大阪・関西万博のレガシーを生かす! 廃棄率1%未満を目指す「ノモの国」 パナソニックがリサイクル/リユースにこだわる理由:大阪・関西万博(2/2 ページ)
10月13日に閉幕する大阪・関西万博だが、パナソニックのパビリオン「ノモの国」では建築物を対象にリサイクル率とリユース率を合わせて、重量ベースで99%以上を目指すという。
廃棄するのは1%未満 さまざまな用途でリサイクル
ノモの国で使用していた照明/スピーカー/ウッドデッキ/監視カメラなど、約30品目180点の設備機器や建材を大林組のオープンラボ3 第II期の建物でリユースする。
さらに、ノモの国の外観演出に使用していたファサードフレームや、ライトアップ演出に使用していた40台の照明、12台のスピーカーなどは、東邦レオ、永山祐子建築設計との協業により、2027年に横浜で開催される国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)のUrban GX Villageエリア内に出展する東邦レオのSTUDIO(仮称)にリユースする。
「ノモの国の建築デザインを担当した永山祐子建築設計が、STUDIOのデザインを手掛けることがきっかけで協業に至った。GREEN×EXPO 2027のコンセプトと、パナソニックグループの使命、ノモの国との親和性が高く、万博のレガシーの1つとしてリユースすることを決めた。モノの継承だけでなく、ノモの国に込めた想いも継承していくことにつながる」と述べた。
加えて、ファサードフレームに使用しているオーガンジーは、端材活用のアイデアイベント「ハザイソン」でも協業した上田安子服飾専門学校が、2026年1月に開催するファッションイベント「第156回 上田学園コレクション2026」の服飾材料として、学生たちが活用する。
その他、応接室と多目的トイレで利用していたトイレ設備のアラウーノは、京都大学へ移設。事務所棟のプレハブやプレハブ内の設備、プロジェクターなどのAV機器などはレンタル品であり、閉幕後に全て返却する。
一方、建築物以外の主な取り組みとしては、「大地エリア」で展示していたバイオセンサリードームの一部を、2025年度に完成予定のパナソニックホールディングス技術部門の西門真新棟に移設し、来訪者向けの展示として活用する。スタッフが着用しているノモの国のユニフォームは、制作会社のチクマが回収してリサイクルを行う。
ノモの国の解体工事は、2026年4月までに完了させる予定だ。
「当初は、これだけ高いリユース/リサイクル率を実現できるのかといった不安もあったが、日々の積み重ねの中で実現可能であると判断した。リサイクルにかかる費用もなるべく抑えている。この挑戦は、パナソニックグループ全体を前進させることにつながり、社会全体を前進させることもできる」とした。
パナソニックグループによると、廃棄する1%未満の材料については、内装に使用している一部の材料や、接合部分などで分別ができないものが含まれるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
大阪・関西万博の「null2」、実はあのPCで動いていた! ヌルヌル動く「計算機自然」の舞台裏
話題を集めている大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「null2」(ヌルヌル)の中で、実はPCが利用されているとの話を耳にした。真偽を確かめるべく、現地に飛んだ。
「ノモの国」でパナソニックグループが次世代の子どもにアピールした理由 「大阪・関西万博」のパビリオン訪問記
ゴールデンウィークに入ってにぎわいを見せている「大阪・関西万博」。今回はパナソニックパビリオンを訪問した。
なぜ初日は混雑したのか? オープン2日目にゆったり「大阪・関西万博」を回ってみた
さまざまな話題を振りまいている「大阪・関西万博」だが、実際はどうなのか。4月13日の開幕翌日の模様をお届けする。
累計来場者数1000万人を突破した大阪・関西万博の「Mirai Meeting」で感じた驚き 実は会場の内外で触れていた日立製作所のテクノロジー
累計来場者数が1000万人を突破した大阪・関西万博。その中で、KDDIと共同展示している日立製作所のパビリオンに訪れた。
上意下達文化からの脱却 危機的状況のパナソニックを打開するために楠見グループCEOが掲げる「啓」から「更」
ポストコロナ時代に入り、業界を取り巻く環境の変化スピードが、1段上がった。そのような中で、IT企業はどのようなかじ取りをしていくのだろうか。各社の責任者に話を聞いた。ここでは、大河原克行氏による経営者インタビュー連載のパナソニック グループ 後編をお届けする。



