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32年に渡る革新がより良いビジネス体験をもたらす――レノボのユーザーイベント「ThinkPad Innovation 2024」に密着(2/3 ページ)

レノボ・ジャパンが、法人ユーザー向けイベント「ThinkPad Innovation 2024」を開催した。その名の通り、法人ユーザーにThinkPadの魅力を伝えようというイベントなのだが、発売直後で日本初公開(当時)のモデルも展示され、大盛況だった。その様子をお伝えする。

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最近見られるPCの変化

 昨今のPCにはどのような変化があっただろうか。元嶋氏は「この32年間の多くの期間で、ThinkPadは何かを作るために使われてきた」と振り返る。しかし、最近ではそのような使い方に加えて「(PCは)つながるためのツールにもなってきている」と語る。

 レノボの調査によると、2019年と2022年ではWeb(ビデオ)会議を行う割合が1.9倍に増えているという。これはいわゆる「コロナ禍」を契機とした動きだが、新型コロナウイルス感染症がある程度収束した現在でも、Web会議の活用率が25%から70%にまで上がってきているとのことだ。

 Web会議を始めとするオンラインコミュニケーションを円滑に行うには、自分の声が相手に伝わることと、相手の声が自分に聞こえることが重要になる。そのため、ThinkPadでもここ数年、オーディオ品質の改善が施されてきた。2021年には「Dolby Voice」を導入することでノイズキャンセリング機能を強化している。

 オンラインコミュニケーションが普及するにつれて、表情をきれいに伝える観点からWebカメラの品質向上を求める声も増えてきた。そこでThinkPadでは、2022年以降のモデルでは原則としてフルHD(1920×1080ピクセル)以上の撮影に対応するものを搭載するようになった。2024年モデルでは、4K(3840×2160ピクセル)撮影に対応するカメラを搭載するモデルもリリースしている。

 カメラは内部の接続インタフェースにもこだわっており、CPUのイメージプロセッサと“直結”する「MIPI(Mobile Industry Processor Interface)」を採用するものが増えた。MIPIカメラは、画質とセキュリティの両面を改善しやすいことが特徴で、今後のノートPCにおけるWebカメラの標準インタフェースになると目されている。

 マイクも設置位置や機構を改善することで、会議室に複数人いる環境でも相手にクリアな声を伝えやすくなった。

カメラの違い
数年前のThinkPadで標準だった「720p(HD/1280×720ピクセル)」画質のカメラと、最新フラッグシップモデルに搭載されている4K撮影対応のMIPIカメラでの画質比較。本文にある通り、MIPIはCPUのイメージプロセッサに直結しているので、映像処理を高速かつ高度に行える。そのため、単純に「解像度が上がる」という以上の画質改善効果を得られる
マイクも改良
最新のThinkPad X1シリーズでは、マイクの機構を改めることで集音性能を高めた

 “つながる”ことは、コミュニケーションだけにおいて重要というわけではない。昨今話題の生成AIの多くは「クラウドの向こう側にある」ため、「(インターネットへの)常時接続性が求められている」からだ。

 その観点から、レノボではモバイル通信に対応するThinkPadのラインアップを拡充している。同社では2007年に日本初の3Gモジュール内蔵ThinkPadを発売し、2017年からモバイル通信対応モデルを本格的に展開し始めた。2020年からは一部のモデルで5Gモジュールも選択できるようになり、現在ではほぼ全シリーズで5GモジュールまたはLTEモジュールを搭載可能だ。

5G
クラウドベースのAIが多いことを踏まえて、ThinkPadではほぼ全シリーズに5G/LTEモジュールを搭載するオプションを用意している

 「創造するためのツール」としても、ThinkPadは進化を続けている。ハイブリッドワークが進んできていることから「持ち歩きたくなる、または持ち歩きやすいデザイン」を追求する必要が生じたからだ。

 その結果として生まれたのが「コミュニケーションバーデザイン」だ。これは、クールでスタイリッシュな雰囲気を醸し出す狭額縁とカメラ画質の良さを両立するためのもので、4辺狭額縁を実現しつつ、カメラやマイクといったコミュニケーションに関係する部品を「バー」の中に独立して収めた。

 そのおかげもあり、現在のThinkPadではシリーズを通じて画面占有率85%以上を実現している。

コミュニケーションバー
昨今のThinkPadのデザイン的なアイデンティティーともなっている「コミュニケーションバー」。高画素なWebカメラはモジュール自体のサイズが大きくなりがちだが、このバーを設けることで、画面の額縁(フレーム)を拡大することなく高画素カメラを搭載できている(写真はThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Editionのコミュニケーションバー)

 変わっていないのは使い勝手の良さだ。「キーボードの打ち心地」はもちろん、独自のポインティングデバイスである「TrackPoint(トラックポイント)」、そして「タッチパッド」は、ストレスなく仕事をするのに重要なパーツと位置付け、薄型化が進んでも使い勝手を損なわないようチューニングを施しているという。

 ThinkPadならではの要素として信頼性と丈夫さも変わらず追求している分野だ。出荷前には約200種類の試験を行っており、米軍の物資調達基準である「MIL-STD-810H」に定められた耐衝撃/耐環境要件を満たしている。ファームウェア(UEFI/BIOS)には「自己回復ファームウェア」を導入することで、異常のあるファームウェアを自動的に安全なものに書き戻すことも可能だ。

変わらないが変わっているもの
操作性を損なわないよう常に改良が加えられているキーボードやTrackPoint、タッチパッドなどの入力パーツだ。プレゼンテーションの後に開設された展示コーナーでは元嶋氏を始めとするレノボの担当者とThinkPadの入力デバイスについて意見交換する人もいた
キーボード
2024年のThinkPadのキーボードでは、一部のモデルに「Copilotキー」が搭載された他、音量ダウン/アップを触覚で判断するための突起が設けられたこと、他社のPCと同じ使い勝手を実現するため「Ctrlキー」と「Fnキー」の位置の入れ替えなどが行われた
丈夫さ
ThinkPadの代名詞ともいえる丈夫さも改良を続けている。最近はソフトウェア(アプリ)の互換性確保についても注力しているという
ファームウェア
UEFI(BIOS)を始めとするファームウェアにおける信頼性向上も欠かしていない

 法人ユーザーでは昨今、採用するPC自体のサステナビリティー(持続可能性)に関する考慮を求められつつある。レノボでもPCのサステナビリティーを向上する取り組みを進めており、ボディーの部材への再生素材の採用を拡大している他、パッケージのプラスチックフリー化/100%リサイクル対応化を推進するなど、取り組みを強化している。

 2024年のThinkPadでは、一部のモデルでユーザーによるバッテリー交換に対応した。これもサステナビリティー向上策の一環で、今後もユーザー交換可能な部品の比率を高めていくという。

サステナビリティー
ThinkPadにおけるサステナビリティー向上の取り組み
CRU交換
「ThinkPad P14s Gen 5」(写真)や「ThinkPad T14 Gen 5」、ThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Editionなど、ThinkPadの2024年モデルではバッテリーを自分で交換できる設計を取り入れ始めた。現時点では「全モデル」ではなく、容量によっては自分で交換できないこともあるが、レノボでは「より多くのモデルで交換可能な設計とすることを目指す」という

自分の働き方でベストなノートPCを選ぶには?

 「使い方に合わせた、ベストなノートPCの選び方」だが、ここではもちろん「ノートPC=ThinkPad」である。

 ThinkPadの場合、X1シリーズ/P1シリーズを除きシリーズ名の下二桁の数字が画面サイズを表す。13なら13型台、16なら16型台のディスプレイを搭載するといった具合だ。

 その“例外”に当てはまるX1シリーズ(とP1シリーズ)は、ThinkPadのフラグシップモデルで、「次の当たり前を作るイノベーションが最初に組み込まれるモデル」との位置付けだ。ユーザーからの「フィードバックを得て、他のシリーズにも展開していく役割」も担っている。

 過去には「ウケが良くなくて1世代で終わってしまった」という取り組みもあったが、「ダメだったら戻せば良いという精神で開発している」という。

 PシリーズはCADやLLM(大規模言語モデル)など、PCに高負荷を与える使い方をする人向けのワークステーションモデルだ。Xシリーズはさまざまな場所で仕事をしたいというハイブリッドワーカー向けのモビリティーを重視プレミアムモデルという位置付けとなる(プレミアム感をさらに高めたものがX1シリーズ、という見方もできる)。

 Tシリーズもプレミアムラインだが、よりバランスを重視したスペックとなっている。Lシリーズは、ThinkPadのらしい価値をもれなく盛り込んだハイスタンダードモデルで、画面サイズの選択肢は13〜16型台と幅広い。Eシリーズは、スタイリッシュさを重視したスタンダードモデルとなる(ThinkPadに詳しい人なら、昔の「ThinkPad Edgeシリーズ」に相当すると考えれば分かりやすい)。

モデル
ThinkPadには、X1シリーズを含めると6つのシリーズが用意されている。アルファベットと数字だけで、ある程度モデルの素性が分かる

 これら6シリーズの中には、画面や本体のサイズが“かぶる”モデルもある。同じThinkPadなのに、これだけの機種があるのはなぜだろうか。

 その答えを元嶋氏は次のように語る。

 (法人では)「百社百様」「一社百様」の働き方がある。それらに寄り添えるよう、多くのラインアップをそろえている。ぜひ、自分の働き方に合ったThinkPadを選んでもらいたい。

 求めるスペックや重量など、ワークスタイルに合ったThinkPadを用意した結果、こうなったということだ。

いろいろあるよ
多様化するワークスタイルにマッチするようさまざまな機種を用意している

 元嶋氏のセッションの最後では、最近話題の「Copilot+ PC」についても触れられた。

 これは5月に発表された、オンデバイス(エッジ側)でのAI処理能力を高めたPCに付けられるブランド名で、元嶋氏は「ノートPCでWi-Fi(無線LAN)が標準搭載されたのと同じように、10年先にはCopilot+ PCが当たり前になっているはず」と予測する。

 今は目新しいものに思えるCopilot+ PCだが、その要件を満たすには一定のスペックを求められる。その要件にはセキュリティに関するものも含まれており、元嶋氏は「セキュリティを重視する企業ユーザーこそ、(Copilot+ PCを)選んでもらいたい」とも語った。

ThinkPad
イベントの展示会場には、ThinkPad初のCopilot+ PC準拠モデル「ThinkPad T14s Gen 6 Snapdragon」の他、Ryzen AI PRO 300シリーズ搭載の「ThinkPad T14s Gen 6 AMD(Strix Point)」が参考展示されていた。ThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Editionを含めると、ThinkPadではIntel/AMD/Qualcommの3社からCopilot+ PCを選べるようになる

提供:レノボ・ジャパン合同会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2024年12月23日

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