15.6型で556gの激軽モバイルディスプレイ「RICOH Portable Monitor 150」を試して分かったこと:モバイルディスプレイの道(3/3 ページ)
リコーが満を持してモバイルディスプレイ2モデルを発表した。多機能な上位モデルと、機能を絞った軽量モデルのうち今回は後者をレビューした。
パススルー給電は最大25Wとやや制限あり
さて、本製品は2基のUSB Type-Cポートを用いたパススルー充電に対応している。ノートPCなどのデバイスと接続した際、通常はデバイスから本製品に対して電力が供給されるが、デバイス側にUSB Type-Cが1ポートしかなく、他にデバイスへの給電手段がない場合、デバイス側のバッテリーがどんどん消費されていくことになる。
そうした場合、本製品のもう1つのUSB Type-Cポートに外部のUSB PD(Power Delivery)充電器から給電を行うことで、通常とは逆方向に、本製品経由でデバイスへの給電が行える。これならば、デバイス側の唯一のUSB Type-Cポートが本製品との接続で使われてしまっていても、給電が行えるというわけだ。
ただし実際に使ってみた限り、実用性はあまり高くない。というのも本製品のパススルー給電は最大25W(20V/1.25A)と、出力が控えめだからだ。一般的にノートPCへの給電は45Wが必要で、30W以下になると給電そのものを受け付ず、充電器として認識はされてもバッテリー消費の方が速く、充電中のアイコンが表示されているのにバッテリーが減っていくことすらある。
今回試用したThinkPad X1 Carbon(2019)も、25Wの充電器につながっていると認識はされるものの、実際にはバッテリーが増える様子はなかった。本製品のパススルー給電はせいぜいスマホか、もしくはタブレットまでだと考えておいた方がよさそうだ。
もう1つ、オプションのスタイラスペン(RICOH Monitor Stylus Pen Type1)についても触れておこう。このペンを使えば、ノートPCと画面をミラーリングさせ、本製品の側から手書きで注釈を書き込むといった操作が行える。
スタイラスペンはWacom AES2.0センサー対応で、最大4096段階の筆圧検知に対応する。画面にペン先を近づけると十文字のカーソルが表示されるので、正確な位置をポイントできる。この十文字のカーソルは筆記中も常時表示される仕組みで、オフにすることはできない。
機能面はざっとチェックした限り一通りのことが行えるが、実際にどのくらい活用できるかは利用目的次第だろう。本製品は10点マルチタッチにも対応しているので、まずはタッチ操作であれこれ試してみて、スタイラスペンがあればより便利という利用シーンが見つかった時点で初めて、導入を検討するという流れになるはずだ。
3年という保証期間にも注目のモデル
以上のように、タッチ操作、スタイラス、パススルー充電などさまざまな付加機能を備えた本製品だが、これらは確かにあれば便利である一方、万人に必要な機能というわけではない。製品としては何より軽さ、そして有機ELディスプレイによる画面の美しさが注目ポイントだろう。
本製品は現状、商流がビジネス向けで一般向けの提供は検討中とのことだが、実売価格は6万円台前半と、15.6型のモバイルディスプレイとしては高めだ。とはいえ、保証期間が3年と長いことを考えると、決して割高ではない。その上で、その他の付加機能にどれだけの価値を見いだせるかによって、評価は変わってくるだろう。
本製品には、ワイヤレス接続に対応した上位モデル「RICOH Portable Monitor 150BW」が存在している。こちらは本製品の機能に加えて、WindowsやAndroid、iOSデバイスとのワイヤレス接続に対応しており、画面を分割して2つのデバイスの画面を同時に表示できるなど、プラスαの機能も備えている。こちらについては別記事で改めて紹介したい。
関連記事
- ケーブルがないって素晴らしい! ワイヤレスで映像を出力できる15.6型のモバイルディスプレイ「ZenScreen Go MB16AWP」を試す
ついにモバイルディスプレイにもワイヤレス接続を実現したモデルが登場した。ASUS JAPANの15.6型モバイルディスプレイ「ZenScreen Go MB16AWP」の使い勝手はどうなのか、実機を試してみた。 - Fire TV Stickを直接装着できてDisplayPortも備えたレア仕様 センチュリーのモバイルディスプレイを試す
センチェリーのモバイルディスプレイ「LCD-11600FHD4」は、11.6型とコンパクトながら多機能でユニークな端子を備えた移植のモデルだ。早速、実機を試してみよう。 - 15.6型フルHD対応で税込み1万7800円! サンコーのモバイルディスプレイ「INPRMNHBK」を試して分かったこと
サンコーが販売する15.6型モバイルディスプレイ「INPRMNHBK」は、実売で1万8000円を切る手頃な価格が魅力な1台だ。実機を細かくチェックした。 - 近接センサーなどギミック満載! 有機EL採用の13.3型モバイルディスプレイ「ZenScreen OLED MQ13AH」を試す
ASUS JAPANの「ZenScreen OLED MQ13AH」は、13.3型のモバイルディスプレイながら正確な色再現や近接センサーによる利便性などにこだわった異色のモデルだ。実機を早速試してみた。 - 480×1920ピクセル表示のバータイプ小型ディスプレイ「KURO-MONI/8.8」を試して分かったこと
玄人志向から、バータイプのモバイルディスプレイ「KURO-MONI/8.8」が発売された。8.8型と片手で持てる小型サイズながら、アスペクト比1:4の480×1920ピクセル表示を実現した実機を試した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.