30TB超の大容量HDD量産を実現できた理由に“ブレイクスルー”は無かった Seagateの新技術「Mozaic 3+」を解説(1/2 ページ)
日本シーゲイトが発表会を開き、同社が発表したMozaicプラットフォームについて技術解説と今後のロードマップについて語った。
1月25日、日本シーゲイトが発表会を開催し、同社が発表したMozaic 3+および今後のロードマップについて解説した。
内容は、米Seagateが1月17日(現地時間)に発表した30TBを超える超大容量HDDの生産量を増加させる新プラットフォーム「Mozaic 3+」に関するもので、今四半期に同社の主力製品であるExos製品ファミリーに採用し、30TB以上の製品をハイパースケールクラウドの顧客向けに出荷するというものだ。
具体的には、既にデータセンター向けに出荷をしており、3月中にさまざまな認定を済ませて順次量産の体制をスタートするという。
Mozaic 3+はさまざまなイノベーションを
発表会ではZoomで参加したSeagate Researchのエド・ゲージ(Ed Gage)副社長が、「これまで採用してきたPMR(垂直磁気記録方式)では記録密度の向上に限界がきていた。メディア側の課題では保持力が弱くてデータそのものが不安定になってしまったり、磁気的に「硬い」部分へのデータ書き込みについても問題があったりした。そこで、プラズモニックライター技術を実装したHAMR(ハマー/熱補助型磁気記録)や、超格子プラチナ合金メディアなどを導入したMozaic 3+プラットフォームにより、HDDの大容量化について新しい道を切り開けた」とアピール。
また、「ここ20年でさまざまな研究や投資を行ってきたが、10年前に開発はできていたが量産化には時間がかかった。いわゆる典型的なブレイクスルーというものはなく、全ての要素がそろわないとMozaic 3+は実現できなかった」と説明し、「HDD業界は今後何世代にも渡って成長を続いていく」と話した。
総コストの削減に大きく寄与するMozaicプラットフォーム
Mozaic 3+プラットフォームの導入に至った背景について、日本シーゲイトの新妻太代表取締役社長は、「このAIが叫ばれる時代では、データの価値がかつてないほど高まっており、データ増量が加速度的に増している。企業が競争優位性を維持するためには、ストレージインフラを効率的に拡張しつつ、総所有コスト(TCO)と持続可能性を最適化していく必要がある」と現状を説明した。
またデータセンターの建設は非常に高価で、電力コストの上昇も著しく既存の施設を有効活用することが求められているとし、「予算との戦いになっていて、テラバイト(TB)あたりのコスパを重視せざるを得ないのが現状だ」と語った。
ドライブあたりの容量を増やす方法には、ディスクの追加や記録密度の向上が挙げられるが、前者はヘッドやプラッターなどの電子部材が必要になり、コストや二酸化炭素排出量も増加するという欠点がある。
そこで、同社ではディスクが少なく済んでコストや消費電力、カーボンの排出を抑えられる記録密度の向上に取り組み、Mozaicプラットフォームの導入に至ったという。新妻氏は「従来のPMRでは9年かかった容量の倍増も、モザイクプラットフォームに移行すれば2023年〜2027年の4年間で容量を倍にできる」と強調した。
このMozaic 3+プラットフォームをデータセンターに導入すると、どのようなメリットがあるのだろうか。
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