米国生まれの「ヨシノパワー」が“固体電池”のポータブル電源に注力する理由(5/5 ページ)
2023年末、ヨシノパワージャパン(Yoshino Power)が“世界初”をうたう固体電池を使ったポータブル電源を発売した。まだ実用化が進んでいない固体電池を使ったポータブル電源は、どのような背景で生まれたのか、同社の桜田徹社長に話を聞いた。
今後のヨシノパワーは何を目指す?
―― 今後の技術開発において、重要な技術的テーマは何でしょうか。
桜田社長 充放電サイクルの回数を引き上げることや、電源の出力を上げることに注力したいです。それと並行して固体電池の密度を高めることで、より軽量な製品を作っていきたいですね。現時点でも、大容量モデルは同一容量の他社製品よりも軽量ですが、さらに軽くしたいと思ってます。
―― ヨシノパワーの製品が日本で発売されてから半年ほど経過しました。ユーザーから反応はいかがでしょうか。
桜田社長 おかげさまで良いようです。ただし、まだ使い始めて半年程度の評価であることも確かなので、もう少し経過してから評価を見極めたいとも思っています。
―― 動画投稿サイトやSNSなどでは、「ヨシノパワーは結局中華系メーカー」というコメントも散見されます。それに対してどうお考えでしょうか。
桜田社長 先に言った通り、現時点で固体電池を量産できるのは、事実上中国のメーカーだけです。ゆえに、当社製品の重要な部分が中国依存であることは事実なので、「中華系」と書かれることは気にしていません。私たちはグローバル企業として、各拠点国の強みを生かした製品開発を続けてきました。
今後は、デザインなら米国、要素技術なら日本、そして固体電池なら中国――といったように、グループの拠点国の強みをそれぞれ生かした製品開発を進めたいと思っています。
―― 最後に、今後の製品をどう展開していきたいのか教えてください。
桜田社長 現在、ヨシノパワーの製品はECサイトでのみ販売されています。理由は幾つかありますが、あえてそうしています。当面、個人のお客さまへの販売はオンラインに絞りますが、販売数が増えてきたら家電量販店などでの店頭販売を検討したいと思います。
また、最近は地方公共団体を始めとする法人からの注文も増えています。これも店頭販売に向けたバロメーターと考えていて、今のペースを維持できれば2024年末から検討に入れるでしょう。
インタビューを終えて、ヨシノパワーのポータブル電源に興味を持った筆者は後日、エントリーモデルである「B300 SST」をお借りしてレビューした。その時の模様は、別の記事でお伝えする。
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