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「ChatGPT」で話題 MicrosoftとOpenAIの関係と目指すものを整理Windowsフロントライン(1/3 ページ)

Microsoftが、OpenAIへ3回目の投資が行われた。両者のつながりと、今後のMicrosoft製品への導入に関する話をまとめてみた。

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 Microsoftの「OpenAI」との取り組みと、その成果の1つである「ChatGPT」が大きな話題となっている。ChatGPTについては、2022年11月30日の公開以来、その利用によってもたらされるメリットとデメリットがさんざん語られてきており、実際の動作や活用方法について本田雅一氏が解説しているので、そちらを参照いただきたい。

 本稿ではChatGPTのベースになっている「Generative Pre-trained Transformer(GPT)」らOpenAIのプロジェクトの成果、並びにMicrosoftとの協業の背景について改めてまとめておきたい。

ChatGPTの画面
ChatGPTの画面

MicrosoftとOpenAIの関係

 OpenAIは、米カリフォルニア州サンフランシスコを拠点とするAI(Artificial Intelligence)の研究開発組織で、山本竜也氏のまとめ記事の解説にもあるように、最近何かと世間を騒がせているイーロン・マスク氏ら複数の投資家らの出資によって2015年に設立された。

 多くが知るように、AIの研究開発においてはシリコンバレーを中心とした大手IT企業が自社内に拠点を持ち、膨大なリソースを投じて日々研究開発を続けているが、OpenAIはそのAIの研究開発に特化した組織であり、各種研究機関や組織と連携しつつ、研究成果を対外的に広く提供していくことを主眼にしている。

 大手ITらのAI部門が自社の競争力を高め、最終的に収益を最大化することを目的としているのとは、その点で異なる。設立時点で非営利組織(NPO:Non-Profit Organization)となっており、研究開発に参加するOpenAIのメンバーもトップランクのエンジニアに比べれば年収面では劣るものの、“AIの最先端”という部分にやりがいを見いだしている点で特徴がある。

 こうした設立経緯のため、「OpenAIは非営利組織」という認識が広まっているが、実際には「営利企業」としての側面も持っているのが現在のOpenAIだ。AIの研究開発には優秀な人員のみならず、膨大な計算処理を可能とするコンピュータやネットワーク環境など、各種のリソースが必要だ。このため、組織としては継続的な投資を必要としており、投資家らに魅力をアピールすべく、「投資に対して条件付きで“リターン”を返す」というNPOとは異なる機構を編み出した。

 それが2019年にスタートした「OpenAI LP(Limited Partnership)」という仕組みで、「投資額に対して最大100倍までの“上限”つきで還元」することをセールスポイントに投資を呼び込み、その第1弾となったのが当時10億ドルの資金投入を発表したMicrosoftだ。

 先ほどのレポートにもあるように、Microsoftからは2023年1月23日の提携延長報告のタイミングで100億ドルの資金投入が発表されているが、これは2019年、2021年に続いてOpenAIへの3回目の投資となる。

 リターンに対する投資も得ており、例えばある報道によれば、Microsoftは投資回収までOpenAIが得た利益の75%を入手できる他、その後は同社の49%の株式を取得できる権利があるという。さらに、ChatGPTの世代のオリジナルの学習モデルにあたるGPT-3の独占利用ライセンスを獲得している。

 これは、他社がGPT-3への汎用(はんよう)的なAPIアクセスまでが可能なのに対し、Microsoftにはより深層のコードへのアクセスや各種改変が可能なことを意味する。またOpenAIのGPTの学習そのものがMicrosoft Azure上で実行されており、ChatGPTとGPT-3.5はその成果で誕生したものであることが説明されている。

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