検索
ニュース

「GIGAスクール構想」の推進に向けて――NECが教育ICTプラットフォームを強化(2/3 ページ)

NECが教育ICTに関する説明会を開催した。同社が展開する教育クラウドサービスやハードウェア製品に関する近況や新展開が紹介された中で、興味深い話も飛び出した。

Share
Tweet
LINE
Hatena

個別最適化された学習環境には「紙」と「デジタル」の融合が重要

日教販加藤氏
説明会にゲストとして登壇した日教販の加藤幸彦加藤幸彦部長

 紙とデジタルの教材をワンストップ提供するサービスは、日教販との協業で提供される。同社は教育用図書の老舗取次会社で、各都道府県の教科書供給所には教科書や副教材類を、書店には学習参考書や辞書を卸している。NECと同社は、OPEを通したデジタル教材の販売やEdTechコンテンツの構築、販売において提携している。

 今回の説明会でゲストとして登壇した同社デジタル事業部の加藤幸彦部長は、GIGAスクール構想の進展によってデジタル教材や学習コンテンツの利活用が進むとした上で、その過程でOPEのような学習プラットフォームの重要性が増すと語る。

 学習プラットフォームを通して、児童/生徒だけではなく学校や教員、教育委員会などが個別のIDとパスワードでデジタルコンテンツをスムーズに利用できるようになる。教える側(学校や教員)の立場から見ると、児童/生徒の学習状況を把握しやすくなるので、校務負担の軽減も期待できる。

 日教販は、OPEに全教科型AIドリル教材、英会話教材やプログラミング教材を提供している。一部はOPEのフリーミアム対象にもなっている。2021年度からは、電子辞書アプリや学習支援ツールといったEdTech教材群の提供も開始するという。さらに、教育出版各社のノウハウが凝縮された学習参考書のデジタル化も支援し、OPEを通して提供できるように取り組む。OPEにしかない学習コンテンツを用意することで、OPEの優位性を高める狙いがある。

 今後、児童/生徒に1人1台の端末が行き渡ると、教科書や教材のデジタル化が大きく進むものと思われる。しかし、同社は全ての教材が100%デジタルになるとは考えていないという。児童/生徒に個別最適化された学習を担保する観点から、紙とデジタルを融合した最適な学習環境の構築と、それに伴う学校への学習教材の提供が重要になると考えているようだ。

 先述の通り、同社は教材や参考書などを流通させるサービスネットワークを有している。これを活用して、同社はOPEを採用する全国の学校に対してデジタルと紙の教材をワンストップで提供する。特定のサービスや教材に縛られず、多様な学習教材をデジタルでも紙でも提供できる流通網を構築することで、誰1人取り残すことなく教育を行き届かせるという。

学習コンテンツ
2021年度からは「GIGANTES」「ミライシード」「Navima」などがOPEを通して利用できるようになる
日教販
日教販の全国ネットワークを活用してデジタルと紙の教材のワンストップ提供を行う

「ダッシュボードサービス」で学習状況を可視化

 個別最適化された学習という観点では、OPEの機能強化に盛り込まれたダッシュボードサービスも重要な役割を果たす。

 このサービスを使うと、児童/生徒の学習記録やテストの結果を分かりやすく一覧表示できる。児童/生徒の学習状況の経年変化や弱点を客観的に把握することで、より個々人に合った学習を進める一助になる。

 このサービスでは、採択した教材の利用率をチェックすることもできる。学校の管理職や教育委員会が教材の「使われ方」を把握する上で便利だ。教材の効果的な使い方を広く教員に知らせる目的にも使えるという。

ダッシュボードサービス
2021年度に実装されるダッシュボードサービスを使えば、児童/生徒の学習状況を可視化できる

 なお、NECはOPEの運用を総合的に支援するサービス「学校ICT総合サポート」を有償で提供している。このサービスを契約すると、OPEの基本機能やGoogle Workspace for Educationの使い方などを質問できる「ヘルプデスク」を利用したり、PCやサービスの運用/設定サポートを受けたりできる。

 ヘルプデスクや運用/設定サポートは、「先生(教員)」「教育委員会」「児童/生徒」「保護者」に対して提供されている。従来、児童/生徒からの問い合わせはメールでのみ受け付けていたが、2021年4月からは他の方法(電話、FAX、支援員とのチャット、支援員によるリモートサポート、チャットボット)にも対応する。高等学校でも学習用端末の「1人1台」環境の整備が進むことを見越して、児童/生徒が“直接”のサポートを受けられるようにすることが目的だという。

学校ICT総合サポート
学校ICT総合サポートは、受け付ける問い合わせやサポートの内容に応じて「N1」「N3」「N5」の3レベルが用意されている。数字が大きいほど、対応する問い合わせ/サポートの範囲が広がる仕組みだ
範囲拡大
高等学校におけるGIGAスクール構想の進展を見越して、2021年4月から児童/生徒からの問い合わせ方法を拡充する

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る