GPUの「レイトレーシング処理」改良の歴史をひもとく【GeForce RTX 30シリーズ編】:レイトレーシングが変えるゲームグラフィックス(第5回)(2/4 ページ)
主にPCゲームで使われるグラフィックス回りについて解説する連載を、約1年ぶりに再開。3回(予定)に分けて、GPUにおけるリアルタイムレイトレーシング(RT)処理がどのように改良されていったのか見ていこうと思う。今回は、NVIDIAの「GeForce RTX 30シリーズ」における改良だ。
「GeForce RTX 30シリーズ」はどのくらい改良されたのか?
2018年のGeForce RTX 20シリーズ(開発コード名:Turing)によって、ハードウェアベースのリアルタイムレイトレーシングの“扉”を開いたNVIDIA。その2年後の2020年、同社は新型GPU「GeForce RTX 30シリーズ」(開発コード名:Ampere)を開発した。
GeForce RTX 20シリーズのトップモデル「NVIDIA TITAN RTX」(GeForce RTX 2080 Tiの上位機で、2019年発売)のプログラマブルシェーダーコアの総数は4608基で、その理論性能値は16.31TFLOPSだった。
それに対して、GeForce RTX 30シリーズのトップモデル「GeForce RTX 3090 Ti」(2022年発売)は、ログラマブルシェーダーコアは1万752基で、理論性能値は40TFLOPSとなっている。
ということは、先代比でプログラマブルシェーダーユニットの総数は約2.3倍、理論性能値は約2.5倍となっており、かなりの性能強化が果たされている。
「なら、レイトレーシング性能も高くなっているのかな?」と考えてしまうのだが、プログラマブルシェーダーユニットの強化ぶりとは裏腹に「それほどでもない」というのが正直なところだ。というのも、ハードウェアレイトレーシング処理を担う「RT(レイトレーシング)コア」の総数がわずか17%増(72基→84基)にとどまっているからだ。
しかし、GeForce RTX 30シリーズをリリースした当時、NVIDIAは「RTコアの性能は、先代比で2倍に向上した」とアピールしていた。これはどういうことなのだろうか?
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