スマホジンバルなんてもういらない? AppleのDockKit対応で可能性が広がる「Insta360 Flow Pro」で再考する:武者良太の我武者羅ガジェット道(1/3 ページ)
AppleのDockKitに対応したスマホジンバル「Insta360 Flow Pro」のレビューをお届け。iPhoneとの相性はバッチリです。
高解像なセンサー画素数を活用し、あえて有効画素数を少なく抑えることで強力な電子手ブレ補正を実現している最近のスマホカメラ。手持ち撮影でも手ブレがほとんどなく、効果はバッチリ。誰でもスマホ単体でビシッと決まった映像が記録できるようになりました。
テクノロジーの進化によって従来の課題(動画の手ブレ)が解決されていくことは本当に喜ばしいことですが、その課題を解決するために作られた別のオプション製品にとっては市場規模縮小というダメージが伴います。
つまり「動画の手ブレを低減するために作られたスマホ用ジンバルは、そろそろお役御免となるのかな……」と思っていたら、7月に発売したばかりのスマホ用ジンバル「Insta360 Flow Pro」を使ってみて、その進化に驚きました。iPhoneと組み合わせて使うと、カメラマンいらずのジンバルになるのです。
ベースモデルとなった「Insta360 Flow」(2023年3月発売)も、強力なトラッキング機能を持った専用アプリによってカメラマンを用意することなくワンオペでVlogが撮りやすいジンバルでした。
1年と少しで登場した今回のInsta360 Flow Proに施された大きなアップデートポイントは3つ。可動部が制限なく無限に回転するようになったこと、NFCでペアリングできるようになったこと、そしてAppleがiOS 17から提供を始めた「DockKit」に対応したことです。
DockKitとは、iOS純正アプリやDockKit対応アプリから外部のジンバルやモーターを制御できるフレームワークです。従来ならば専用アプリでしか使えなかったジンバル特有の機能を標準カメラアプリやiOS 17対応カメラアプリなどで使えるようになるため、ライブ配信やオンラインミーティング、ビデオ通話などでもジンバルの機能を利用できるようになる優れものです。
実際に使ってみましたが、1点だけ気になることを除けばとても便利だし、今まで使ってきたスマホ用ジンバルを買い替えてもいいんじゃないかと思える完成度でした。
基本構造はベースモデルと大きく変わらない
Insta360 Flow Proはスタンダードな3軸ジンバルです。Insta360 Flowと同様に、無駄なく折り畳める構造となっています。
グリップ部分につながっているシースルーのカバーがついたアームを180度回して真っすぐに伸ばすと、各ジンバルモーターが起動します。このときiPhoneを装着していないと負荷がかかっていないことをすぐに判断し、ジンバルモーターが固定またはフリーの状態となります。
一昔前のスマホ用ジンバルは、ゼロ負荷でもバランスをとろうとしてジンバルモーターが暴れるかのように動き回ったものですが、Insta360 Flow Proは状況判断が早くて賢さを感じますね。
ここでiPhone側の準備を進めましょう。iPhoneの中央部にInsta360 Flow Proに標準付属しているクランプを装着します。
なお、このクランプは汎用(はんよう)性が高くAndroidスマートフォンでも使える反面、ややかさばります。もしInsta360 Flow ProをiPhone 12以降のiPhoneでのみ使うのであれば、オプションの「Insta360 Flow/Flow Pro 磁気スマートフォンマウント」を使うとベストでしょう。
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