「Insta360 GO Ultra」はウェアラブルから本格撮影まで、 一台で何役もこなせる可能性を秘めている 実機レビュー:武者良太の我武者羅ガジェット道(3/3 ページ)
製品名に世代を示す数字ではなく「Ultra」と刻まれたあたり、従来のナンバリングモデルとは異なる思想で開発された最新アクションカメラということで、その実態に迫ってみましょう。
手ブレ補正を生かしたときの画角はほぼ一緒
Insta360 GO Ultraの広くなったという画角を見てみましょう。これは手ブレ補正/水平補正オフ、MEGA広角時の画角になります。Insta360 GO 3Sと比べると確かに広く、2〜3歩下がった位置から撮影しているように感じます。
続いてInsta360 GO Ultraの手ブレ補正強/水平補正あり、MEGA広角時の画角です。各種補正を生かすために、クロップされていることが分かります。
興味深いのはInsta360 GO 3Sの場合、手ブレ補正/水平補正ありの設定にしてもあまり画角が変わらないこと。そして補正ありのInsta360 GO Ultraの画角とほぼ一緒となることです。
Insta360 GO Ultraの手ブレ補正設定は、弱/標準/高、Insta360 GO 3Sは標準/高/最大となっており、表記が異なります。
画角の違い、そして階段で歩いたときの補正状況を見るに、大型のセンサーを用いたInsta360 GO Ultraは、従来の方式では手ブレ補正の効き具合が薄れてしまうのかもしれません。つまり補正力を補うために、より広角のレンズを導入したと考えてよさそうです。
日中に撮影した動画では、手ブレ補正の効果の差が分かりづらかったのですが、夜間となると明らかにInsta360 GO Ultraの方が勝っているポイントが確認できました。
歩いているときの上下振動によるジッターブラーが少ないのです。夜でもスッキリとした見栄えの映像が撮影できるのは、大きな魅力となっています。
4K/60fpsの効果はどんなものでしょうか。動きが早いシーンを撮るのであれば、Insta360 GO Ultraの性能は確実に生きます。大容量のmicsoSDメモリーカードを交換しながら使えるので、ファイルサイズが大きくなる画質設定での撮影も負担になりません。
またワイヤレス通信性能も上がっているようで、撮影したデータをスマホアプリに転送する際に、Insta360 GO Ultraの方が短時間で済みました。
センサーサイズ大型化の恩恵は、夜景撮影時にこそ受けられるといわれています。確かにInsta360 GO Ultraの夜景動画は全体的にダイナミックレンジが広い。Insta360 GO 3Sと比較して白飛びや黒つぶれが控えめです。
とはいっても、Insta360 GO 3Sの映像も十分にきれいだとも感じますね。小型センサーでよくここまで破綻させずに見せていると感じます。
撮影データの破損でInsta360 GO Ultraのみしか用意できなかったのですが、別の画角の作例動画もご覧ください。Insta360 GO Ultra/3S共にMEGA広角(ゆがみ中・画角中)、超広角(ゆがみ大・画角広)、デワープ(ゆがみ小・画角狭)、リニア(ゆがみ極小・画角狭)のモードが選べますが、これはデワープモードで撮影したものになります。自転車やバイクでのFOV動画やスポーツシーンを撮るなら、デワープもしくはリニアがオススメです。
コンデジとしても魅力があるInsta360 GO Ultra
Insta360 GO Ultraはウェアラブル運用ができるカメラでも、より多様な使い方ができることを狙ってきたモデルです。そういった意味で、Insta360 GO 3Sとはすみ分けができるでしょう。気軽に日常を記録したいのであれば、Insta360 GO 3Sでも十分だと感じるシーンが多く、商品価値は今もなお高いままです。
しかし、Insta360 GO Ultraは定点撮影も手持ち撮影もウェアラブル撮影も自由度が高く、鉄板などに固定するマグネットも強力で安定感があります。撮影データをPCに移動させるのも簡単だし、多機能なPC用編集アプリが使いやすいといったメリットもあります。
もちろんセンサーサイズの大型化による、暗所撮影品質の向上も見逃せないストロングポイントですが、それ以上に運用がしやすくなったことを高く評価したいですね。アクションカムではなく、超広角コンデジとしても選んでよいでしょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
新しい「Insta360 GO 3」は激変 充電ケースでアクションカム風に変貌する親指サイズのライフログカメラを試す
指先サイズのカメラ「Insta360 GO 3」が登場しました。従来の充電ケースはワイヤレスイヤフォンの充電ケースをほうふつとさせるデザインでしたが、新型はアクションカム風に変更されています。実機でその使い勝手を試してみました。
Insta360、8K/360度撮影対応ドローン「Antigravity A1」発表 デュアルレンズで本体消える 直感操作と専用ゴーグルで視点自在
2026年1月に全世界で発売する。価格は未定。
扱いやすい機能を凝縮したハイコスパなスマホジンバル「Insta360 Flow 2」 Proとの違いは?
特別な使い方をするのでなければ、Insta360 Flow 2で十分だと感じるモデルだったのです。
1年で大幅進化した「Insta360 X5」先行レビュー センサー大型化と新映像エンジンの実力を“X4”と比較した
「Insta360 X5」が登場! 大型センサーと新エンジンで画質向上、8K30fps、5.7K60fps HDRに対応。レンズ交換も可能に。
Apple DockKit対応ジンバル「Insta360 Flow 2 Pro」は、多くの改善ポイントを重ねて使いやすくなった
従来モデルと比較して「これは良いものだ」と感じられる進化……とまでは言い切れないけど、“技アリ”な改善ポイントがいくつもあったのです。



