実売3万円以下で、この描き味! XPPenからの液タブ「Artist 12 3rd」をプロ絵師が試したよ(2/2 ページ)
2025年は小型液タブが豊作の1年でした。それにとどめを刺しそうなモデルが、XPPenの「Artist 12 3rd」です。プロイラストレーターのrefeiaさんに使ってもらいました。
サイズが小さいのは心配? 小型液タブの使いこなし
このように、ディスプレイ仕様も発色性能も、ペン性能までもが上位モデルに近いことが分かりました。ではサイズはどうでしょうか。
本製品は11.9型という、液タブ全体の中で最も小さい部類のモデルです。これでは使いづらく、正確にペンを動かせないのでは? と心配になる気持ちも分かります。
ですが、実際にはiPadは11型で込み入ったイラストが描けることを証明しており、ディスプレイとしては小さめの本製品も、板タブと比べれば同社の「Deco L」、つまりLサイズの板タブと同じぐらいで、むしろ大きい方です。実際に十分な精度で作業ができるのかは、実用パートでチェックしましょう。
また、設定を工夫すると広々と描くことができます。左側は、初期設定に近い状態で、右側はWindowsのタスクバーを自動的に隠す設定を有効にして、CLIP STUDIO PAINTの「タイムライン」「コマンドバー」「キャンバスタブ」を非表示にした例です
もう1つ、小型液タブの使いこなしテクニックを書いておきます。小型モデルでは、ペンの精度に頼った小さなストロークや丁寧な筆運びをすることが多いです。そういう時に気を付けたいのが、カーソルとペン先の位置関係の好みに個人差があることです。
本製品は基本的に問題ない状態で出荷されていますが、使いこなしとして、最初に位置合わせをしておくのをおすすめします。
上のGUIをクリックした後、自分が描くときのペンの持ち方で、指示された場所をタップしていきます。そうすると自分の感覚とカーソル位置がぴったり合って、細かいところや丁寧なストロークが描きやすくなります。位置を試行錯誤しながら数回繰り返せば感触の良いところが見つかるはずです。
実際のお絵描きでチェック
さて、実用チェックしていきましょう。今回はいつもの絵でチェックをして、どの工程も問題ないことを確認してありますが、余勢を駆ってもうちょっとラクガキしていきます。
まずはラフからです。反応が良くて素早くいろいろと試しやすく、弱い筆圧が使いやすいので後の自分のために強弱で情報量を残しやすいです。
小型モデルの心配があるとするなら、線画を正確に描けるかでしょう。これも問題ありませんでした。腕を振って伸び伸びと描くのが無理なのはサイズ的に仕方ないとして、自分の場合はいつも通りに描いて、狭すぎてストロークがうまくいかないと感じることはなかったです。
違和感やもどかしさがあると手が止まりがちになるものですが、実際楽しいのでせっせと髪の毛を描いていけました。
ちまちま描いて時間を使っちゃったので、彩色はシンプルに。筆圧でグラデーションを自在に出せることを確認して完成です。
長時間使っていてもボディーに発熱感もなく、スタンドも剛性があって快適、間違いなく趣味絵を楽しめたものの、たびたび集中が乱れました。なぜかというと、「この違和感のなさで3万円弱かよ……」みたいな気持ちになるからです。
まとめ
それではまとめていきましょう。
Artist 12 3rdは、イラスト入門者に最適な液タブです。Artist 12も3代目になり、スペックや描き味の多くが上位モデルと共通になってきています。
入門機だからといって心配せず、手頃な価格と手軽な使い勝手で、最近の液タブならではの優れた描き味を楽しむことができます。左手デバイスを買い足さなくても、内蔵のボタンやダイヤルで創作をより快適にすることができるのも見逃せないメリットです。
手軽に描く機材としてはiPadなどもありますが、本体もペンも高価で、ポピュラーなCLIP STUDIO PAINTも月額版しか利用できないデメリットがあります。それに対して本製品は、家庭に何らかのPCがあるのなら、iPadなどのタブレット端末より圧倒的に安く済み、買い切り版のCLIP STUDIO PAINTも利用できます。
本製品は、大きな予算を用意しづらい初心者だけではなく、趣味で古い機種を利用していて、費用をかけずに今どきの製品の描き味を楽しみたいユーザーにも最適な1台です。
コンパクトで持ち運びやすいため、ペン付きのモバイルディスプレイのような使い方もできるでしょう。趣味だけでなく、仕事や勉強にも利用機会が多いのは、もともとリーズナブルな本製品の手に取りやすさをさらに底上げします。しっかり創作を学びたい人も、どれほど取り組めるか自信がない人も、逃さずチェックしておくと良いでしょう。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2026年12月31日









