コロナ禍で勢いを増したApp Storeエコノミー Analysis Grooupの報告書から見えること(2/2 ページ)
Analysis Grooupのエコノミストが、App Storeにおけるサードパーティーアプリケーションの普及に関する新しい報告書を発表した。この報告書から見えてくることを林信行氏がまとめた。
15年に渡るApp Storeの歩み
Analysis Groupによれば、今回の調査には3つの目的があったという。1つ目が1.1兆ドルという2022年のApp Storeの経済規模を30以上のソース(Appleを含む)から集められたデータに基づいて算出、評価することだ。
2つ目が、この数年間、特に変化が大きかったコロナ禍の前後で、この経済圏にどのような変化が起き方を調べることで、既に述べたようにコロナ禍はApp Store経済をさらに活況にし、特に小規模開発者の活躍が目立ったことが分かった。
3つ目の目的は、2008年にApp Storeがスタートしてからの15年間で、App Storeがどのように進化/成長してきたかを調べることだ。
同社の報告書によれば、2008年からのアプリの累計ダウンロード数は3700億本以上、2022年時点で登録開発者の48%が欧米圏以外という非常に国際的な市場だ(2018年末は18%だった)。日本だけでしか展開していないアプリなども多い中で、世界のアプリのダウンロードの54%は開発者と違う国籍のユーザーにダウンロードされていることも分かり、App Storeが海外進出を果たしたいソフトウェア開発者にとって、引き続き有望な手立てであることが明らかになった。
Appleは、この市場が引き続き開発者に大きなビジネスチャンスをもたらすように、40以上のSDK(開発キット)と25万のAPIを含む技術的ツールから、起業家キャンプ、アプリアクセラレーター、開発者ワークショップなどの教育プログラムを提供している。
6月6日(日本時間)には、年に1度の世界開発者会議「WWDC23」が開催される予定だ。WWDCでは毎年、学生からiPad上の開発環境「Swift Playground」で開発したオリジナルアプリを募集し、優秀な作品を作った学生を表彰しWWDCに招いている。2023年も、30カ国の375人の学生を表彰したとのことだ。
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