日本政府が最大465億円の助成を行うマイクロンメモリ ジャパンの広島工場に行ってみた(2/2 ページ)
米Micron Technologyの日本法人であり、最先端メモリ製品の開発や設計、生産を担うマイクロンメモリ ジャパンの広島工場において、1β DRAMの量産製造開始セレモニーが開催された。
助成金のサポートも助かるが今後も日本には投資を続けていく
米Micron Technologyは日本国内でのDRAM製造に注力しており、2019年には広島工場に製造棟(B2棟)を増設し、さらに2022年9月には、DRAM生産に最大465億円程度の助成金を交付する計画が日本政府から認定された。
具体的には、同社の広島工場における生産計画が、日本政府から「特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律」に基づく特定半導体生産施設整備等計画として認定され、最大約465億円に及ぶ助成金の交付を受ける予定だ。
バーティア氏は「過去3年間に渡り、広島工場に毎年多額の開発費を投じて1β DRAMの開発を進めてきた。少なくとも今後2年間は年10億ドル以上の投資を行って1β DRAMの量産体制を強化していく」と述べた。
これを受けてMicron Technology 社長 兼 CEOのサンジェイ・メロートラ氏は「日本政府のサポートには感謝している。約465億円の助成金は1β DRAM生産に対してサポートとなるが、生産設備に必要な資金(約1394億円)の大半は当社自身による投資となる」とした。
Micron Technologyは11月16日に、DRAMとNANDメモリの供給量を2022年第4四半期比で約2割削減すると発表済みだ。
メロートラ氏は「今はメモリの需要と供給のバランスが崩れていて厳しい状況にある。当社ではそのような環境に対応すべく手を打っているが、需給のバランスが回復するのはしばらく時間が掛かるだろう」と語り、さらなる設備投資の追加削減も検討しているとした。
自動化やAI導入が進む1β DRAMの工場内
多彩なDRAMを製造している広島工場だが、先端プロセスの工場は同社に限らずほぼ撮影が禁止されている。そこで、今回は同社が報道関係者向けに公開した動画の中から、メモリを製造しているクリーンルームの様子をお届けする。
FOUP(Front-Opening Unified Pod)と呼ばれる密閉型容器(写真中央下部の黒いケース)に、25枚のウェハーが内蔵されている。AMHSシステムを使ってクリーンルーム内を行き来する
ウェハーは、AMHS(Autometed Material Handling System)システムで自動搬送される。動線は2層化されており、上が高速(Highway)、下は低速(Cityway)で、渋滞をなくすためにリアルタイムの監視と最適化が図られているという
関連記事
- Micron、1βプロセスノードを採用したLPDDR5Xメモリをサンプル出荷
米Micron Technologyは、最先端DRAMテクノロジーとなる1βプロセスノードを採用したLPDDR5Xメモリ製品のサンプル出荷を開始した。 - Micronが世界初となる232層NANDの出荷を開始 書き込み帯域幅が最大100%向上
米Micron Technologyが、世界初となる232層NANDの量産を開始したことを発表。従来のNANDと比較して、大容量化とともに消費電力効率も向上するという。 - Micron、リード最大5000MB/sのGen4 NVMe SSD 最大4TBモデルまで用意
米Micron Technologyは、Gen4 NVMe接続対応SSD「Crucial P3 Plus Gen4 NVMe」など2製品の販売を開始した。 - Micron、データセンター向けの176層NAND採用SATA SSDを出荷開始
米Micron Technologyは、データセンター向けとなる176層NAND採用SATA SSD「Micron 5400 SATA SSD」の出荷を開始した。 - ハイエンドSSDが新時代に! 176層/PCIe 4.0 x4の新製品2モデルを試す
176層の3D TLC NANDフラッシュメモリを搭載した、PCI Express 4.0 x4対応SSDが続々と登場している。Crucialと日本シーゲートの最新モデルをチェックした。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.