Intelの新型「Core Ultra 200Sプロセッサ」は何がすごい? 試して分かった設計方針の成果と限界:先行レビュー(2/4 ページ)
Intelのデスクトップ向け最新CPU「Core Ultra 200Sプロセッサ」のアンロック対応版が発売された。ハイパースレッディング非対応であることなど、そのパフォーマンスがいかほどのものか気になる人もいるだろう。この記事では、Core Ultra 5 245K(実売価格6万円程度)とCore Ultra 9 285K(実売価格11万6000円程度)の実力をチェックしていく。
Core Ultra 200Sプロセッサの実力は?
ここからは、Core Ultra 5 265KとCore Ultra 9 285Kの実力をベンチマークテストを通して検証する。
今回はASUS JAPANから最新マザーボード「ROG STRIX Z890-A GAMING WIFI」を借りつつ、Core Ultra 200Sプロセッサで初めて対応した“定格”のDDR5-6400規格のCUDIMM(16GB×2)を用意してテストを行った。
今回は過去に行った「Coreプロセッサ(第14世代)」のテストの結果も参考として掲載するが、グラフィックスカード(GPU)による差を防ぐために、今回は手持ちの「Radeon RX 7800 XT」で計測している。ただし、OSのバージョンやメモリの容量に差分があるため、スコアの比較は参考程度に捉えてほしい。
メモリモジュールは「パソコンSHOPアーク」で販売されているDDR5-6400規格のCUDIMM(16GB×2)を使用した。オーバークロックなどをせずとも、今回のマザーボードでは“定格の”DDR5-6400メモリとして認識される
CINEBENCH R23
手始めに、3Dレンダリングを通してCPUの性能を確認する「CINEBENCH R23」を実行してみた。スコアは以下の通りだ。
- シングルコア
- Core Ultra 5 245K:2162ポイント
- Core Ultra 9 285K:2394ポイント
- Core i5-14600K:2009ポイント
- Core i7-14700K:2114ポイント
- Core i9-14900K:2253ポイント
- マルチコア
- Core Ultra 5 245K:2万5072ポイント
- Core Ultra 9 285K:3万3704ポイント
- Core i5-14600K:2万3602ポイント
- Core i7-14700K:3万3035ポイント
- Core i9-14900K:3万8042ポイント
シングルコアのパフォーマンスは、先代から着実に向上している。Core Ultra 5 245Kでも、わずかながらCore i7-14700Kのスコアを上回っている。
一方、マルチコアのパフォーマンスを見てみると、最上位のCore Ultra 9 285Kは、先代のCore i9-14900K比で約89%のスコアとなった。
実際の利用シーンでは、CPUの全コアが一斉に使われるケースは少ない。そのため、全体的にはCore Ultra 200Sプロセッサの方がメモリのアクセス速度も相まって動作が高速に感じられるだろう。
Blender Benchmark
もう1つ、CPUを使うテストとして「Blender Benchmark」も試してみた。
その名の通り、Blender Benchmarkは2D/3Dアニメーション制作ツール「Blender」をベースとしたベンチマークテストアプリで、レンダリングを通してCPUやGPUのパフォーマンスをチェックできる。
今回は「Monster」「Junkshop」「Classroom」の3つのシナリオをCPUで実行し、1分当たりに生成できたサンプル(オブジェクト)の数を比較する。結果は以下の通りだ。
- Monster
- Core Ultra 5 245K:148.574948個
- Core Ultra 9 285K:246.994241個
- Core i5-14600K:129.915280個
- Core i7-14700K:221.386616個
- Core i9-14900K:259.738638個
- Junkshop
- Core Ultra 5 245K:99.405400個
- Core Ultra 9 285K:167.575754 個
- Core i5-14600K:82.542095個
- Core i7-14700K:138.675611個
- Core i9-14900K:161.518998個
- Classroom
- Core Ultra 5 245K:73.131543個
- Core Ultra 9 285K:117.096901個
- Core i5-14600K:59.704598個
- Core i7-14700K:104.723469個
- Core i9-14900K:122.491119個
エントリーCPU同士の比較では、Core Ultra 5 245Kは先代よりも着実に性能が上がっている。一方、ハイエンドCPU同士だと、Core Ultra 9 285Kは僅差だが先代に勝ったり負けたりしている。
このくらいの僅差であれば、今後リリースされるであろうUEFI(BIOS)のアップデートで行われるマイクロコードの更新などで十分に逆転できるだろう。
3DMark CPU Profile
今回は、3Dグラフィックスベンチマークアプリ「3DMark」に含まれる「CPU Profile」テストも実施した。
このテストでは「スレッド数」を指定してCPUパフォーマンスをチェックできることが特徴で、一定以上のスレッド数でテストをすればハイパースレッディングの有無がもたらす影響を確認できると考えた。結果は以下の通りだ。
- 1スレッドテスト
- Core Ultra 5 245K:1259ポイント
- Core Ultra 9 285K:1378ポイント
- Core i5-14600K:1125ポイント
- Core i7-14700K:1185ポイント
- Core i9-14900K:1266ポイント
- 2スレッドテスト
- Core Ultra 5 245K:2428ポイント
- Core Ultra 9 285K:2665ポイント
- Core i5-14600K:2262ポイント
- Core i7-14700K:2346ポイント
- Core i9-14900K:2470ポイント
- 4スレッドテスト
- Core Ultra 5 245K:4720ポイント
- Core Ultra 9 285K:5119ポイント
- Core i5-14600K:4414ポイント
- Core i7-14700K:4638ポイント
- Core i9-14900K:4823ポイント
- 8スレッドテスト
- Core Ultra 5 245K:7899ポイント
- Core Ultra 9 285K:9115ポイント
- Core i5-14600K:6908ポイント
- Core i7-14700K:8599ポイント
- Core i9-14900K:8941ポイント
- 16スレッドテスト
- Core Ultra 5 245K:1万2006ポイント
- Core Ultra 9 285K:1万4112ポイント
- Core i5-14600K:9064ポイント
- Core i7-14700K:1万1412ポイント
- Core i9-14900K:1万1825ポイント
- 最大スレッドテスト
- Core Ultra 5 245K:1万2076ポイント
- Core Ultra 9 285K:1万7675ポイント
- Core i5-14600K:9749ポイント
- Core i7-14700K:1万4840ポイント
- Core i9-14900K:1万6945ポイント
いずれのスレッド数でも、Core Ultra 200Sプロセッサが優位に立った。ハイパースレッディングに対応する代わりに「Pコアの処理効率を高める」「Eコアを増やす」という設計方針には、一定の説得力があることが分かった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
まもなく発売の「Core Ultra 200Sプロセッサ(アンロック版)」 レビューキットを写真でチェック
日本でも10月25日に発売されるCore Ultra 200Sプロセッサのアンロック版。発売を前に、編集部にレビューキットが届いたので、その内容をチェックしていこう。
IntelがNPUを統合したデスクトップ向け「Core Ultra 200Sプロセッサ」を発表 アンロック版は米国で10月24日発売
Intelの「Core Ultraプロセッサ」に、デスクトップ向けモデルがついに登場する。まずアンロック対応版が5製品発売される予定で、2025年第1四半期には同アーキテクチャを採用したモバイル向け製品もお目見えする予定だ。
デスクトップ向け「Coreプロセッサ(第14世代)」の実力を検証 クロックアップ分の性能向上はある?
Intelのデスクトップ向け「Coreプロセッサ(第14世代)」のアンロック対応品が発売された。その実力はいかほどのものか、ベンチマークテストを通してチェックしてみよう。【更新】
Intelのモバイル向け次世代CPU「Lunar Lake」は2024年第3四半期に登場 ライバルを超えるAI処理パフォーマンスを実現
Intelが、モバイル向け次世代CPU「Lunar Lake」の概要を発表した。2024年第3四半期に登場する予定で、ライバルCPU/SoCよりも高速なAIパフォーマンスを発揮できることが特徴だ。
「AI PC」がベールを脱ぐ! 次世代のモバイル向け「Core Ultraプロセッサ」正式発表 搭載ノートPCは順次発売
Intelが発表を予告していた「Core Ultraプロセッサ」が、ついに正式発表された。全てのモデルにAIプロセッサ(NPU)を搭載しており、NPUを利用できるアプリのパフォーマンスが大きく向上することが特徴だ。





