ソニー、川崎重工、ユーハイム、パイオニア──各社が訪れる、MicrosoftのAI開発拠点が目指す道 実際に足を運んで実態を見てきた:大人の社会科見学(2/3 ページ)
世界で6番目の拠点となるMicrosoftの研究開発拠点が神戸にある。Microsoftとその顧客が「共創」してAIを活用した新しいアプリケーションを提供することを目指している。
スプリントスタイルと短期決戦で運営されているパートナーとの共創
Microsoftの平井氏によれば、こうした研究所での共創に関してMicrosoftが「スプリントスタイル」と呼んでいる共創の形を取っているという。
スプリントスタイルというのは、マラソン(長距離走)ではなくスプリント(短距離走)で開発を行うという意味で、実際に顧客企業が研究所に来てもらって開発するのは原則的に5日間と決めて、その間に課題を解決し、ある程度のPoC(Proof of Concept)を作っていくスタイルで行っているという。
このため、同研究所のWebサイトから申し込みがあると、まず研究所側で書類審査を行い。承認してからプロジェクトが走りだすという。この時にポイントになるのは、既にある程度きっちりやることが決まっていて、技術的な課題が明確になっていることが前提だという。
その後、NDA(Non-Disclosure Agreement、秘密保持契約)へのサインなどがあり、研究所側とビデオ会議で今後の方針を明確にしていくと平井氏は説明した。
平井氏によれば、このプロセスが非常に重要で、実際に来てもらってやる5日間はすぐに終わってしまうので、このビデオ会議の間にそれを明確にしておくことが成功への鍵になるということだった。
そして、契約締結後に研究所で5日間のスプリントを行う。基本的には関係者全員に来てほしいということをお願いしているそうだが、コロナ禍のリモートワークが普及している中で、実際にコードを書くような開発者の人はリモートワークであることが多い。その場合はパートナーの選択に任せているそうだが、承認権を持っている人にはできるだけ「神戸に来てほしい」とお願いしているそうだ。
関連記事
- Microsoft、神戸に企業のAI活用支援ラボを開設 技術者常駐でユースケース作りを狙い
MicrosoftがAI活用支援の拠点を神戸市に開設した。なぜ神戸なのか? - 生成AI活用の「Microsoft 365 Copilot」、ビジネス導入の第一歩はクラウドシフトから 日本MSが支援プログラム
日本マイクロソフトが、中堅中小企業やスタートアップを対象にした支援プログラムを始める。 - 全ユーザーにAI PCを届ける――IntelのゲルシンガーCEOの新たな野望 今後10年で15倍に成長する「シリコノミー」とは?
Intelの開発者/技術者向けイベント「Intel Innovation」が、米国で開催された。その基調講演では、パット・ゲルシンガーCEOが登壇し、今後のIntelが目指す姿を語った。中でも注目すべきキーワードは「Siliconomy(シリコノミー)」である。 - 他社に勝てる、ユーザーが本当に求めている製品を徹底的に議論していく レノボ・檜山社長がこだわる、ハードウェアメーカーだからこそできること
コロナの5類感染症変更など、世の中の環境、経済状況や社会情勢が激変する昨今。急激な円安に伴う物価の上昇が続く中で、IT企業はどのような手を打っていくのだろうか大河原克行氏によるインタビュー連載のレノボ・ジャパン 後編をお届けする。 - マイクロソフトはAIを全製品に展開 日常とビジネスはどう変わる? AIとの向き合い方は?
日本マイクロソフトが、報道関係者に向けてAI技術の利活用に関する説明会を開催した。提携するOpenAIの技術を中心に、全製品へのAI(人工知能)搭載を目指している同社だが、その狙いはどこにあるのだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.