バッファローの法人向けネットワーク機器を”無料”で管理できる!? リモート管理サービス「キキNavi」の秘密に迫る(2/3 ページ)
バッファローの法人向けネットワーク機器で利用できるリモート管理サービス「キキNavi(ききナビ)」は、他社の同種サービスとは異なり“無料”で利用できることが強みである。なぜ“無料”で提供できるのか、同社の担当者にその秘密を聞いた。
なぜ「キキNavi」は無料で使えるのか?
―― 単刀直入かもしれませんが、「キキNavi」や「キキNaviクラウドゼロタッチ」を“無料”で提供できる“秘密”を教えてください。
富山氏 もしかすると「キキNaviの利用料相当額が機器代金に乗っかっているのではないか?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。同種のネットワーク機器の価格を見比べれば分かると思いますが、当社の機器は他社様と比べると実売価格は安価な傾向にあります。
田村信弘氏 「キキNavi」や「キキNaviクラウドゼロタッチ」を"無料"で提供できているのは、機能の取捨選択をうまく行っているからです。ユーザーが求めるサービス品質は維持しつつ、必要以上のコストが掛からないように工夫しています。これは自社開発を行っているからこそ実現できるもので、必要十分なソリューションに焦点を当てた「引き算の開発」を行えるのが当社の強みだともいえます。
また、この手のサービスはクラウドへのデータ通信量がそのままコストとして積み重なっていくので、余分なデータ通信が極力発生しないように設計上での工夫も行っています。
伊藤晃大氏 例えば、リモート管理サービスの画面を開発する際に、リアルタイムかつグラフィカルに通信量や接続台数を把握できる機能は「見た目」の印象としてはプラスに働きます。しかし、実際に運用してみると、このような機能の必要性は思っている以上に低いことが分かりました。
田村の言う通り、この「見た目の良さ」を演出するために生じるトラフィック(通信)も運用費用として跳ね返ってきます。ここをカットすることで、運用にかかるコストを抑えることができています。
富山氏 ただ正直、グラフィカルな要素を減らすという決断には勇気がいりました。競合他社様の管理サービスなら備えていることが多いですし、視覚的な分かりやすさも大切なことは確かだからです。
しかし、こうした機能を「ユーザーは使っているのか?」と調べてみると、実はそんなに使われていませんでした。そこをそぎ落とすことにしたわけです。
開発担当者がユーザーから直接ヒアリングして機能に反映
―― ずはり、ユーザーのニーズを見極める秘訣(ひけつ)は何でしょうか。
田村氏 開発担当者がきちんと現場でヒアリング(意見聴取)をしていることが、1つの鍵だと考えています。
例えば「お客さまが『アプリが欲しい』と言っている」と話が来た場合に、素直に受け取ると「PC、タブレット端末やスマホで動くアプリが欲しいのかな?」と考えます。しかし、そのユーザーが求めていることはアプリを用意しなくても実現できるかもしれません。機能の要/不要を見極めるには、開発担当者がユーザーから直接意見を聞いて困りごとの本質を見抜くことが重要で、これがより効果的な開発につながるのです。
ヒアリングの際は、当社商品を扱っていただいている販売店から無作為に候補を選んだ上で、ご協力いただける販売店に訪問させていただいています。
ある販売店では、同じような設定を施した機器をチェーン店などに発送する業務に従事する担当者から話を聞きました。それこそ「機材を取り出して、画面を開いて、設定して、箱に入れ直して発送する」という作業を大量にこなしている人です。その人からは「アプリなりツールなりを使って、機器に設定を“流し込む”ことはできないか?」という要望を受けました。
この要望をそのまま聞く“だけ”で済ませたら「機器とつないで設定を流し込むためのアプリ(ツール)」を作っていたかもしれません。しかし、実際に話を聞きに行けば「箱を開けないで設定できたら、もっといいですよね」と、もう一歩突っ込んだ話を具体的にできます。
このケースの場合、最終的なニーズはアプリやツールではなく、キッティング時に箱を開けないで機器を現場に直接発送し、現地でインターネットにつなぐだけで必要な設定が自動的に反映されて使えるようになる仕組みでした。これが「キキNaviクラウドゼロタッチ」を開発する直接のきっかけです。
田村氏 また更に別のユーザーからは、「他社商品ではキッティング時に箱を開けて、商品本体をインターネットに繋がないと設定できないものがある。倉庫などで作業する関係上、インターネット回線をわざわざ用意するのは非常に面倒だ」という意見を頂きました。
この意見によって、キッティングする場所にインターネット回線を用意しなくても済む機能が必要だと分かりました。
伊藤氏 そこで、キッティングする場所にインターネット回線が無い場合は、「キキNavi 機器登録アプリ」というスマホアプリを使って機器情報を登録できるようにしました。
対応機器の箱に貼付されているステッカーのQRコードをアプリで読み取ると、スマホからクラウド経由で機器情報を登録することができます。クラウドへの機器情報の登録まで済ませれば、登録した機器に対する設定は後からインターネット回線につながった別のPCから行えるため、キッティングする場所にインターネット回線がなくても済むのです。
―― ヒアリングで要望は出たものの、実装を見送った機能もあるのでしょうか。
田村氏 あります。例えば「WebAPI」を用意して欲しいという話がありました。要するに、他社様のクラウドサービスと連携できるようにしてほしいという要望です。大規模なSIerさんの場合、独自のクラウド基盤を持っていることもあるので、そこから利用できるようにしたいという意図です。
しかし、これも使うユーザーがかなり限られることが目に見えています。なので、対応を見送る判断をしました。
新機能のテストはユーザーの協力を得て実施
―― こうしたヒアリングを経た後で、機能の開発はどのように進められるのでしょうか。
富山氏 まず、私たちである程度の要件定義を行って、コンセプト(方向性)を固めます。それを販売店やユーザーの皆さんに展開して、要望に合っているかどうか確認を取ります。
この確認が取れ次第、実際の開発作業に着手し、当社内で評価を行った後、協力いただける方に対して先行リリースを行って、実環境でお試しいただきます。
実環境でのテストは最終確認という位置付けで、「ここはこうして欲しい」「このUIはこっちの方が見やすい」といったご意見は極力反映するようにしています。導入する販売店やユーザーの皆さんにとっては、導入前検証の役割にもなっているかと思います。
こうした過程を経ることで、“抜け漏れ”のない、自信を持っておすすめできる商品ができると考えています。
提供:株式会社バッファロー
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2023年2月13日
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