ハンダ付けして作る「MSX DIY」構想が明らかに 西和彦氏が「MSX DEVCON 7」で語った新世代MSXの最新状況(2/6 ページ)
1983年6月に提唱されたMSX規格が40周年を迎え、この10月には記念イベントが開催される予定だ。ここでは、MSXに関する直近の動向をまとめた。
次のMSX DEVCONは11月にイタリアのピサで開催
会場にはMSXファンが詰めかけ、講演開始前にはほぼ満席となった。西氏は、まずフランスのパリで開催されたMSXイベントについて次のようにまとめた。
「パリでのイベントは、電子工学の専門学校のようなところで行われた。講演を聞きに来てくれた人はみんなエレクトロニクスが大好きで、会場の別のところでは学生が5時間でゲームを1本作るという実習をやっていた。それがとても楽しそうだった。
スペインもオランダもフランスも、MSXに興味を持ってくれている人の半分以上がゲーム目的だった。残りが、ミュージックだったりロボットだったり、IoTに興味があるという感じだった。だから、海外に行って感じたのは、今MSXでゲームをやっている人や、ゲームを作って売っている人へのサポートを本気でやらなくちゃいけないということだ。Cコンパイラとかクロスコンパイラ、そういうものをしっかりとやらなきゃいけないと、そういう印象を強くして帰ってきた。
今後もヨーロッパでこういったイベントを定期的にやっていこうと思っていて、次はイタリアのピサで11月16日にやることが決まった。ここではMSX0とMSX3をしっかりやることを発表する。イタリアの次は、ブラジルに行く予定だ。後は、イギリスとドイツ。これが解決するとヨーロッパの主要な国はカバーできる」と整理した。
MSX0の考えを整理して「MSX0 DEPOT」を新しく定義
続いて、西氏は最初のクラウドファンディングについて、次のように振り返った。
「最初のクラウドファンディングでは、『MSX0 Stack』と『Bottom 2』、『FACE2』を組み合わせたものを提供した。1万台作って、3万円くらいで出した。これが市場に出たことで、いろいろな学びがあった。私の現在の認識は、これをやってよかったというもので、IoTのコントローラー、インターネットに繋がる最小のコンピュータとしてのMSX0の位置付けがはっきりしたと思う」とのこと。
西氏は続けて「そこでMSX0の考え方を整理し、3つのグループに分けることにした。フランスで発表した新しいコンセプトが『MSX0 DEPOT』だ。DEPOTの定義は、センサーとMSX0コントローラーとRFリンクで構成され、RFリンクはWi-FiやLoRaなど、インターネットに繋がってクラウドにデータをアップできるものだ。
MSX0 Stackのキーボード付きのパッケージが3万円で、MSX0 Stackだけだと2万円。次はもっと安いものを狙いたい。M5Stackではなく、もっと小さいStampとCapsule、センサー込みで1万円を割る値段にしたい」と述べた。
西氏はさらに「MSX0リモートデスクトップは、Windows版とAndroid版は完成していて、iOS版とMac版は今やろうとしている。Linux版とMSX-DOS版はもう開発が始まっていて、MSX-DOS版はMSXそのものを使えば簡単にできるので、半分完成したような感じだ。
このMSX0リモートデスクトップを使って、MSX0 DEPOTをコントロールする。ただし、センシングするだけなら何も問題はないと思うが、リモートでMSX0に繋がったモーターを制御したり、ライトの明るさを調節したりする場合は、絶対に暗号化が必要になる。MSX0のESP32そのものにはデクリプターは入っているが、MSX0リモートデスクトップで動く暗号化パッケージを一通りそろえないとそれができないので、今それをやっている。これが2つ目のグループだ」とした。
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