「iPhone 17」「iPhone 17 Pro/Max」を比べて分かった進化の方向性 PixelやGalaxyなどとは違う写真の仕上がり(4/6 ページ)
Appleの新型スマートフォンのスタンダードモデル「iPhone 17」と、プロ向けの「iPhone 17 Pro」「iPhone 17 Pro Max」を実機で試して分かった違いを、林信行さんがまとめた
効率的な放熱機構でプロ仕様の性能を実現
ご存知の人も多いだろうが、近年のプロセッサは動作温度によって大きくパフォーマンスが変わる。プロセッサが熱を持ってくると暴走しないように、処理速度は遅いが熱を発しない省電力コアの利用頻率を増やしたり、高効率コアと呼ばれる高性能だが熱が出やすいコアの利用を抑えたりするからだ。
Macなどでは同じプロセッサを搭載しながら、放熱機構の有無で一般向けモデルとProモデルとして仕分けされている。
これと同じ考え方が、ついにiPhoneにも導入された。A19 ProというプロセッサはiPhone Airにも採用しているが、Proの方が高い性能が継続する期待されているのは、単にGPUコアがiPhone Airより1個多い6コアCPU/6コアGPU/16コアNeural Engineの仕様だけではなく、「ベイパーチャンバー(vapor chamber)」と呼ばれるプロセッサの熱を素早く吸収し、それをアルミフレーム全体に拡散(熱拡散)させる機構が本体中央のアルミフレームにレーザー溶接で組み込まれているからだ。
溶接の位置も精密に調整されていて(そのため、iPhone 17 ProとiPhone 17 Pro Maxでは少し位置が異なる)、熱を効率的にチャンバーの外に逃がし、最終的には本体アルミフレーム全体を通して外へ放出する仕組みになっている。
iPhone 17 ProとiPhone 17 Pro Maxは、アルミフレームが露出した部分と、本体カラーのガラスの部分が混在した不思議な2トーンの外観をしているが、これも面積の大きい背面に熱伝導率が低く不快な熱さを感じさせないガラスパーツを手のひらにあたる位置に持ってきて不快さを感じさせないための工夫だろう。
検証すべく長時間の動画を撮ってみたところ、20分ほど動画を撮影したあたりから本体がじんわりと熱くなった。そして熱は予想通りアルミフレーム全体に回り込んでいるのが確認できた。ただし背面ガラスは熱くならない訳ではなく、ほんのりとは暖かくなった。
プロセッサそのものの性能は、利用するアプリや使い方にもよるので、ここではあえて計測しないが、公称値によればCPUコアは2世代前のiPhone 15 Proと比べて20%増なので、そこまで高速にはなっていない。ギリギリ体感できるかくらいだ。
一方でGPUの進化は目覚ましく、iPhone 15 Proとの比較で50%増だが、AI関連の処理を行う際のピークパフォーマンスに関しては2024年モデルのiPhone 16 Proと比べて4倍のパフォーマンスを発揮するという。AI時代に乗り遅れているという批判にさらされることが多いAppleだが、ハードレベルではしっかりとAI時代の到来を予見して、AI的処理の実行において最高の性能を発揮できるように準備をしている。
なお、多くのAI処理において中枢となるNeural Engineも、プロセッサコアそのものの性能はそれほど変化をしていないものの、メモリとデータをやり取りするためのバンド幅が大きくなっている。つまり、1度により多くのデータを見渡して判断ができるように改善されている。
こうした設計の見直しは、今、既に出ているアプリではなく、今後、この仕様に合わせて作られるアプリによって本領を発揮していくことだろう。
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