Googleが教育機関向けの「G Suite」を「Google Workspace」に改称 サービスを拡充
ビジネス向けに続き、Googleが教育向けのクラウドサービスを「G Suite」から「Google Workspace」に改称することになった。改称に合わせて新しいエディション(サービス体系)を4月から投入し、2022年1月(既存ユーザーは同年7月)からストレージポリシーの改定を行う。
Googleは2月17日(米国太平洋時間)、同社のイベント「Learning with Google」の開催に合わせて、教育機関向けに提供しているクラウドサービス「G Suite for Education」を「Google Workspace for Education」に改名することを発表した。合わせて、サービスの拡充予定も明らかとなった。
Google Workspace for Educationの概要
Google Workspace for Educationは、教育機関のニーズに合わせて4つのエディション(サービス体系)を提供する。新しく追加されるエディションについては4月中旬から利用できる。
Education Fundamentals(提供中)
Education Fundamentalsは、従来「G Suite for Education」と呼ばれていたサービスである。ライセンス料は無料で、主に以下のサービスを利用できる。
- Google Classroom
- Google Chat
- Google Meet
- Gmail
- カレンダー
- ドライブ
- スライド
- ドキュメント
- スプレッドシート
- フォーム
- Google Jamboard
Education Standard(4月中旬から提供)
Education Standardは、Education Fundamentalsのセキュリティと遠隔管理機能を強化したものとなる。ライセンス料は1ユーザー当たり月額30円で、Education Fundamentalsの全機能に加えて、主に以下の機能を利用できる。
- 「セキュリティセンター」を利用した管理
- 高度な監査ログの利用
- 高度な遠隔管理機能
Teaching and Learning Upgrade(4月中旬から提供)
Teaching and Learning Upgradeは教職員向けの追加機能で、Education FundamentalsまたはEducation Standardの教職員用アカウントとひも付けて利用する。ライセンス料は1ユーザー当たり月額480円で、主に以下の機能を利用できる。
- Google Meetの追加機能
- 独自性レポートの無制限利用
Education Plus(提供中)
Education Plusは、従来「G Suite Enterprise for Education」と呼ばれていたサービスで、Google Workspace for Educationの最上位バージョンという位置付けだ。ライセンス料は1ユーザー当たり月額50円で、生徒用アカウント4つごとに教職員用アカウントが1つ無料で付帯する。このライセンスでは、Education Fundamentals/Standardの機能に加えて、主に以下の機能を利用できる。
- Google Meetの追加機能
- 独自性レポートの無制限利用
- 24時間365日対応のサポート
ストレージポリシーの変更
従来のG Suite for Educationでは、クラウドストレージの容量を無制限(4人以下の組織の場合は1ユーザー当たり1TBまで)としていた。
ストレージリソースの公平利用の観点から、Google Workspace for Educationでは2022年1月(既存ユーザーは同年7月)から新しいストレージポリシーを適用する。具体的には、以下のようにストレージの利用条件が変更される。
- ストレージ容量は原則として1ドメイン当たり100TBまで
- 管理者/代表者は割り当てられた容量の範囲内で分配を変更可能
- Education Plusには1アカウント当たり20GB、Teaching and Learning Upgradeには1アカウント当たり100GBの追加ストレージを付与
既に使っている教育機関の管理者/代表者は、現時点において対応は必要ない。ポリシーの変更に先立って、Googleは2021年後半に新しいストレージ管理ツールを提供する。このツールを使えば、今後のストレージの使用方法と割り当て方法の検討を簡単に行えるという。
なお、アカウント数の多い教育機関、あるいは新ポリシーの適用によってストレージ面で影響を受ける教育機関については、Googleから無料の追加ストレージの提供を含めた対応策が提案される予定だ。
2021年1月(既存ユーザーは同年7月)から、ストレージ容量は原則として1ドメイン当たり100TBまでとなる。一部のエディションを契約している場合はアカウント数に応じた追加容量を割り当てる他、ポリシー変更によって影響を受ける教育機関には個別に案内が行われる予定となっている
教育向けツールの新機能
Google Workspace for Educationで利用できるツールについては、機能の追加や改善が随時行われている。今回の発表に合わせて、2021年内に予定されているツール類の機能追加/改善の内容の一部が公開された。
Google Classroom
児童/生徒の学習指導と管理を行えるWebサービス「Google Classroom」では、2021年後半をめどに以下の機能追加/改善を予定している。
- Student Engagement Tracking機能の追加(無料)
- モバイルアプリにおけるオフライン機能の追加(無料、Android版アプリから対応)
- モバイルアプリにおける画像編集機能の改善(無料、Android版アプリから対応)
Student Engagement Trackingは、児童/生徒の学習状況を一括で把握するための教職員向けの新機能だ。学習が進んでいない、あるいは遅れている児童/生徒の状況を確認しやすくすることで、授業の進行を円滑化できるという。
モバイルアプリにおけるオフライン機能は、自宅にインターネット回線がない家庭、あるいはインターネット回線の遅い家庭に暮らす児童/生徒を想定した機能だ。学校で課題を一括ダウンロードし、帰宅後にオフラインで課題をこなし、翌登校日に学校で課題アップロード――といった使い方ができるようになる。
Android版Classroomアプリでは、2021年後半をめどにオフライン機能が実装される。インターネット環境がなかったり貧弱だったりする家庭でも、問題なく課題をこなせるようにするための取り組みである
Google Meet
Web会議ツール「Google Meet」では、オンライン授業のモデレーターとなる教員が以下の操作を行えるようにする。
- 参加者全員を一斉にミュート(マイクオフ)にする
- 参加者を個別に退場させる
- 参加者全員を退場(セッションを終了)させる機能
- ドメイン外からの参加リクエストを承認する機能
Chromebook
Google Workspace for Education自体はOSやデバイスの形態に依存せずに利用できる。ただ、Googleとしては教育機関に対して「Chromebook」の利用を推奨している。
Chromebookで使われている「Chrome OS」では、3月に公開予定の「M89アップデート」において「画面記録ツール」が追加される。その名の通り、このツールはChrome OSの画面を録画するために用いられる。児童/生徒がChromebookでの操作を録画しておき、それを授業などで共有する――という利用シーンを想定しているようだ。
Googleの担当者によると、画面記録ツールは日本の教育機関から搭載の要望が多かった機能の1つだという。
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