モバイル向けGPU「Intel Arc Aシリーズ」が発進 スペック別に3シリーズを順次投入:エントリー向けは4月登場(1/2 ページ)
Intelが、モバイル向けGPU「Intel Arc Aシリーズ」を正式に発表した。米国ではエントリー製品を搭載するノートPCの受注が始まっており、4月から搭載製品が順次お披露目される見通しだ。
Intelは3月30日、モバイル(ノートPC)向け独立GPU「Intel Arc Aシリーズ」を発表した。エントリークラス製品を皮切りとして、搭載するノートPCは4月から順次登場する予定だ。
Intel Arc Aシリーズのチップ(ダイ)のイメージ。左側の小さなダイ(ACM-G11)はエントリークラスの「Intel Arc 3 Graphics」で、右側の大きなダイ(ACM-G10)はミドルクラスの「Intel Arc 5 Graphics」とハイエンドクラスの「Intel Arc 7 Graphics」で採用される
Arc Aシリーズの概要
Arc Aシリーズは、Intelが提唱するGPUアーキテクチャ「Xe(エックスイー)」の一角をなすゲーミング向けアーキテクチャ「Xe-HPG」(開発コード名:Alchemist)をベースに作られたモバイル向けGPUだ。プロセスルールは6nmを採用している。
Xe-HPGアーキテクチャでは、GPUとしての処理性能を「レンダースライス」と呼ばれる処理ユニットの数で調整している。レンダースライス1基に搭載される主な要素は以下の通りだ。
- Xe-Core(演算ブロック)×4
- レイトレーシングユニット×4
- サンプラー
- ジオメトリエンジン
- ラスタライザー
- HiZ(階層型Zバッファ)
- ピクセルバックエンド×2
Xe-Coreには16基のベクトルエンジン(XVE)、16基のマトリックスエンジン(XMX)、L1キャッシュメモリなどが搭載されている。ベクトルエンジンは1基当たり256bit、マトリックスエンジンは1基当たり1024bitの演算に対応する。
Xe-HPGアーキテクチャでは、レンダースライスとは別に「メディアエンジン」も搭載している。このメディアエンジンは、以下のコーデックのデコード(最大8K/60fps、12bitカラー、HDR)とエンコード(最大8K、10bitカラー、HDR)をサポートしている。中でもAV1のハードウェアエンコードサポートは業界初対応だという。
- VP9
- AVC(H.264)
- HEVC(H.265)
- AV1
映像出力(パイプ)は最大4つで、うち1つは低消費電力に最適化されているという。物理的にはHDMI 2.0b出力とDisplay Port 1.4a/2.0(10Gbps)に対応している。表示同期機能(アダプティブシンク、スピードシンク、スムースシンク)にも対応する。
グラフィックスメモリはGDDR6規格に対応している。Arc 3 Graphics(ACM-G11)は96bit、Arc 5 GraphicsとArc 7 Graphics(ACM-G10)は256bitとなる。接続バスはPCI Express 4.0で、Arc 3 Graphicsは8レーン、Arc 5 GraphicsとArc 7 Graphicsは16レーンでの接続に対応する
Arc Aシリーズは、第11/12世代Coreプロセッサと協調動作する「Intel Deep Link Technology」に対応している。主な仕様は「Iris Xe MAX Graphics」におけるDeep Linkと同様で、以下の機能を利用できる。
- ダイナミックパワーシェア
- システムの負荷状況に応じてCPUと消費電力を相互融通
- ハイパーエンコード
- CPU内蔵GPUと独立GPUのエンコードエンジンを一体運用して動画を高速にエンコード
- ハイパーコンピュート
- CPU内蔵GPUと独立GPUの機械学習プロセッサを一体運用してAI処理を高速化
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