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インタビュー

「100万人に喜んでもらえるVAIO」に挑戦しよう! VAIOを触ったことがないのに社長になった山野氏のこだわりIT産業のトレンドリーダーに聞く!(VAIO 前編)(1/4 ページ)

コロナの5類感染症変更など、世の中の環境、経済状況や社会情勢が激変する昨今。急激な円安に伴う物価の上昇が続く中で、IT企業はどのような手を打っていくのだろうか。大河原克行氏によるインタビュー連載の第5回はVAIOだ。

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 VAIOが大きな変革への一歩を踏み出した。新たに発表した個人向けPC「VAIO F14/F16」と、法人向けの「VAIO Pro BK/BM」は、Windows PCの「定番」といえるモノ作りを追求。これまでのVAIOが得意としてきた“プレミアムニッチ”のモノ作りとは一線を画し、より多くのユーザーにVAIOの価値を届けるものになる。

 さらに、成長戦略を加速し、2022年5月期には224億円だった売上高を、2024年5月期には、2倍以上となる500億円を超える事業規模にまで拡大する計画も打ち出す。新たな戦略の背景にあるのは、「このままではVAIOは生き残れない」というVAIO 山野 正樹社長の強い危機感だ。

 インタビューの前編となる今回は、山野社長が抱いたVAIOに対する危機感、そして「定番」と呼ばれる新PCの開発に向けた挑戦について聞いた。

VAIO F16 F14 安曇野 インタビュー
東京都港区にある東京オフィスで、VAIO 代表取締役 執行役員社長 山野 正樹氏にお話を伺った

これまでVAIOを触る機会がなかったのに社長に就任

―― 2021年6月にVAIOの社長に就任してから、まもなく2年が経過しようとしています。もともとVAIOには、どんな印象を持っていましたか。

山野 私は大学卒業後に三菱商事に入社し、長年に渡ってITサービス分野を中心に、国内外でさまざまなビジネスに携わりました。しかし、その間、自分自身でVAIOを使う機会は1度もありませんでした。IBM時代のThinkPadを始め、富士通(FCCL)/NEC(NECPC)/パナソニック/レノボ・ジャパン/デル・テクノロジーズ/日本HPなど、あらゆるPCを使ってきたのですが、よりによってVAIOだけは唯一使ったことがなくて……。

 そういった背景がありましたから、これまで1度も使ったことがないVAIOの社長に就くことになったのは、むしろ運命的なものを感じました。

―― なぜ、VAIOを使う機会がなかったのでしょうか。

山野 偶然にも使う機会がなかったというのが正直なところです。ただ、その一方で、多くのPCユーザーが感じていることかもしれませんが、VAIOは、お洒落なPCブランドという印象とともに、ガジェット好きの人たちが使うというイメージもあります。

 熱狂的なファンが多いブランドですから、普段使いのPCユーザーにとっては、そこに入っていきにくい(笑)という感じもしていました。

 もちろん、実際に使ってみると、品質や質感にはとても満足していますし、なぜ、これまで使わなかったのかと反省はしています。

―― VAIOの中に入ってみて、どんなことを感じましたか。

山野 社長に就任する1カ月前から、部長以上の社員全員と面談をしました。そのときに感じたのは、VAIOという会社には大きな可能性があるということでした。いい製品を作っており、知識と経験を持った、まじめな人がいる。VAIOというブランドにプライドを持ち、このブランドを守るという使命感も強い。

 しかし、ビジネスという観点から見てみると、いい製品を作っている割には売れていない。業績も伸び切れていない。そして、思ったほど認知度が高くない。しかも製品の価格が高いという課題を感じました。

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