「Ryzen 9 9950X3D」はゲームになると“水を得た魚”になる限界突破CPU L3キャッシュ“爆盛”の破壊力をチェック（2/4 ページ）

AMDが、L3キャッシュ爆盛CPUのハイエンドモデルをまもなく発売する。そのパフォーマンスを先行チェックしよう。

[迎悟，ITmedia]

Ryzen 9 9950X3Dの実力をチェック！

　ここからは、ベンチマークテストアプリを使用してRyzen 9 9950X3Dの実力をチェックしていく。

　今回、AMDからはRyzen 9 9950X3Dに加えて、マザーボード／メモリ／SSDも「レビューキット」として借りている。これに、同じ時期に別件でAMDから借用していた「Radeon RX 9070XT」を組み合わせてテスト用PCを構築した。

　なお、今回はテスト環境でCPUをRyzen 9 9950X（3D V-Cacheなし）に取り換えたテストも併せて行っている。また、過去に行った「Core Ultra 9 285K」のテスト結果も参考値として掲載する。Core Ultra 9 285KについてはGPUやアプリ（ソフトウェア）のバージョンも異なるので、あくまで参考と捉えてほしい。

ベンチマークテストの環境

GIGABYTE X870E AORUS MASTERに組み込んだRyzen 9 9950X3D

CINEBENCH R23

　3Dレンダリングを通してCPUのパフォーマンスを確認できる「CINEBENCH R23」の結果は以下の通りだ。

• シングルコア
  • Ryzen 9 9950X3D：2215ポイント
  • Ryzen 9 9950X：2187ポイント
  • Core Ultra 9 285K：2398ポイント
• マルチコア
  • Ryzen 9 9950X3D：4万1600ポイント
  • Ryzen 9 9950X：4万1225ポイント
  • Core Ultra 9 285K：3万8704ポイント

　Ryzen 9 9950X3Dのスコアは、わずかにRyzen 9 9950Xを上回った。CINEBENCH R23のテスト内容はL3キャッシュの容量差があまり出にくいが、少なくともRyzen 9 9950X3DとRyzen 9 9950XでCPUコア自体に性能差はほぼないと考えて良いだろう。

　Core Ultra 9 285Kとの比較だが、シングルコアスコアでは敗北した一方でマルチコア性能は上回っている。AMDの「全部パフォーマンスコア（Pコア）」作戦は、多コアを求めるアプリでは効果はてきめんとなる。

　ともあれ、Ryzen 9 9950X3Dは現行のコンシューマー向けデスクトップ用CPUとしては最高クラスの性能を備えている。

CINEBENCH R23のスコア

Blender Benchmark

　もう1つ、CPUを使うテストとして「Blender Benchmark」を実行した。

　その名の通り、Blender Benchmarkは2D／3Dアニメーション制作ツール「Blender」をベースとしたベンチマークテストで、レンダリングを通してCPU／GPUのパフォーマンスをチェックできる。今回は「Monster」「Junkshop」「Classroom」の3つのシナリオをCPUで実行し、1分当たりに生成できたサンプル（オブジェクト）の数を比較する。

　結果は以下の通りだ。

• Monster
  • Ryzen 9 9950X3D：275.835519個
  • Ryzen 9 9950X：261.859941個
  • Core Ultra 9 285K：246.994241個
• Junkshop
  • Ryzen 9 9950X3D：198.892322個
  • Ryzen 9 9950X：191.750896個
  • Core Ultra 9 285K：167.575754個
• Classroom
  • Ryzen 9 9950X3D：136.250817個
  • Ryzen 9 9950X：131.386160個
  • Core Ultra 9 285K：117.096901個

　結果の順位はCINEBENCH R23とほぼ同じだ。アプリこそ違えど、プログラムが行う内容は近しいことから、結果も似通うのは当然ともいえる。

Blender Benchmarkの1分間当たりの生成オブジェクト数

PCMark10

　PCの総合的な性能をチェックする「PCMark 10」の総合スコアは以下の通りだ。

• Ryzen 9 9950X3D：1万1325ポイント
• Ryzen 9 9950X：1万1006ポイント
• Core Ultra 9 285K：9954ポイント

　PCMark10では、ブラウジングやドキュメント作成、画像編集やビデオ会議など一般的なPC操作におけるパフォーマンスをテストする。そのこともあってか、過去の3D V-Cache搭載CPUと同様に、増量されたL3キャッシュによる恩恵は少ない。

　とはいえ、現行のコンシューマー向けのCPUとして、最も良好なスコアを記録しているため、日常的なPC操作においても「Ryzen 9 9950X3Dは最も快適なCPUである」ともいえる結果を残した。

PCMark 10の総合スコア

3DMark

　3Dグラフィックスの総合ベンチマークテストアプリ「3DMark」から、DirectX 11ベースの「Fire Strikeシリーズ」と、DirectX 12ベースの「Time Spyシリーズ」、そしてレイトレーシング性能をテストする「Port Royal」を実行した。総合スコアは以下の通りだ。

• Fire Strike（DirectX 11／フルHD）
  • Ryzen 9 9950X3D：5万3857ポイント
  • Ryzen 9 9950X：5万2745ポイント
  • Core Ultra 9 285K：3万5645ポイント
• Fire Strike Extreme（DirectX 11／WQHD）
  • Ryzen 9 9950X3D：3万3295ポイント
  • Ryzen 9 9950X：3万2985ポイント
  • Core Ultra 9 285K：2万3855ポイント
• Fire Strike Ultra（DirectX 11／4K）
  • Ryzen 9 9950X3D：1万8030ポイント
  • Ryzen 9 9950X：1万8012ポイント
  • Core Ultra 9 285K：1万2595ポイント
• Time Spy（DirectX 12／WQHD）
  • Ryzen 9 9950X3D：2万6443ポイント
  • Ryzen 9 9950X：2万6025ポイント
  • Core Ultra 9 285K：1万9256ポイント
• Time Spy Extreme（DirectX 12／4K）
  • Ryzen 9 9950X3D：1万4232ポイント
  • Ryzen 9 9950X：1万4265ポイント
  • Core Ultra 9 285K：9750ポイント
• Port Royal
  • Ryzen 9 9950X3D：1万8975ポイント
  • Ryzen 9 9950X：1万8587ポイント
  • Core Ultra 9 285K：1万476ポイント

　先のテストと同様に、Ryzen 9 9950X3Dがベストスコアとなっている。ただ、過去のテストでは「3D V-Cacheの力で3D V-Cache非搭載上位モデルに迫る」ということがあったが、今回はそのような様子が見受けられない。

　Ryzen 9 9950X3DとRyzen 9 9950Xのスコア差だが、描画解像度が高くなるほど小さくなる様子も伺える。誤差レベルだが、Time Spy ExtremeではRyzen 9 9950Xの方がむしろ良いスコアだ。推測だが、今回のテスト環境で利用したGPUがRadeon RX 9700 XTのターゲット解像度がWQHD（2560×1440ピクセル）で、4K解像度だとGPUがボトルネックになった可能性もある。

3DMarkの総合スコア