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約250台のカメラでデジタルツイン構築 人とロボットが協調――累計4000万台超のPCを作り続けてきた「島根富士通」の生産ラインが進化中(4/4 ページ)

「LIFEBOOK」「ESPRIMO」「LOOX」ブランドで知られる富士通クライアントコンピューティング(FCCL)のPCの多くは、島根県出雲市にある「島根富士通」という子会社で生産されている。ここしばらくはノートPCとタブレットPCの生産をメインに据えてきたが、最近はデスクトップPCの生産やPCの修理も手掛けるようになった。どのようにPCが作られていくのか、写真と共にチェックしてみよう。

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デスクトップPC組み立てライン

 デスクトップPC組み立てラインでは、ESPRIMOシリーズのデスクトップPCを生産している。ライン数は最大4つで、うち1つはセル生産方式を採用している。

 ここではディスプレイが外付けとなるモデルはもちろん、ディスプレイ一体型の「オールインワン(AIO)」モデル、そしてコンパクトデスクトップPCをディスプレイの“中に”収納できる「モニターインワン(MIO)」モデルの生産も行っている。MIOモデルは、FCCLのドイツ法人で開発されたという。

部品保管エリア
デスクトップPCの部品保管エリア

 デスクトップPCは、基本的に「ベアボーン」の状態で海外から入荷される。つまり、それをある程度分解してCPU、メモリやストレージなどを組み込む必要がある。冒頭の工程は、その分解ということになる。その生産の様子を順を追って見てみよう。

ベアボーン
海外の工場から入荷されたデスクトップPCのベアボーン
ベアボーンの分解
入荷されたベアボーンは一部を分解して、部品を組み込める状態にする
コンベアに載っける
分解が済んだベアボーンは、10台単位でまとめて組み立てラインに送られる

 この組み立てラインのテーブルは、PCを載せたまま天板をコンベアで移動できるようになっている。それぞれの作業員が担当する作業が終わると、天板ごと次の作業員の元へと進めることで、作業効率の改善を図っている。

部品供給
小型の部品は、組み立てラインの前方から供給される
組み立て中
組み立て作業のテーブルは、天板がコンベアで移動できるようになっている
組み立て中
実際に組み立て作業を行っている様子
組み立て中
こちらは、マザーボードをケースに収める作業をしているところ
組み立てほぼ完了
部品の組み付けがほぼ完了した状態
外観検査
AVISによる外観検査は、デスクトップPCでも行われる。ただしノートPC用とは異なり、固定カメラで4方向からチェックするようになっている
ライン
デスクトップPCの検査やOSインストールは、専用のコーナーで行われる
混流生産
混流生産を行っているため、同じライン上にコンパクトタイプのデスクトップPCがやって来ることもある
梱包中
デスクトップPCの梱包工程

 AIOモデルの生産も、基本的な作業の流れは通常のデスクトップPCと同様だ。ただし、組み立てライン上で稼働検査も行うことになるため、ラインと並行してAIOモデル用の電源を確保できるレールを用意しているという。

FHの生産ライン
こちらは、AIOモデルであるESPRIMO FHシリーズの生産ライン
アーム
ESPRIMO FHシリーズで使われる台座(アーム)
組み立て中
ESPRIMO FHシリーズのボディーにマザーボードを組み込んでいるところ
ネジ止め
組み込んだマザーボードを、ヒートシンクごとネジ止めしていく
AIOの完成検査
AIOモデルの検査は、組み立てライン上で行われる。そのため、ラインと並行して設けられているレールから電源を取れるようになっている
梱包中
ESPRIMO FHシリーズの梱包シーン。LIFEBOOKやFMV LOOXと比べると大きいため、少し大変そうに思えるが、慣れた手つきで包んでいく
出荷待ち
梱包を終え、出荷を待つデスクトップPC

 MIOモデルなど比較的大きい製品については、セル方式で作られる。1人の作業員が集中的に組み立てを行うので、今まで紹介してきた組み立てとは少し雰囲気が異なる。

MIOモデルの組み立て
MIOモデルなど、大きめのデスクトップ製品はセル方式で組み立てられる
MIOモデルの組み立て
MIOモデルは、専用ディスプレイの内部にコンパクトデスクトップPCを収める形で作られる。先述の通り、このアイデアはドイツで生まれたそうだ
MIOモデル
赤色のアクセントとハニカム形状の通気孔があるカバーの内部に、コンパクトデスクトップPCが収められている
MIOモデル
MIOモデルは完成後、ソフトウェアのインストールと検査を1カ所で行う

 島根富士通では資材の運搬の一部にAGVを活用している。先述の基板運搬用のものを含め、AGVは総勢28台体制で運用されている。エレベーターを制御することで、階をまたがる移動も可能だ。

 なお、将来的にAGVはガイドなしで動く「AMR(自律走行搬送ロボット)」への置き換える検討もしているそうだ。

AGVの稼働状況
島根富士通では総勢28台のAGVが稼働し、構内を巡回している
基板運搬中
基板生産ラインから組み立てラインへ基板を運ぶAGVは、自動でエレベーターに乗り込み、階をまたいだ移動も行う
自動走行中
AGVは廊下の濃い灰色の帯に埋め込まれた「ガイド」に従って走行する。将来的には、ガイドなしで自律走行するAMRへの置き換えも検討しているそうだ
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