これから買うなら3090 Tiよりも「GeForce RTX 4080」 そのワケを探る(2/3 ページ)
NVIDIAの新型GPU「GeForce RTX 4080」を搭載するグラフィックスカードの販売が11月16日に解禁される。最上位の「GeForce RTX 4090」や先代の最上位「GeForce RTX 3090 Ti」と比べてパフォーマンスはどうなのか、発売に先駆けてチェックしていこう。
ベンチマークテストで実力をチェック!
ここからは、GeForce RTX 4080 Founders Editionを通してGeForce RTX 4080の性能をチェックしていこう。
今回は、デスクトップ向け第13世代Coreプロセッサ(開発コード名:Alder Lake-S)の最上位モデルである「Core i9-13900K」を軸に据えて構築した自作PCを使ってテストを行った。主なスペックは以下の通りだ。なお、デバイスドライバーはテスト版の「バージョン526.72」を利用している。
- CPU:Core i9-13900K
- 冷却システム:「NZXT H1 Version 2」付属の簡易水冷ユニット(140mm ラジエーター)
- マザーボード:MSI MEG Z690I UNIFY
- メインメモリ:G.SKILL RIPJAWS S5(DDR5-5600 32GB×2)
- SSD:Samsung 980 PRO(500GB)
- 電源:NZXT C750(最大出力750W/NZXT H1 Version 2に付属)
- OS:Windows 11 Pro
参考として、各テストには前回の記事で紹介した「Ryzen 9 7950X+GeForce RTX 4090/3090」のシステムにおけるスコアも掲載する。プラットフォームが異なるため純粋な比較とは行かないことはご容赦いただきたい。
3DMark
まず、3Dグラフィックスのパフォーマンスをチェックする「3DMark」の結果を見てみよう。今回はDirectX 11ベースの「Fire Strikeシリーズ」、DirectX 12ベースの「Time Spyシリーズ」を用意されている全ての解像度で試験しつつ、RT性能をチェックする「Port Royal」のテストも実施した。総合スコアは以下の通りである。
- Fire Strike(フルHD)
- GeForce RTX 3090 Ti:4万4452
- GeForce RTX 4080:4万2303
- GeForce RTX 4090:5万3932
- Fire Strike Extreme(WQHD)
- GeForce RTX 3090 Ti:2万5932
- GeForce RTX 4080:2万9553
- GeForce RTX 4090:4万578
- Fire Strike Ultra(4K)
- GeForce RTX 3090 Ti:1万4247
- GeForce RTX 4080:1万7401
- GeForce RTX 4090:2万4428
- Time Spy(WQHD)
- GeForce RTX 3090 Ti:2万278
- GeForce RTX 4080:2万2633
- GeForce RTX 4090:2万8552
- Time Spy Extreme(4K)
- GeForce RTX 3090 Ti:1万1274
- GeForce RTX 4080:1万3412
- GeForce RTX 4090:1万7652
- Port Royal(RTテスト)
- GeForce RTX 3090 Ti:1万4554
- GeForce RTX 4080:1万6695
- GeForce RTX 4090:2万5280
当たり前といえば当たり前なのだが、GeForce RTX 4080のスコアはGeForce RTX 4090にはかなわない。4090の方が“上位製品”なので当然といえば当然である。
一方で、GeForce RTX 4080はほとんどのテストにおいて先代の最上位製品であるGeForce RTX 3090 Tiを上回るスコアを記録している。4K解像度(3840×2160ピクセル)のテストである「Time Spy Extreme」や「Fire Strike Ultra」でも良いスコアを残しているので、4Kゲーミングもある程度快適に楽しめそうだ。
RT性能をテストする「Port Royal」のスコアも3090 Tiよりも良好で、高解像度かつRTを有効にした最も最良なグラフィックス設定でも快適にゲームをプレイすることができるだろう。
FF14ベンチマーク/FF15ベンチマーク
続いて、実際のゲームタイトルをベースとするベンチマークテストアプリを使ってパフォーマンスをチェックしてみよう。
まず、少し軽めの「ファイナルファンタジーXIV : 暁月のフィナーレ ベンチマーク(FF14ベンチマーク)」を最高画質のプリセットでフルHD(1920×1080ピクセル)、WQHD(2560×1440ピクセル)、4Kの3つの解像度でスコアを測ってみた。結果は以下の通りだ。
- フルHD
- GeForce RTX 3090 Ti:2万9868(非常に快適)
- GeForce RTX 4080:4万107(非常に快適)
- GeForce RTX 4090:3万6524(非常に快適)
- WQHD
- GeForce RTX 3090 Ti:2万4851(非常に快適)
- GeForce RTX 4080:3万4612(非常に快適)
- GeForce RTX 4090:3万4084(非常に快適)
- 4K
- GeForce RTX 3090 Ti:1万7951(非常に快適)
- GeForce RTX 4080:2万1752(非常に快適)
- GeForce RTX 4090:2万4796(非常に快適)
結果はどれも「非常に快適」判定なのだが、フルHDとWQHDにおいてGeForce RTX 4080のスコアがGeForce RTX 4090のそれを上回っている。これは計測環境の違いと、ドライバーのアップデート(バージョン521.90→526.72)による最適化が進んだことに起因する。
ともあれ、少なくともGeForce RTX 3090 Tiよりも快適に遊べることは間違いなさそうである。
続けて、システムへの負荷がやや大きい「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK(FF15ベンチマーク)」の高画質設定も合わせて実行してみよう。解像度はFF14ベンチマークと同じくフルHD、WQHD、4Kの3つで行っている。結果は以下の通りである。
- フルHD
- GeForce RTX 3090 Ti:1万8654(非常に快適)
- GeForce RTX 4080:2万2334(非常に快適)
- GeForce RTX 4090:2万827(非常に快適)
- WQHD
- GeForce RTX 3090 Ti:1万5415(非常に快適)
- GeForce RTX 4080:1万8986(非常に快適)
- GeForce RTX 4090:2万440(非常に快適)
- 4K
- GeForce RTX 3090 Ti:9801(とても快適)
- GeForce RTX 4080:1万1488(非常に快適)
- GeForce RTX 4090:1万5210(非常に快適)
全ての解像度において、GeForce RTX 4080はGeForce RTX 3090Tiを超える結果を出している。注目すべきは、4Kでも「非常に快適」判定になったことだろう。
従来のGPUでは、FF15ベンチマークでどんなに頑張っても4K解像度では1つ下の「とても快適」判定が限界であることが多かった。それを“突破”しているGeForce RTX 4080は、ある意味でGeForce RTX 40シリーズのスゴさを体現する存在といえるかもしれない。
DLSS 3の効果を「サイバーパンク2077」でチェック
ここまで見てきた通り、GeForce RTX 4080は十分に高い性能を備えている。しかし、さらに重たいゲームをプレイした場合も、その“強さ”を維持できるのだろうか。NVIDIAの超解像技術「NVIDIA DLSS(Deep Learning Super Sampling)」の第3世代(DLSS 3)に対応するゲームタイトルで、負荷が非常に大きいことでも知られる「サイバーパンク 2077」の平均フレームレートを計測してみよう。
今回は、画質プリセット「ウルトラ」におけるDLSS無効時(4Kネイティブ)とDLSS有効時(Performance mode for 4K/Ultraライティング)の双方で平均フレームレートを計測している。GeForce RTX 4080/4090では、DLSS 3の新機能である「フレーム補間」も有効にしている。結果は以下の通りだ。
- DLSS無効(4Kネイティブ)
- GeForce RTX 3090 Ti:26fps
- GeForce RTX 4080:36fps
- GeForce RTX 4090:41fps
- DLSS有効(Performance mode for 4K/Ultraライティング)
- GeForce RTX 3090 Ti:65fps
- GeForce RTX 4080:89fps
- GeForce RTX 4090:95fps
やはりGeForce RTX 4090にはかなわないものの、GeForce RTX 3090 Tiには“余裕の勝利”である。サイバーパンク 2077でこれだけのフレームレートを確保できるのであれば、大抵のゲームは快適に楽しめるはずだ。
試しに自宅の4K TVとつないでサイバーパンク 2077をプレイしてみたが、没入感は高い。GeForce RTX 4080は、ゲームコンソール向けにも配信されているクロスプラットフォームのAAAタイトルを、PCで遊ぶような使い方にも適しているGPUといっても良いだろう。
関連記事
- 「GeForce RTX 4090 Founders Edition」を先行開封 GPU補助電源は「8ピン×4」相当?
NVIDIAの最新GPU「GeForce RTX 4090」を搭載するグラフィックスカードが間もなく発売される。日本未発売のNVIDIA純正グラフィックスカード「GeForce RTX 4090 Founders Edition」を先行レビューする機会を得たので、まずはパッケージとカード本体をチェックしていこう。 - 3090 Tiを華麗に抜き去る「GeForce RTX 4090」の驚異的な性能をチェック!
間もなく「GeForce RTX 4090」を搭載するグラフィックスカードの販売が解禁される。購入するかどうか迷っている人もいると思うので、NVIDIA純正の「GeForce RTX 4090 Founders Edition」を使って、その異次元の性能をチェックした結果をご紹介する。 - デスクトップ向け「第13世代Coreプロセッサ」はどんな感じ? 先行レビューキットをチェック!
Intelが米国で10月20日に発売する予定のデスクトップ向け第13世代Coreプロセッサの「レビューキット」が一部のメディアに提供された。この記事では、ITmedia PC USER編集部に割り当てられたレビューキットの内容を写真を交えて紹介する。 - NVIDIAが「GeForce RTX 40シリーズ」を発表 新アーキテクチャ「Ada Lovelace」で最大4倍高速に
NVIDIAがゲーミングやクリエイター向けの新型GPUを発表した。新しいGPUアーキテクチャを採用することで、先代アーキテクチャと比べて性能が最大で4倍となったことが特徴だ。 - モンスターGPU「GeForce RTX 3090 Ti」はクリエイターにとっての福音? モンスターCPUと組み合わせて使った結果
NVIDIAが3月29日に発表した「GeForce RTX 3090 Ti」は、現時点のコンシューマー向けGPUとしては“最強”である。ゲーミングで注目されることの多いGeForce RTX 3090 Tiだが、クリエイターが使う場合はどのくらい“強い”のだろうか。Ryzen Threadripper 3970Xを軸に組んだ自作PCで実力をチェックしてみよう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.