の強化

 さて、冒頭でほのめかした通り、家にずっといるから働きやすくなった点がある一方、かえって働きにくくなった点もいくつかある。

 例えば、報道発表会のストレートニュースを速報記事として執筆する機会は減った。そもそも筆者の働き方として、これまでも速報記事を依頼される頻度はさほど高くなかった。しかし、媒体の編集者もオンライン経由で直接情報を視聴できるようになったことで、媒体のお抱えだったり専門性の高い案件を除き、遊撃手型のフリーランスライターが手伝ったりする必然性はさらに減ったと思う。少なくとも、編集者の代わりに現場を訪れて、新製品の現物に触るという代行作業は、半年前に比べると激減した。

 この状況を放置するのはまずいので、対策を兼ね、投資として自宅での撮影環境の改善を行った。要するに、ストレートニュースの需要が減った分は、製品を試用してレビューやコラム記事として書く頻度を上げて補う作戦だ。実は、執筆業とはいえ、筆者の場合、業務の1〜3割程度を写真撮影作業が占めている。となると撮影に関する作業効率を上げることが急務だった。

井上晃
押し入れを利用した簡易撮影ブースを仕立てた。できはさほど良くないが、素早く及第点の質で撮ることが目的なので問題なしだ

 具体的には、押し入れを改造して、ブツ撮り(小物の撮影)が行いやすい撮影ブースを設けた。ネットショッピングで、突っ張り棒と背景布を購入して常に白バック/黒バックを再現できる環境を作った上で、三脚と延長アーム、自由雲台、レリーズ、純正のフラッシュなどを追加購入した。

 以前から使っていたLEDライトも固定し、昼夜問わず必要なタイミングで素早く撮影を行える状態で維持している。撮影クオリティーに不満がないわけではないが、5万円程度の追加投資で済んだし、1カ月だけでお釣りが出るくらいに作業ははかどっているので、やってよかったと思っている。

モチベーションの維持も大きな課題

 他には、外出頻度が減ったことで、気分の切り替えがしにくくなったことも問題だった。モバイルワークが中心だと、仕事場所が半強制的にコロコロ変わるので、取材会場やカフェでの待機時間、電車での移動時間など、環境とともに強制的に意識を切り替えられた。

 しかし、自宅で淡々と作業が続く環境では、こういった意識の切り替えは難しい。集中力に満ちあふれた幸運な日には最高の環境だが、同時にモチベーションの低い日にはかなり辛い。

 対策としては、作業や気分ごとにBGMを切り替えて再生したり、気分が乗らないときには場所を変えて作業したりするように心がけている。BGMに関しては、MacBook ProでApple Musicを流すシンプルな運用に落ち着いた。一時期、MacBook Proとワイヤレススピーカーを連携して部屋の前後から音が聞こえるように試したのだが、その都度設定を切り替えなければならないのがおっくうになりやめてしまった。

井上晃
息抜きで場所を変えるときは、iPad ProとMagic Keyboardのコンビが役に立つ

 場所を変える際は、MacBook Proに接続したケーブルを外してリビングに移動するだけだ。場所に縛られずに作業ができるように選択したスタイルが、在宅勤務でもうまく機能している。ちなみに、執筆機材を変えて気分転換を図ることもあり、サブマシンとして運用しているiPad Pro & Magic Keyboardを選択する日も割と多い。

 さらに、下調べの情報収集やアイデア出し、原稿の下書きなどは、ソファーやベッドに寝っ転がりながらiPhoneで行うこともあり、結局モバイルワーカー時代の習慣は形を変えつつ残っている。

井上晃
Amazonでデロンギのエスプレッソ・カプチーノメーカー 「EC152J」を購入して愛用中

 関連したところでは、外出自粛で気軽にカフェに行けなくなったせいもあり、カプチーノを飲みたさにデロンギのエスプレッソマシンも購入した。エントリークラスの機種なので、価格は1万円ちょっとで済んだ。どうしても気分が晴れない時や、強制的に仕事モードに切り替えたいときには、自らカプチーノを入れて仕事部屋に持ちこむことにしている。未経験からのスタートだったが、1カ月も経つ頃には店で飲むのと同じくらいのクオリティーにはなったはずだ。そろそろ豆を買い足さねばならない。

 長引く在宅勤務の中、シンプルな機材でも不自由に感じることは特にない。しかし、それでも市場の変化にどう適用すべきか、そして、コンディションやモチベーションをどう維持し続けるかに関しては、試行錯誤が続く毎日だ。

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