「100万人に喜んでもらえるVAIO」に挑戦しよう! VAIOを触ったことがないのに社長になった山野氏のこだわり:IT産業のトレンドリーダーに聞く!(VAIO 前編)(1/4 ページ)
コロナの5類感染症変更など、世の中の環境、経済状況や社会情勢が激変する昨今。急激な円安に伴う物価の上昇が続く中で、IT企業はどのような手を打っていくのだろうか。大河原克行氏によるインタビュー連載の第5回はVAIOだ。
コロナウイルスの流行から世界情勢の不安定化、製品供給網の寸断や物流費の高騰、そして急速に進む円安と業界を取り巻く環境は刻一刻と変化している。そのような中で、IT企業はどのようなかじ取りをしていくのだろうか。各社の責任者に話を聞いた。連載第5回はVAIOだ。
【連載一覧】
- 日本の中小企業を元気にしたい! 3つのクラウドを中心に「All Adobe」で取り組む理由
- 「DXには決断力が必要であることを伝えたい」とアドビ社長がこだわるワケ
- 「チャンス」を的確に生かす日本HPが躍進する理由
- 社会課題への適応も求められる中で日本HPが重視すること
- リーダーシップへの復権を目指すインテルの取り組みを鈴木国正社長に聞く
- 好奇心を高めること磨くことは教育や成長の原点 インテル鈴木社長が考える日本の未来
- モバイルPCの景色を変えられるdynabookを 5年目を迎えるDynabookが目指す道
- 2023年度の黒字転換に向けて取り組んだこと Dynabook 覚道社長 兼 CEOの悩みと覚悟
VAIOが大きな変革への一歩を踏み出した。新たに発表した個人向けPC「VAIO F14/F16」と、法人向けの「VAIO Pro BK/BM」は、Windows PCの「定番」といえるモノ作りを追求。これまでのVAIOが得意としてきた“プレミアムニッチ”のモノ作りとは一線を画し、より多くのユーザーにVAIOの価値を届けるものになる。
さらに、成長戦略を加速し、2022年5月期には224億円だった売上高を、2024年5月期には、2倍以上となる500億円を超える事業規模にまで拡大する計画も打ち出す。新たな戦略の背景にあるのは、「このままではVAIOは生き残れない」というVAIO 山野 正樹社長の強い危機感だ。
インタビューの前編となる今回は、山野社長が抱いたVAIOに対する危機感、そして「定番」と呼ばれる新PCの開発に向けた挑戦について聞いた。
- インタビュー後編→VAIOは成長フェーズへ PC事業への回帰で周辺デバイスやリファービッシュ品も投入 VAIO Pの後継モデルも!?
- ビジネスノートPCに新しい“定番”を 「VAIO Pro BK」「VAIO Pro BM」登場
- より広いユーザーにVAIO品質を 第13世代Core搭載のスタンダードノート「VAIO F14/F16」登場
これまでVAIOを触る機会がなかったのに社長に就任
―― 2021年6月にVAIOの社長に就任してから、まもなく2年が経過しようとしています。もともとVAIOには、どんな印象を持っていましたか。
山野 私は大学卒業後に三菱商事に入社し、長年に渡ってITサービス分野を中心に、国内外でさまざまなビジネスに携わりました。しかし、その間、自分自身でVAIOを使う機会は1度もありませんでした。IBM時代のThinkPadを始め、富士通(FCCL)/NEC(NECPC)/パナソニック/レノボ・ジャパン/デル・テクノロジーズ/日本HPなど、あらゆるPCを使ってきたのですが、よりによってVAIOだけは唯一使ったことがなくて……。
そういった背景がありましたから、これまで1度も使ったことがないVAIOの社長に就くことになったのは、むしろ運命的なものを感じました。
―― なぜ、VAIOを使う機会がなかったのでしょうか。
山野 偶然にも使う機会がなかったというのが正直なところです。ただ、その一方で、多くのPCユーザーが感じていることかもしれませんが、VAIOは、お洒落なPCブランドという印象とともに、ガジェット好きの人たちが使うというイメージもあります。
熱狂的なファンが多いブランドですから、普段使いのPCユーザーにとっては、そこに入っていきにくい(笑)という感じもしていました。
もちろん、実際に使ってみると、品質や質感にはとても満足していますし、なぜ、これまで使わなかったのかと反省はしています。
―― VAIOの中に入ってみて、どんなことを感じましたか。
山野 社長に就任する1カ月前から、部長以上の社員全員と面談をしました。そのときに感じたのは、VAIOという会社には大きな可能性があるということでした。いい製品を作っており、知識と経験を持った、まじめな人がいる。VAIOというブランドにプライドを持ち、このブランドを守るという使命感も強い。
しかし、ビジネスという観点から見てみると、いい製品を作っている割には売れていない。業績も伸び切れていない。そして、思ったほど認知度が高くない。しかも製品の価格が高いという課題を感じました。
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VAIOの13.3型ノートPC「VAIO S13」に約5年ぶり(ビジネスモデルベースで考えると約1年ぶり)の新モデルが登場する。第12世代Coreプロセッサを搭載して“現代っ子”になった同機は、どんな仕上がりになったのだろうか。試作機を先んじてチェックする機会に恵まれたので、そのテスト結果を交えて見ていこう。
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