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Lenovo傘下入りから1000日 富士通クライアントコンピューティングの新展開は?(1/2 ページ)

1月25日、富士通クライアントコンピューティング(FCCL)が中国Lenovo、富士通、日本政策投資銀行の3社合弁体制に移行してから1000日目を迎えた。その記念式典の発表内容から、注目すべき項目をピックアップしてお伝えする。

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 富士通のPC事業会社だった「富士通クライアントコンピューティング(FCCL)」は2018年5月16日、中国Lenovo、富士通、日本政策投資銀行の3社による合弁体制に移行。出資比率ベースでは「Lenovo傘下」となった。

 合弁体制に移行してから“1000日目”を迎えた2021年1月25日、FCCLがそれを祝う式典「FCCL DAY1000 Memorial Reception」を開催した。同社の齋藤邦彰社長のプレゼン内容をベースに、注目すべきポイントをまとめた。

齋藤社長
FCCLの齋藤邦彰社長
パソコン
富士通のPC事業は1981年に発売された「FM-8」に始まった。FCCLはその歴史を受け継ぐ企業でもある

2020年は「マイナス成長」を見込んでいたが……

 FCCLは2016年2月1日、法人向けの販売を除く富士通のPC事業を引き継ぐ形で誕生した。その後2018年5月16日に、先述の通りLenovoを筆頭株主とする合弁体制に移行している。

 分社後はもちろん、合弁体制への移行後も企業としてプラス成長を続けてきたFCCLだが、同じくLenovo傘下にあるNECパーソナルコンピュータ(NECPC)と同様に、2020年度はマイナス成長を見込んでいたという。齋藤社長は特に触れなかったが、2019年10月の消費税率の引き上げとWindows 7の延長サポート終了に伴う「駆け込み需要」に対する反動減を予測していたものと思われる。

 しかし2020年初頭から、新型コロナウイルスの感染が拡大した。それに伴い、テレワーク(遠隔勤務)やテレスクール(遠隔学習)で使うためのPCへのニーズが高まった。これが「追い風」となり、先述の反動減を補える可能性があるようだ。ただ、2020年単年の実績は開示されなかった。

 齋藤社長は「これからも、何が起こるか分からない。ただ、どのような状況でも、お客さま(ユーザー)の状況に寄り添って貢献していく」とした。

ビジネス
富士通のPC事業から分社してからプラス成長を続けてきたFCCL。2020年はマイナス成長を見込んでいたが、新型コロナウイルスによる市場環境の変化でプラス成長の可能性もあるようだ

「生活者発想」と「チャレンジ精神」で新しいFMVを

 FCCLのPC開発では「生活者発想」と「チャレンジ精神」を大切にしているという。簡単にいえば、生活者発想は日々の生活者の目線で必要となる製品を作るという意味で、チャレンジ精神はユーザーのニーズを検証した上で先読みした製品を世に送り出すという意味だ。

 前身の富士通時代から、FCCLは「時代を先読みしすぎた製品」を世に送り出すこともあった。これは、「とがった製品が技術力を高め、(結果的に)お客さまの『快適』につながる」という信念に基づくもののようだ。齋藤社長も、FCCLの従業員に「一度の失敗は『失敗』ではなく『経験』だ」と機会のある度に語りかけているという。

印象的な製品
富士通のPC「FMV」といえば、エッジの“効きすぎた”製品を世に送り出すイメージも強い。そのような製品は商業的な成功につながらなかったとしても、その技術が後の製品に生かされることで、品質の全体的な底上げにつながるという

 この「チャレンジ精神」を後押しするのが、Lenovoとのパートナーシップだ。Lenovoのグローバルベースの調達力とスケールメリットをPC開発に生かしているという。例えば、13.3型モバイルノートPC「LIFEBOOK UH」の最新モデルでは、さらなる軽量化に向けた技術開発に集中できたようだ。

 社内の働き方改革を通して、自由で開かれた開発環境の構築にも努めているという。

協業
2016年2月にスタートしたLenovoとの合弁体制は、FCCLのチャレンジ精神の助けとなっているという
最新
最新のLIFEBOOK UHシリーズは、Lenovoとの合弁体制を生かして、世界最軽量を極めることができたようだ
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