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仕事に役立つ独自AIアプリを用意! ASUS 「ExpertBook P5」はビジネスノートPCの新形態となるか? 実際に試して分かったこと(3/4 ページ)

ASUS JAPANから、14型ビジネス向けノートPCの新モデル「ExpertBook P5」(P5405CSA)が発売された。同社独自のAIアプリを含め、性能をチェックした。

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AI性能はCPUで決まる AI利用を考慮したスペック選びが重要

 それでは、本機の内部スペックについて見ていこう。本機には3つのモデルがあるが、最も重要なスペックの違いはCPUだ。まずどのモデルがどのCPUを搭載しているのか、スペックをまとめた。

モデル名 P5405CSA-NZ0054X P5405CSA-NZ0150X P5405CSA-NZ0052X
CPU Core Ultra 7 258V Core Ultra 5 228V Core Ultra 5 226V
内蔵GPU Intel Arc Graphics 140V Intel Arc Graphics 130V Intel Arc Graphics 130V
NPU Intel AI Boost Intel AI Boost Intel AI Boost
メモリ 32GB 32GB 16GB
直販価格 24万9800円 21万9800円 19万9800円

 それぞれCPUが異なるが、実はPコア4基/Eコア4基の計8スレッドといったコア構成は共通だ。クロックについてはCore i7(最大4.8GHz)の方がCore i5(最大4.5GHz)よりも高い。同じコア数でも、より高い性能を求めるならCore i7が適している。

ASUS JAPAN ノートPC ExpertBook P5 P5405CSA 14型 ASUS AI ExpertMeet
評価機(P5405CSA-NZ0054X)はCore Ultra 7 258Vを搭載する

 CPU内蔵GPUは、Core i7モデルだけIntel Arc Graphics 140Vとなる。グラフィックスコアのXe-coreの数がCore i5よりも1基多い8基備えており、動作クロックも高い。性能を数値で見ると、Intel Arc Graphics 140Vは64TOPS(INT8)、Core i5のIntel Arc Graphics 130Vは53TOPS(同)と、11TOPSのパフォーマンス差がある。

 本機はAIノートPCなので、この差はグラフィックスパフォーマンスというよりはAI性能と捉えるのが良いだろう(GPUもAIに活用される)。

ASUS JAPAN ノートPC ExpertBook P5 P5405CSA 14型 ASUS AI ExpertMeet
Core Ultra 7 258VのGPU機能は、CPU内蔵のIntel Arc Graphics 140Vとなる

 NPUについてはIntel AI Boostで共通だが、実はここにも性能差がある。Core Ultra 7 258Vは47TOPSなのに対し、Core i5モデルは40TOPSだ。GPUと合わせて計算すると、Core Ultra 7 258Vは111TOPSであるのに対し、Core i5モデルは93TOPSとなる。

ASUS JAPAN ノートPC ExpertBook P5 P5405CSA 14型 ASUS AI ExpertMeet
AIベンチマークテストでNPUがしっかり利用されているのが分かる

 もう1つ大事なのはメモリだ。Core Ultra 200VシリーズCPUは、メモリをCPUパッケージに内蔵しているため、CPU次第でメモリ搭載量が決まる。Core Ultra 7 258VとCore Ultra 5 228Vは32GB、唯一Core Ultra 5 226Vは16GBだ。

 AIに興味のある人なら、AIでは大量のグラフィックスメモリを消費すると耳にしたことはないだろうか。本製品は統合型GPUを利用するノートPCなので、AIはメインメモリを使う。メインメモリのトレンドは8GBを脱し、数年前から16GBへと移行してきた。そしてここにきてAIがブームだ。16GBは必須、できれば32GBは欲しい。Core Ultra 5 228Vが32GBを搭載しているのはそのためだ。

ASUS JAPAN ノートPC ExpertBook P5 P5405CSA 14型 ASUS AI ExpertMeet
CPUパッケージ内にメモリが内蔵されているため、メモリ容量は後から変更できない。Core Ultra 7 258Vの場合は32GBを装備する

 実際、どのくらいメモリを消費するのだろうか。ULのベンチマーク「Procyon」のAIベンチマークを実行し、メモリ消費量を確認してみた。

 まずAI Image Generation BenchmarkのStable Diffusion 1.5(画像生成)では、FP16とINT8、iGPUとNPUとも物理メモリ使用量は14GB前後だった。次はより処理が重いStable Diffusion XLのFP16、iGPU使用時で26.5GB、テキスト生成のAI Text Generation Benchmarkでは24.2GBだった。

 なお、この検証はベンチマークのみ起動、他のアプリケーションは何も起動していない。実際のAI運用では、他アプリケーションとの連携が重要になってくる。その他アプリケーション分のメモリ使用量を加味したい。そうなると、ExpertBook P5シリーズを検討するならメモリ容量が32GBのP5405CSA-NZ0054X、またはP5405CSA-NZ0150Xを本命としたい。

 もちろんどのようなAIを利用するのかでメモリ使用量は異なる。メモリ消費を抑えたものなら16GBで足りることは十分にあり得る。また、物理メモリの容量を上回ると仮想メモリを使用するため、速度はさておき全く動かないというものではない。まず動かす、AIの可能性を探るというなら16GBモデルを選ぶというのもありだろう。

 せっかくなので、Procyon、AIベンチマークのスコアも提示しておこう。以下では、全てツールキットはIntel Open VINOを指定している。

AI Computer Vision
CPU GPU NPU
FP32 FP16 INT FP32 FP16 INT FP16 INT
Overall Score 76 77 240 320 865 1305 904 1612

AI Image Generation
GPU NPU
Stable Diffusion 1.5(FP16) Stable Diffusion 1.5(INT8) Stable Diffusion XL(FP16) Stable Diffusion 1.5(INT8)
Overall Score 350 2287 299 2665
Image Generation Speed(s/image) 17.832 13.659 125.359 11.723

AI Text Generation
PHI 3.5 MISTRAL 7B LLAMA 3.1 LLAMA 2
Overall Score 923 818 783 703
Average OTS(tokens/s) 32.18 21.335 20.082 11.185

 一方、ストレージについてはCore i7モデルが容量1TB、Core i5モデルが容量512GBとなる。

ASUS JAPAN ノートPC ExpertBook P5 P5405CSA 14型 ASUS AI ExpertMeet
Core i7モデルのSSD(1TB)におけるCrystalDiskMarkのスコア。シーケンシャルリードは毎秒6.3GBクラスの比較的高速なSSDを採用していた

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