試して分かった10周年モデル「Apple Watch Series 10」 消えない秒針と見やすくなったディスプレイ、新たな健康機能が魅力:スマートウォッチ ナビ(3/3 ページ)
Appleのスマートウォッチ「Apple Watch」が登場から10周年を迎え、大きなモデルチェンジを果たした「Apple Watch Series 10」が9月20日に発売される。実機を試した林信行氏が、気が付いたことをまとめた。
ウォーターアクティビティー対応と画期的な睡眠時無呼吸症候群の兆候判定
Apple Watchでは毎モデル、アクティブなスポーツを応援する機能も追加される。Series 10ではウォーターアクティビティー系の機能が強化され、水温センサーも加わり、これまでApple Watch Ultraシリーズでしか利用できなかった「水深」アプリが利用できるようになった。水深6mまで計測できるという(ちなみに、Apple Watch Ultraは水深40mだ)。
大きく明るくなったディスプレイも、水中での利用に役立ちそうだ。
また、watchOS 11に新たに追加された「潮位」というアプリでは、セイリングやサーフィン、Stand Up Paddle(SUP)などに役立つ海の状態に関しての情報を表示してくれる。
あらかじめよく行くビーチを登録しておくと、現在の潮位や満潮に向かっているか干潮に向かっているかがグラフィカルに表示され、Digital Crownを回して数時間後(あるいは数時間前)にどんな潮位かを調べることもできる。天候や水温、風の強さや向きといった情報も表示される。
ここまででもSeries 10は、さすが10周年のApple Watchだけあって魅力が満載であることが分かったと思うが、実は最もすごいのは「睡眠時無呼吸症候群」の兆候を特定する機能の追加だ(watchOS 11にアップデートすれば、Apple Watch Ultra 2や前モデルのSeries 9でも利用できる)。
睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に呼吸が繰り返し止まってしまう病気で、日中の眠気や体の怠さなどの症状に始まり、心臓/脳/血管への負担から脳卒中/狭心症/心筋梗塞などの重篤な合併症を来たす危険もある。日本にも300万人以上いると言われているが、意識がない睡眠中の症状であることや、病院での検査が大掛かりなために発見しにくいという問題がある。
この機能を設定すると、新しい睡眠時無呼吸の通知のアルゴリズムが30日ごとに呼吸の乱れのデータを分析するという。睡眠時無呼吸の兆候が示されると、Apple Watchがユーザーにその旨を通知する。この通知には、睡眠時無呼吸がいつ発生したかや治療を受けることの重要性をユーザーに示し、医療機関で受診する際に役立つ3カ月間分の呼吸の乱れのデータ/通知の詳細/追加情報を記載したPDFを出力できる。
おそらく10月の末頃にはソーシャルメディアなどで「通知が出た」という投稿が見え始めるのだろう。治療が必要だが、簡単ではない病気なだけに、できればこの通知のレビューはしないで済むことを祈っている。
30日以上の睡眠記録で睡眠時無呼吸症候群の兆候が見つかった場合には通知が届き、医師の診断を勧められる。医師の診断の助けになるように3カ月分の呼吸の乱れのデータ、および追加情報を含むPDFを書き出す機能が用意される(画面は英語版)
Apple Watch(Series 9/10/Ultra 2に対応)を装着して寝る(30日中20日間以上)と、睡眠中の呼吸の乱れを記録。その頻度などに応じて睡眠時無呼吸症候群の可能性を教えてくれる(英語版の記録画面)。厚労省が認可した機能で承認番号を取得次第リリースされる予定だ
ただし、心拍の異常や血中酸素濃度、歩き方などの運動能力の変化や耳の健康を損なう騒音といった日常生活に隠れる健康を害する兆候を日々記録し、転倒した場合や交通事故にあった場合、利用者の意識がなくても救援を呼んでくれるなど既に提供済みの機能も多い。Apple Watchは最も包括的にユーザーの生命と健康を守ってくれる究極のウェアラブル製品として世界に認められており、毎年世界中からAppleに多くの感謝状が届く理由にもなっている。
今回、その信頼からか日本の厚生労働省も製品発表前に承認してくれたのは素晴らしいことだと思う。
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