メーカー担当者が解説! 自作PCパーツの“あるある”トラブルを避けるためにできること:ASK★FES 2025(3/4 ページ)
PCパーツ代理店大手のアスクが、自作PCパーツに関するイベントを約2年ぶりに開催した。主要なPCパーツメーカーが登壇したトークショーでは、PCパーツのトレンドや「自作PCに関する疑問」に関して答える場面も見受けられた。
自作PCのトラブルでよくあることとは?
ASUSのPRセッションの後は、再び主催者によるステージイベント「自作PCあるある! トラブル解決テクニック座談会」が開催された。司会を務めるアスクの徳田氏が、ゲストのASRock原口氏、GIGABYTE岡田氏、MSI豊田氏、ZOTAC圓井氏に質問を投げかけるという形式で進められた。
なお、本セッションでは開始前に「パネリストの発言はメーカーを代表して回答しているわけではない」ということが念入りに伝えられた。
封印シールが剥がれていても保証は受けられる?
最初の質問は「製品に付いている各種シールを剥がしても保証が受けられるのか?」というものだった。
これに対してASRockの原口氏は「当社のスタンスとしては、ちゃんと読めればいいというのがあります。シールが剥がれた場合でも、読めればできるだけ対応しています。また、製品を買ったらすぐに、パッケージと本体に書かれているシリアル番号を撮影して保存しておくこともお勧めします。そうすれば、後でシールが汚れたりかすれたりして読めなくなっても、販売経路を割り出せます」と回答した。
GIGABYTEの岡田氏も「基本的には(ASRock)と同じで、製品パッケージのシリアル番号と購入証明があれば、基板のシールが剥がれていても対応はできると思います」と答えた。
MSIの豊田氏は「製品に付いているシールは剥がさないでいただきたいということが前提ですが、パッケージと本体のシリアル番号を事前に撮影していただいて、もし剥がれた場合は(事前に)相談してください」という。ZOTACの圓井氏は「基本的にはシリアル番号の写真を撮っておいて、レシートと一緒に『Gmail』などで自分宛に送っておけば、後で検索しやすいと思います」と回答した。
共通しているのは、シリアル番号などが記載されているシールは、買ったらすぐに撮影して保存しておくべきという点だ。ここは留意したい。
マザーボードやグラフィックスカードにシリアル番号などを記載したシールが貼られている場合、どうしても経年で剥がれやすくなってしまう。適切なサポートを受けたいなら、買ってすぐにシールを撮っておくことは重要だろう
改造やオーバークロックはメーカーにバレる?
次の質問は、「改造やオーバークロック(OC)などをしたら、メーカーにバレて保証が受けられなくなるのか?」というものだった。改造はさておき、オーバークロックについてはメーカーが“ウリ”として訴求することも増えている反面、設定したら保証が無効になる場合もある。どこまでが「保証範囲」なのかという点は、確かに気になる所である。
まず、MSIの豊田氏は「マザーボードの保証という点だけでいうと、『Intel XMP』『AMD EXPO』といったCPU/チップセットメーカーが提供するOC機能、あるいは『Game Boost』『AI Boost』といった当社が提供するワンクリックOCであれば保証いたします。一方で、UEFI(BIOS)または『MSI Afterburner』を使った(手動の)OCは保証対象外です。
ここで徳田氏が「ワンクリックOCをしたのか、マニュアルOCをしたのか分かるのですか?」と突っ込んだところ、豊田氏は「基本的には(UEFIやアプリの)ログを見ないと分からず、工場まで持っていかないと分からないです。ただ、見方を変えるとマニュアルOCで壊れた場合は工場ではバレるということですので、(修理依頼時は)正直に申告していただいた方がありがたいです」と答えた。
ZOTACの圓井氏も「MSIさんと同様に、ワンクリック系のOCは保証対象です。『FIRESTORM』(ZOTACのユーティリティーアプリ)内でいじれる範囲であれば、そもそも壊れることはないという前提ではあるので『バレて保証がなくなる』かどうかは分からないというのが正直なところです。しかし、“ギリギリの”チューニングをすると、基板にダメージが及ぶことがあり、それは工場に持っていけば分かりますので、結局は不正なOCをすると保証がなくなることもあります」と回答した。
ASRockの原口氏は「当社の場合は検査装置が優秀なので、多少でも(OCを)やっていたら速攻で分かります。確実にバレます。『何もしていないのに壊れた』と言われるというと『うーん』という気持ちにはなりますが、あえてグレーな回答をさせていただきます。(OCを)やってるかやってないかはバレますが、サポートしないとは言ってない」と回答。
原口氏は続けて「ただ、普通は無理なOCをすると、マザーボードよりも先にメモリかCPUかGPUが死ぬんですよね。マザーボードが死ぬというのはあまりないですが、OCをするとパーツの寿命が加速度的に縮むので、結局は分かります。なので、動かなくなったら(サポートに)送ってみてという感じですね。物理的な物損がない限り、基本的には交換するといった措置は行っています」ともした。
GIGABYTEの岡田氏は「一応、(申告時に)『改造をした』と書かれてしまうと保証できないですね。当社は堅いメーカーですので。ただ、基板自体の設計をしっかり作り込まれているので耐久性には自信があります。ワンクリックOCに関しては耐えられる範囲で作られていると思いますが、それは保証とはまた違うと思います」と答えた。
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