「Radeon RX 9060 XT(16GB)」は性能と価格のバランスが絶妙な高コスパGPU フルHD/WQHDでゲームをするならお勧めできる理由:先行レビュー(2/4 ページ)
COMPUTEX TAIPEI 2025に合わせて発表されたRadeon RX 9060 XTを搭載するグラフィックスカードがついに発売される。発売に先んじてレビューする機会を得たので、その実力をチェックしていこう。
ベンチマークテストでRadeon RX 9060 XTの実力をチェック
ここからはRadeon RX 9060 XTの実力をベンチマークテストを通してチェックする。
今回は「Core Ultra 7 265K」を軸に組み立てた自作PCに、PULSE AMD Radeon RX 9060 XT 16GBを取り付けてテストを行った。グラフィックスドライバは、テスト版の「バージョン25.10.09.01」を使っている。
参考として、同じPCにおいて以下のグラフィックスカードを使ってテストも実施し、その結果も併載する(いずれも、ドライバは6月4日時点で最新の正規版を使っている)。
- PowerColor Red Devil AMD Radeon RX 9070 16GB GDDR6
- PowerColor Red Devil AMD Radeon RX 9070 XT 16GB GDDR6
- Gainward GeForce RTX 5060 Ti Python III 16GB
3DMark
まず、3Dグラフィックスの総合ベンチマークテスト「3DMark」の主要テストを一通り実行した。今回は、DirectX 11ベースの「Fire Strikeシリーズ」、DirectX 12ベースの「Time Spyシリーズ」と、そしてリアルタイムRT性能をテストする「Port Royal」を計測している。結果は以下の通りだ。
- Fire Strike(フルHD:1920×1080ピクセル)
- Radeon RX 9060 XT:3万5203ポイント
- Radeon RX 9070 XT:4万6801ポイント
- Radeon RX 9070:4万3117ポイント
- GeForce RTX 5060 Ti:3万7602ポイント
- Fire Strike Extreme(WQHD:2560×1440ピクセル)
- Radeon RX 9060 XT:1万8461ポイント
- Radeon RX 9070 XT:3万2608ポイント
- Radeon RX 9070:2万9227ポイント
- GeForce RTX 5060 Ti:1万9750ポイント
- Fire Strike Ultra(4K:3840×2160ピクセル)
- Radeon RX 9060 XT:9820ポイント
- Radeon RX 9070 XT:1万7817ポイント
- Radeon RX 9070:1万5999ポイント
- GeForce RTX 5060 Ti:9725ポイント
- Time Spy(WQHD:2560×1440ピクセル)
- Radeon RX 9060 XT:1万6511ポイント
- Radeon RX 9070 XT:2万6700ポイント
- Radeon RX 9070:2万4777ポイント
- GeForce RTX 5060 Ti:1万5859ポイント
- Time Spy Extreme(4K:3840×2160ピクセル)
- Radeon RX 9060 XT:8044ポイント
- Radeon RX 9070 XT:1万4059ポイント
- Radeon RX 9070:1万2934ポイント
- GeForce RTX 5060 Ti:7709ポイント
- Port Royal
- Radeon RX 9060 XT:9688ポイント
- Radeon RX 9070 XT:1万8368ポイント
- Radeon RX 9070:1万6062ポイント
- GeForce RTX 5060 Ti:9902ポイント
先述の通り、CUの数で単純計算すると「Radeon RX 9060 XTはRadeon RX 9070 XTの半分の性能」となる。しかし、最大クロックを引き上げた成果もあってか、スコア上はRadeon RX 9070 XTの半分を少し上回った。
また、価格帯も近く市場では直接のライバルになるであろうGeForce RTX 5060 Ti(16GB)と比べると、スコア的に遜色はなく、テストによっては勝利を収めている。
今までなら「同等モデルだとRadeonが少し劣る」という印象も強かったかもしれないが、今回は実売価格が同じであればゲームならGeForceでもRadeonでも好きな方を選べるといった感じで良さそうだ。
FF14ベンチマーク/FF15ベンチマーク
続いて、実際のゲームをベースとするベンチマークテストを実行してみよう。
まず、比較的動作が軽い「ファイナルファンタジーXIV:黄金の遺産 ベンチマーク(FF14ベンチマーク」を試す。「軽量」とはいうものの、本バージョンでは時代を鑑みて最低動作要件が引き上げられおり、高負荷時にはAMDのFSR、またはNVIDIAの「DLSS(Deep Learning Super Sampling)」といった超解像技術も利用できる。
今回は画質設定を「最高品質」とした上で、フルHD/WQHD/4K(3840×2160ピクセル)の3つの解像度でテストを行った。超解像技術は「60fpsを下回る場合に有効」としている。結果は以下の通りだ。
- フルHD
- Radeon RX 9060 XT:1万8420ポイント
- Radeon RX 9070 XT:2万3938ポイント
- Radeon RX 9070:2万4777ポイント
- GeForce RTX 5060 Ti:1万9545ポイント
- WQHD
- Radeon RX 9060 XT:1万2845ポイント
- Radeon RX 9070 XT:2万454ポイント
- Radeon RX 9070:1万9566ポイント
- GeForce RTX 5060 Ti:1万4872ポイント
- 4K
- Radeon RX 9060 XT:5961ポイント
- Radeon RX 9070 XT:1万2494ポイント
- Radeon RX 9070:1万1734ポイント
- GeForce RTX 5060 Ti:7914ポイント
スコアの差は3DMarkのテストの差と近いが、解像度が上がるほど差が開いている。4K解像度となると、Radeon RX 9070 XTの約47%のスコアと半分未満になってしまっている。競合となる5060 Tiとの比較では、フルHD解像度は約1000ポイント、WQHD解像度や4K解像度では約2000ポイントの差が出ている。
実際にテストの様子を見た限りにおいていえば、普通に遊ぶだけなら、WQHD解像度までならミドルレンジGPUでも十分なゲーム体験を得られる。言い換えれば、ゲーム体験ではハイエンドGPUとの差は感じづらいと思われる。
では、FF14ベンチマークと比べると負荷のやや重い「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK(FF15ベンチマーク)」のスコアは、どうなるだろうか。今回は画質を「高品質」で、先ほどと同じくフルHD/WQHD/4Kの3解像度でテストを実施した。結果は以下の通りだ。
- フルHD
- Radeon RX 9060 XT:1万2908ポイント
- Radeon RX 9070 XT:1万9165ポイント
- Radeon RX 9070:1万8213ポイント
- GeForce RTX 5060 Ti:1万6027ポイント
- WQHD
- Radeon RX 9060 XT:9362ポイント
- Radeon RX 9070 XT:1万5664ポイント
- Radeon RX 9070:1万4276ポイント
- GeForce RTX 5060 Ti:1万1615ポイント
- 4K
- Radeon RX 9060 XT:5213ポイント
- Radeon RX 9070 XT:9412ポイント
- Radeon RX 9070:8466ポイント
- GeForce RTX 5060 Ti:6574ポイント
4K解像度を含めて、Radeon RX 9060 XTは意外と健闘している。ただ、解像度が高くなるほどRadeon RX 9060 XTが厳しくなる情勢は変わりない。
解像度が上がるほどに、GPUで処理するデータ量は増える。推測にはなるが、Radeon RX 9060 XTのグラフィックスメモリはバス幅がRadeon RX 9070/9070 XTの半分(256bit→128bit)となるので、そこがボトルネックとなっている可能性はある。
また、FF15ベンチマークでは5060 Tiとのスコア差がより大きく出ている。これは、PC版のFF15がGeForceにより最適化されていることが原因だと思われる。
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