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日本の中小企業を元気にしたい! 3つのクラウドを中心に「All Adobe」で取り組む理由IT産業のトレンドリーダーに聞く!(アドビ前編)(1/3 ページ)

コロナ禍以降も、経済環境や社会情勢が激変する2022年。さらに急激な円安が進む中でIT企業はどのような手を打っていくのだろうか。大河原克行氏によるインタビュー連載の第1回はアドビだ。

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 コロナウイルスの流行から世界情勢の不安定化、製品供給網の寸断や物流費の高騰、そして急速に進む円安と業界を取り巻く環境は刻一刻と変化している。そのような中で、IT企業はどのようなかじ取りをしていくのだろうか。大河原克行氏が、各社の責任者に話を聞いた。第1回はアドビだ。


3つのクラウドソリューションを推し進めるアドビ

 アドビは、「Adobe Creative Cloud」、「Adobe Document Cloud」、「Adobe Experience Cloud」の3つのクラウドソリューションを提供している。これらを「All Adobe」として組み合わせ、提案を加速している。

 もともとクリエイター向けという側面が強かったアドビの製品だが、企業におけるDXの進展や、SNSを始めとしたデジタルコンテンツの幅広い活用によって、大人から子供まで、大企業から中小企業まで、プロフェッショナルから初心者まで、あらゆるユーザーに利用されている。

 アドビは、今後どんな成長を遂げようと考えているのか。同社の神谷知信社長に日本における取り組みについて聞いた。前編と後編に渡って紹介するが、今回は2022年10月に開催された「Adobe MAX 2022」の内容を含めて、同社の製品戦略にフォーカスする。

アドビの神谷知信氏
アドビの神谷知信氏。2014年10月にアドビシステムズ(当時)へ入社、2021年4月にジェームズ・マクリディ氏の後任として代表取締役社長に就任。従来のパッケージ販売からサブスクリプション型への事業転換をけん引してきた

―― アドビでは、PhotoshopやIllustrator、Premiere Pro、Adobe Expressといった「Adobe Creative Cloud」、PDFや電子サインによる「Adobe Document Cloud」、デジタルマーケティングによる「Adobe Experience Cloud」の3つのクラウドソリューションを提供しています。「All Adobe」として、3つのクラウドソリューションの組み合わせ提案が加速していますね。

神谷氏 当社はコンテンツを作成する領域と、データを分析し、届けるプラットフォームの両方を有している唯一の企業です。Adobe Creative Cloud、Adobe Document Cloud、Adobe Experience Cloudの3つのクラウドサービスを融合して、最高のデジタル体験を提供することができます。

 Adobe Creative Cloudでは、2021年12月に新たにAdobe Expressを発売し、プロフェッショナルだけでなく、例え初心者であっても、誰もが自分が作りたいコンテンツを、テンプレートなどを活用して自由に作ることができるようにしています。また、iPad版PhotoshopやIllustrator、さらにWeb版も投入し、より多くの人が使えるようにしています。これらも好調に推移しています。

3つのクラウドサービスを融合して、最高のデジタル体験を支援する
3つのクラウドサービスを融合して、最高のデジタル体験を提供する
AdobeやGoogle、Apple、Facebookといった各IDでログインするだけで使える「Adobe Express」。Web版はもちろん、スマートフォンやタブレットなどでも利用できる
ダウンロードやインストールが不要で、公式サイトにアクセスしてAdobeやGoogle、Apple、Facebookといった各IDでログインするだけで使える「Adobe Express」。Web版はもちろん、スマートフォンやタブレットなどでも利用できる(画面はAndroidアプリ版、プレミアムプラン利用時)

 Adobe Creative Cloudは、「Creativity for all(無限の創作力を全ての人に)」というミッションを掲げ、あらゆる人に、Adobe Creative Cloudが提供する価値をお届けしたいと考えています。かつては、アドビの製品を利用する際には、ハードウェア依存が大きく、一定の性能を持ったデバイスが必要だったのですが、今、アドビが目指しているのは、タブレットでも利用できるように、デバイスに依存することなく、誰でもが使えるAdobe Creative Cloudの実現です。

 例えば、東京都世田谷区の下北沢商店街では800店舗を対象に、Adobe Expressによるワークショップを開催し、チラシやポスターの作成、SNS上のコンテンツ作成を支援するといったことを行いました。これも、多くの人に使ってもらうための仕掛けです。日本は中小企業が元気にならないと、日本全体が元気になりません。日本の中小企業が新たなデジタルツールを活用して、事業を活性化してもらいたいですね。

フォトストックサービスの「Adobe Stock」で「ねこ」と検索した結果(上)と「Cat」で検索した結果(下)
フォトストックサービスの「Adobe Stock」で、「ねこ」と検索した結果(上)と「Cat」で検索した結果(下)。それぞれの言葉に沿ったチューニングが施されているという

 私がお勧めしたいのが、Adobe Stockです。著作権フリーの写真や動画をはじめ、3億点以上の素材がそろっており、日々、利用者が増加しています。ここでもユニークな進化を遂げていて、検索する際に「Cat」と英語で入力した場合と、日本語で「ねこ」と入力した際の結果を変えています。「ねこ」の場合には、日本人が求めることが多い日本の猫の写真などを表示するようにテストを繰り返し、ようやく実用化段階にまでたどり着きました。

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