検索
レビュー

96MBのL3キャッシュは効果あり? AMD 3D V-Cache搭載の「Ryzen 7 5800X3D」の実力をチェック!(2/4 ページ)

AMDのデスクトップPC向けCPU「Ryzen 7 5800X3D」は、独自の「3D V-Cache Technology」を活用してL3キャッシュを従来比で64MB増量したことが特徴だ。条件によっては上位の「Ryzen 9 5900X」を上回るパフォーマンスを発揮するという同CPUの実力を、実際にテストを通してチェックしていこう。

Share
Tweet
LINE
Hatena

Ryzen 7 5800X3Dの実力をチェック!

 ここからは、Ryzen 7 5800X3Dのパフォーマンスをベンチマークテストを通し確認していく。今回は、比較対象として実売価格が近くなるであろう「Core i7-12700K」(Pコア8基16スレッド+Eコア4基4スレッド)で構成したシステムも用意した。

 Core i9-12900Kを含むデスクトップ向け第12世代Coreプロセッサは、より高速なDDR5メモリも利用できる。しかし、今回はメモリ回りの条件を極力そろえるためにDDR4メモリを利用するマザーボードを使っている。

比較表
テストで使う機材の主な構成

CINEBENCH R23

 まず、3Dレンダリングを通してCPUの演算性能を計測する「CINEBENCH R23」を実行してみた。結果は以下の通りだ。

  • Ryzen 7 5800X3D:1万4529ポイント(マルチ)/1485ポイント(シングル)
  • Core i7-12700K:2万1277ポイント(マルチ)/1936ポイント(シングル)

 Ryzen 7 5800X3Dのスコアは、Core i7-12700Kのスコアのおおむね約7〜8割ほどとなった。スコア差の要因は、主に「最大稼働クロックの差」と「コアの総数」にあると思われる。

CINEBENCH R23
CINEBENCH R23の結果

PCMark 10

 次に、PCの総合的な性能をチェックする「PCMark 10」をチェックしてみよう。スコアは以下の通りとなった。

  • Ryzen 7 5800X3D
    • 総合スコア:7299ポイント
    • Essentials:1万860ポイント
    • Productivity:8081ポイント
    • Digital Content Creation:1万2025ポイント
  • Core i7-12700K
    • 総合スコア:8267ポイント
    • Essentials:1万1258ポイント
    • Productivity:9993ポイント
    • Digital Content Creation:1万3628ポイント

 CINEBENCH R23のテスト結果と同様に、Ryzen 7 5800X3DよりもCore i7-12700Kの方がスコアは高い。しかしスコアの差(比率ベース)は縮まっている。スコア差が縮まった原因は幾つか考えられるが、それに一番貢献しているのはL3キャッシュの容量だ。

 それぞれのCPUのL2/L3キャッシュ容量は以下の通りとなっている。

  • Ryzen 7 5800X3D
    • L2キャッシュ:4MB
    • L3キャッシュ:96MB(16MB×2+64MB)
  • Core i7-12700K
    • L2キャッシュ:12MB
    • L3キャッシュ(内蔵GPUと共用):25MB

 CPUのマルチスレッド性能をチェックするために、PCMark 10ではテストの中にランダムなマルチスレッド処理を多く織り交ぜている。このようなランダム処理では、CPUに送り込む命令をためておくL2/L3キャッシュの容量がスコア(≒パフォーマンス)に少なからず影響を与える。

 Ryzen 7 5800X3Dが“善戦”したのは、3D V-CacheでL3キャッシュを大きく増量した効果といえる。

PCMark 10
PCMark 10の結果

Blender Benchmark

 「実際のアプリにおけるパフォーマンスはどうなの?」ということで、実際の2D/3Dコンテンツ制作ツールをベースに開発されたベンチマークテストアプリ「Blender Benchmark」も試してみた。結果は以下の通りだ(数値は1分間で作成できたサンプル数を示す)。

  • Ryzen 7 5800X3D
    • Monster:105.233204個
    • Junkshop:63.517849個
    • Classroom:50.034758個
  • Core i7-12700K
    • Monster:146.423999個
    • Junkshop:82.112165個
    • Classroom:68.697147個

 レンダリングを通してCPUの性能を確認するという観点において、Blender BenchmarkとCINEBENCH R23には共通するものがある。そのせいか、テストの結果も似た傾向となっている。CPUを使ったレンダリングではRyzen 7 5800X3Dの性能はCore i7-12700Kの7〜8割程度と見るのが正解だろう。

Blender Bench
Blender Benchの結果

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る