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「日本のユーザーにはとても感謝している」 M5Stack TechnologyのジミーCEOが語る今と今後、そして「MSX0」との向き合い方M5StackのジミーCEO独占インタビュー(4/4 ページ)

Maker FaierなどでおなじみのM5Stack Technology。同社CEOが来日に、Espressif Systemsによる買収や新社屋への移転、さらに今後に向けた取り組みを語ってくれた。

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生産体制の強化や外部委託、長期供給の製品提供の可能性は?

―― 今後の話に映りますが、今回、新しいESP32-P4が搭載された製品などが公開されましたが、ジミーさんが今後やりたいことは何ですか?

ジミー いろいろありすぎて、なかなか言えないですね(笑)。

高須 向こう半年ぐらいまでは、毎週何かしろ新製品が出ます。その半年の中で、どれが最優先でどれが後回しというのはころころ変わりますが、手持ちは半年分ぐらいあります。後はリソースの調整だけみたいなもので埋まっている一方で、普通に発売をやめちゃうこともよくあります。理由はそれぞれありますが。

―― M5Stackは、どんどん新しい製品が出てくるので、プロトタイピングには向いていると思いますし、元々ジミーさんがそういう製品が欲しいということで起業したと聞いています。ただ企業が、例えば工場とかで使う場合、同じスペックのものが何年も供給できるかということがポイントになります。初代のM5Stackはもう終売になっていたと思いますが、今後、エンタープライズ向け製品については仕様を変えずに5年とか6年とか供給するとか、そのような計画はありますか。

ジミー 初代のCore Basicは確かにEOL(End Of Life/生産終了)になっていますが、2.6/2.7という多少部品を変えて供給し続けています。

高須 完全にディスコンになったものってほとんどないと思うんですよ。ただ、売れないから製造をやめたという製品はあります。基本的には部品のバージョンを変えて、ソフトウェア的にはコンパチビリティーがある形で、今でもやってますみたいな形ですね。だから、Raspberry Pi 3B/4Bみたいなのとあまり変わんないと思ってはいます。

―― もうM5Stack Facesとかはないですよね。

ジミー 一部の販路では売り切れもありますが、あまり数が出ないので次を作っていないだけでEOLというわけではありません。

―― もちろんM5Stackだけなんじゃなくて、ArduinoやGroveセンサーとかも同様と思いますが、センサーの素子自体がディスコンというか、変わってしまう場合もあると思います。あるうちに買っておかないと、手に入りにくくなるものもあるので。

ジミー 確かにそういう事態もありますし、温湿度センサーやENVというユニットは、バージョンが1/2/3/4まで出ています。センサーのメーカーを変えたりして、後継製品を出しています。

―― センサーは基本的には後から出てくる方が、性能だけでなく精度が良くなっています。センサーメーカーが変わったりすると、ちょっと特性が変わるとかっていうのはありそうですけどね。

ジミー それは確かにそうですね。

高須 実際、Raspberry Piでは、同じものを5年間作るとか、7年間作るとかって発表していたりはするものの、そういうのはM5Stackでは確かに今のところはやっていません。そもそも、今使っている部品が5年後とか7年後に手に入るかってことが、よく分かっていないのが実情です。

現状では自社生産で回っているが将来的に外注する可能性も

―― 以前も規模がすごく大きくなった際に、EMS的なものを使って製造は外部に委託する予定はあるのかという質問をしました。その時は、現状は考えてないという返答でしたが、それは今も変わっていませんか? もちろん新社屋への移転で、さらに生産能力が向上したと思いますが。

ジミー 私の目の届くところで、安心して組み立てるというのが大前提ではあります。ただ、将来的にその需要が爆発して、品質のいい外注先工場が見つかれば、そういうところで組み立てることは否定しません。

 当社の製品の生産数量はそれほど多くはないので、多品種少量生産の品質を外注で維持することは大変難しく、自社でやっています。将来的に数量が多くなれば、外注工場を探す可能性もありますが、やはり品質第一だと考えています。私が安心して任せられるようなパートナーが見つかれば頼む可能性はありますが、現状は自社の生産能力で十分回っています。

日本のM5Stackユーザーにはとても感謝している

―― 最後に日本のM5Stackユーザーに対して、メッセージをいただけないでしょうか。

ジミー 2016年に、私が生産技術的な部分の実業と趣味を兼ねてM5Stackを作り、その後、日本でも販売を開始しました。高須さんの功績がとても大きいと思いますが、Makerコミュニティーを作っていただきました。そのMakerコミュニティーから、M5Stackの商品に関していい意見も悪い意見も含めてフィードバックをいただいて、M5Stackの製品開発に生かしてより良い商品を出し続けるという、いい循環ができたことがすごくうれしいです。

 それに伴っていい商品を出し続けなきゃいけないという責任もありますが、商品を買って評価してフィードバックをいただいているお客さまが、特に日本にはたくさんいるのでとても感謝しています。

高須 具体的にどこの会社というのは許可を取らないと言えないんですが、日本でもM5Stackの製品を商品に組み込んでいる会社がものすごくたくさん増えています。例えば、今日やっているロボット展に出展しているARMAという日本のスタートアップは、ロボットのハンドグリッパーにM5Stackを使っています。彼らは、2024年の「M5Stack Japan Creativity Contest」に応募して、優勝しています。

―― ありがとうございました。

西和彦 Jimmy Lai ジミー・ライ インタビュー MSX0 M5Stack Maker Fear 製造
日本のユーザーに向けて感謝の意を表すジミー氏

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