「ZenBook SORA UX3407」シリーズはArm版Copilot+ PCの大本命か 日本市場向けに開発された1kg切りモバイルPCの実力を検証する(3/3 ページ)
ASUS JAPANが、Qualcomm搭載の14型モバイルPC「ZenBook SORA UX3407」を投入した。日本向けに特化したモデルとして、新しい名称まで付与された新製品を試し分かったことをまとめた。
薄型軽量でもパワフルなパフォーマンス
ここからは、ベンチマークテストの結果を掲載する。基本的にMyASUSユーティリティーで選べるファンモードは「フルスピード」、Windows 11の電源設定は「最適なパフォーマンス」で計測している。
Snapdragon X Elite搭載機は想定している熱設計の幅が広いため、製品によって実際に発揮できるパフォーマンスが異なる傾向が強いが、本機はX1E-78-100搭載機の中でもトップクラスだ。
CINEBENCH 2024(最低実行時間10分)では、SoCが同じでより大きなフォームファクター(15型、約1.42kg)のVivobook S 15 S5507QAとほぼ同等のスコアだ。マルチスレッド性能のテストではCore Ultra 7 258V搭載の「Vivobook S 14 S5406SA」を圧倒し、Ryzen AI 9 HX 370を備えた「ZenBook S 16 UM5606WA」のスコアも上回っている。
その他のテストでも、Vivobook S 15 S5507QAと同じかそれ以上のスコアをマークしており、Snapdragon X Elite(X1E-78-100)のポテンシャルをフルに発揮できていることが分かる。
その分、フルスピードモードでの動作音はかなり高いが、ファンの動作音を抑えるスタンダードモードやウィスパーモードが用意されているので、使い分ければ良いだろう。
PCMark 10 Applications Battery Lifeで計測したバッテリー駆動時間は20時間25分(残量100%から2%まで)だった。ASUS独自基準による公称値(約29時間)には及ばないものの、十分に長い駆動時間を記録した。
PCMark 10 Applications Battery Lifeの結果。MyASUSユーティリティーのファンモード「スタンダード」、Windows 11の電源設定「バランス」で実施。バッテリー残量100%から2%までで20時間25分駆動した
CINEBENCH 2024のCPUテスト実行開始後約10分の時点でFLIR ONEで撮影したサーモグラフィー(室温20度)。キーボード奥を中心に高温になっているが、パームレストは最大でも31度以下とクールな状態だ
Arm版Copilot+ PCの大本命か
ZenBook SORA UX3407の魅力は、1kgを切る超軽量なボディーだ。既存のSnapdragon X Eliteを搭載したCopilot+ PCは、1.3〜1.5kgくらいの重量でモバイル向けとしては少し重めの製品が多かっただけに、ようやく日本のモバイルPC市場にフィットする製品が登場してきたという感想だ。
既にSnapdragon Xシリーズを採用したCopilot+ PCを複数日本市場へ投入しているASUS JAPANの製品だけに、本機の完成度も非常に高い。x64版CPUを搭載するPCに比べてユーティリティーの機能が乏しいということもなく、Snapdragon X Eliteの高いパフォーマンスもバッテリー効率もしっかりと生かすことができている。Ceraluminum(セラルミナム)素材の採用による見た目の美しさや耐摩耗性、上質感も大きな付加価値だろう。
本機の直販価格は、Microsoft 365 Basic(1年間使用権)+Office Home & Business 2024(デジタルアタッチ版)が付属する関係で26万9800円だが、同アプリを省いたモデル(UX3407RA-HA32570BEおよびUX3407RA-HA32570GR)なら21万4800円、さらにSSDの容量を1TBとしたモデル(UX3407RA-HA32170BEおよびUX3407RA-HA32170GR)なら22万4800円だ。
ちなみに、下位となるZenBook SORA UX3407QAシリーズの直販価格は、17万9800円〜20万9800円とさらに安い。
加えて、2月5日から3月31日の期間限定で、Zenbook SORA UX3407シリーズを購入して応募すると1万円相当(学生は2万円相当)の選べるデジタルギフトを必ずもらえるキャンペーンも開催される(詳細はキャンペーンサイトをチェックしてほしい)。
Armアーキテクチャ/Arm版Windows 11搭載機ゆえの互換性の課題には留意が必要だが、それを承知で選択するユーザー、特に持ち運んで使いたいユーザーにとっては、大本命といえる存在だろう。
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