M1搭載「iPad Pro」の本領発揮はまだ先か 新旧モデルを使い比べて分かった現状の実力と秘めた可能性:本田雅一のクロスオーバーデジタル(4/4 ページ)
Apple M1搭載の「iPad Pro」を試用した。イラストレーターとともに12.9型モデルの実機を使ってみたところ、現時点でも従来機に比べて体感できる差があったが、その性能を生かしきるにはもう少し時間がかかりそうだ。AppleはiPad Proの未来をどの方向にかじ取りしていくのだろうか。
M1搭載モデルの一巡で期待される“2周目”
6月7日から始まるWWDC21では、開発者向け会議だけにさすがに多くのハードウェアが発表されることはないと思うが、ソフトウェア開発者が喜ぶような製品は出てくるかもしれない。
これまでM1が搭載されてきたのは、Macの中でも拡張性などが重視されないモデルばかりだった。このため、MacBook Proでも13型の上位モデルや16型モデルは更新されておらず、Mac miniではIntel搭載モデルも継続販売されている。
先日発売されたM1搭載のiMacも21.5型モデルの後継製品であり、27型モデルの後継製品はこれからだ。そして今回のiPad Proが発表されたことで、Appleが持つ製品ラインの中でM1が使われるだろう製品は一巡したことになる。
一方でデスクトップであるMac Proのような高い拡張性が必要となる機器は、まだ対応できるレベルにはないとも考えられる。ということで、順当ならばMacBook Proの中でも外部GPUやより多くのメモリが求められるモデルに対して、M1の拡張版が提供されるのが次のシナリオになるだろう。
もしそのチップが、次期iPhone向けに開発されるA15 Bionic(?)に搭載される高性能コアと高効率コアを使うのであれば、恐らく年末までは発表されないと考えるのが妥当だ。しかし、M1(およびA14 Bionic)と同じ高性能コアのFirestormと高効率コアのIcestormを使って設計されたものならば、このWWDCでアナウンスがあるかもしれない。
筆者はFirestormなどA14 Bionicの開発成果を生かし、M1とは異なる方向で進化させたものではないかと予想している。いずれにしろ、近いうちにその結果が分かるだろう。
関連記事
- 「24インチiMac」を試して実感した“Apple M1の強み” iPhoneで磨かれた技術がついにデスクトップへ
Apple M1搭載の「24インチiMac」を発売に先駆けて試用した。SoC搭載の機能をハードウェア設計と統合することでiMacのユーザー体験はどう進化したのか。実機に触れてみたインプレッションをお届けする。 - ついにiMacとiPad Proも「M1」搭載 次のAppleシリコンMacはどうなるのか
Appleが独自チップ「M1」の搭載モデルを拡充。ボディーデザインを一新した「iMac」に加えて、これまでiPhone向けプロセッサを採用してきた「iPad Pro」にもM1を載せてきた。これらの新製品から期待される次世代Macの姿とは? - 「Apple M1」のMacBook AirとPro、Mac miniを3台まとめて実力チェック 驚異的な性能が明らかに
いち早く「Apple M1」搭載の新型Macに触れる機会を得たので、「MacBook Air」「MacBook Pro」「Mac mini」の3台を横並びで性能評価してみた。同じプロセッサでも性能に違い出るのか、そしておすすめのモデルはどれなのか。 - 「Apple M1」でMacの性能が大きく伸びたワケ Intel脱却計画に課される制約とは?
初のMac向けApple Siliconである「M1」がついに発表され、同時にそれを搭載する3つのMacも登場した。M1の注目点を解説しながら、これからのMac移行シナリオについて考える。 - 新「iPad Air」実機チェックで判明した“Pro顔負け”の高性能 Apple Silicon Macはどこまで速くなるのか
iPhone 12と同時に販売が始まる第4世代の「iPad Air」。新デザインのボディーはiPad Proとよく似ているが、実際にテストしてみると、性能もiPad Proに近いものだった。登場を控えたApple Silicon搭載のMacはどこまで性能が引き上げられるのだろうか。 - iMacがM1チップを搭載し23.5型にフルモデルチェンジ――キーボードも3タイプから選択可能
Appleが、M1チップを搭載した新型iMacを発表し、4月30日から注文を受け付ける。発売は5月後半で、8コアGPUの上位モデルが税込み19万9800円〜、7コアGPUの下位モデルは税込み15万4800円〜となっている。 - 新「iPad Pro」発表 M1チップ搭載で5Gにも対応、12.9型モデルはLiquid Retina XDRディスプレイ搭載
Appleが新型の「iPad Pro」を発表した。ディスプレイサイズは11型と12.9型の2種類を用意。iPadとしては初めて「Apple M1チップ」を搭載し、Wi-Fi+Cellularモデルは5Gにも対応。12.9型モデルは、より高輝度かつ高コントラストのLiquid Retina XDRディスプレイを搭載している。 - 最小の「iPhone 12 mini」か、最大の「iPhone 12 Pro Max」か 使い比べて確信した選ぶべき理由
「iPhone 12 Pro Max」と「iPhone 12 mini」の実機をいち早く試してみたところ、発売済みの「iPhone 12」「iPhone 12 Pro」とは違った魅力がそこにはあった。出そろったiPhone 12シリーズからどのモデルを選ぶべきかを考える。 - 「iPhone 12」「12 Pro」を試して分かった実際の違い 11 Proから写真は大進化
10月23日の販売開始に先駆けて「iPhone 12」「iPhone 12 Pro」を数日間試用した。iPhone 11からさらに進化したカメラの性能を中心に、実機を使い比べたインプレッションをお届けする。 - iPad Proを“Mac化”する「Magic Keyboard」は高価でも買い? その完成度を確かめた
「iPad Pro」のモデルチェンジで本体以上に注目された新型カバー兼キーボードの「Magic Keyboard」。新採用のトラックパッド、改良されたキーボード、そしてカバーやスタンドの機能はどうなのか、実際にじっくり試してみた。 - 新「iPad Pro」はどこまでパソコンに近づいたのか 2020年モデルをいち早く試した
2020年3月18日に発表された新型「iPad Pro」の実機をいち早くレビュー。新旧モデルの性能比較やトラックパッド対応など、気になる進化点をチェックしていく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.