デスクトップ向け「Ryzen 7000シリーズ(65W版)」は普段使いからゲームまで快適! 自作PCユーザーの選択肢を広げる!:1月13日11時発売(3/3 ページ)
AMDが発表したデスクトップ向け「Ryzen 7000シリーズ」(65W版)の発売日時が「1月13日11時」に決定した。それに先立ち、今回登場する3つの新CPUの実力をチェックしていこうと思う。
FF14ベンチマーク/FF15ベンチマーク
続いて、実際のゲームをベースとするベンチマークテストを実行してみよう。
まず、比較的軽量な「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマーク(FF14ベンチマーク)」を試してみる。画質設定は「最高品質」として、フルHD(1920×1080ピクセル)、WQHD(2560×1440ピクセル)、4K(3840×2160ピクセル)の3つの解像度でテストを行った結果は以下の通りだ。
- フルHD
- Ryzen 5 7600:2万5402ポイント(非常に快適)
- Ryzen 7 7700:2万5813ポイント(非常に快適)
- Ryzen 9 7900:2万5906ポイント(非常に快適)
- Core i5-13700K:2万5494ポイント(非常に快適)
- WQHD
- Ryzen 5 7600:2万271ポイント(非常に快適)
- Ryzen 7 7700:2万347ポイント(非常に快適)
- Ryzen 9 7900:2万417ポイント(非常に快適)
- Core i5-13600K:2万227ポイント(非常に快適)
- 4K
- Ryzen 5 7600:1万400ポイント(快適)
- Ryzen 7 7700:1万392ポイント(快適)
- Ryzen 9 7900:1万436ポイント(快適)
- Core i5-13600K:1万402ポイント(快適)
3DMarkの各種テストと同様、各CPUでポイントは拮抗している。GeForce RTX 3060 TiでもWQHD解像度までは快適なプレイを期待できるが、(CPUのランクはさておき)4K解像度で余裕を持ってゲームを楽しみたいのであれば、先述の通り最新のグラフィックスカードを用意した方がよいだろう。
続いて、負荷の重い「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK(FF15ベンチマーク)」を実行してみよう。画質を「高品質」に設定し、フルHD、WQHD、4Kの3解像度でベンチマークを実行した結果は以下の通りとなった。
- フルHD
- Ryzen 5 7600:1万2247ポイント(非常に快適)
- Ryzen 7 7700:1万2518ポイント(非常に快適)
- Ryzen 9 7900:1万2813ポイント(非常に快適)
- Core i5-13600K:1万2609ポイント(非常に快適)
- WQHD
- Ryzen 5 7600:9721ポイント(とても快適)
- Ryzen 7 7700:9338ポイント(とても快適)
- Ryzen 9 7900:9430ポイント(とても快適)
- Core i5-13600K:9496ポイント(とても快適)
- 4K
- Ryzen 5 7600:5498ポイント(やや快適)
- Ryzen 7 7700:5543ポイント(やや快適)
- Ryzen 9 7900:5572ポイント(やや快適)
- Core i5-13600K:5481ポイント(やや快適)
FF15ベンチマークは、ほぼ同じ環境でそろえるとIntel製CPUの方がスコアを出しやすい傾向にある。しかし、ご覧の通りRyzen 7000シリーズ(通常版)はかなり健闘している。
3DMarkやFF14ベンチマークの結果と同様、結局はGPUが足を引っ張ってしまっているのだが、繰り返しながらCPU(とCPUクーラー)を節約して、その分をグラフィックスカードの強化に回せると考えると、自作PCを組み立てる上での悩みがよい意味で増えそうな気もする。
消費電力を考えるとバランス良好なのは「Ryzen 7 7700」
最後に、通常版(65W)のRyzen 7000シリーズの消費電力を確認してみよう。PCを起動してから10分間放置した状態の消費電力「アイドル」、3DMarkの「Time Spy Extreme」を実行中の最大消費電力を「高負荷時」としてワットチェッカーで調べてみた結果は以下の通りである。
- アイドル時
- Ryzen 5 7600:80W
- Ryzen 7 7700:81W
- Ryzen 9 7900:81W
- Core i5-13600K:81W
- 高負荷時
- Ryzen 5 7600:363W
- Ryzen 7 7700:371W
- Ryzen 9 7900:396W
- Core i5-13600K:391W
高クロック版で比較したハイエンドシステムと比べると、高負荷時の消費電力は確実に抑えられている。Ryzen 9 7900の消費電力がCore i5-13600Kのそれを少し上回ってしまっているが、特にマルチコア性能を考えた場合は「5Wの上昇だけで済むのか」という見方もできなくはない。
消費電力と処理パフォーマンスのバランスで考えると、特にゲーミング用途であればRyzen 7 7700がベストバランスといえそうだ。消費電力はシステム全体となるため、組み合わせるグラフィックスカード次第で大きく変わる。今回の想定なら、少なくとも550W、できれば650W以上の電源ユニットを用意すれば安心して使えるだろう。
ゲーミング向け最新世代CPUのメインストリームになりそう
今回は非常に短時間のテストとなってしまったが、そこで強く感じたのはRyzen 7000シリーズ(通常版)の素性の良さである。
高クロック版と比べると、通常版のTDPは約半分で、定格クロックも1GHz程度引き下げられているため、性能はそれなりに低下する……と思いきや、思ったほど低下はしていなかった。むしろ、日常の利用シーンなら差を意識する瞬間はほぼ皆無といっていいだろう。「大きく差が付いたらどうしようか……」とちょっとドキドキしていたが、その心配は杞憂(きゆう)に終わった。
Ryzen 5000シリーズまで(Socket AM4)のRyzenユーザーの場合、Ryzen 7000シリーズへの乗り換えにはマザーボードとメモリの買い換えが必須となる。一方で、CPUファンはごく一部を除いて既存のものを流用できる。CPUとマザーボードとメモリを買い換えるだけで、結構いい感じの最新世代マシンを構築できることは良いことである。
一方、Intel CPUのシステムから乗り換える場合も、定格動作であれば十分に冷やせるCPUクーラーが付属しているので、Ryzen 5000シリーズまでからの乗り換えと同様にCPU、マザーボード、メモリの買い換えだけで済ませられる。水冷クーラーを使っていた場合も、Socket AM4/AM5用リテンションキットが付属していればクーラーを流用することも可能だ。
米国では229ドル(約3万円)スタートであることを比べると、日本における販売価格はやや割高かもしれない。しかし、日本でも最新世代かつ比較的手頃でそこそこ強いCPUである事実は変わりなく、何より「CPUで浮いたお金で他のパーツをパワーアップ」がしやすいことは自作ユーザーには朗報だろう。
Ryzen 7000シリーズ(通常版)は結構人気が出るのではないかと考えている。
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