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コラム

香港と深センのPC向けメモリ/ストレージ価格はどうなっている? 日本の状況と比べてみた(2/3 ページ)

昨今、世界的にメモリやストレージの在庫不足と価格高騰が日々深刻化しており、それは日本でも例外ではない。近隣の国/地域ではどうなのか――中国の香港と深センの様子を見に行ってきた。

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深センのメモリ/ストレージ価格はどう?

 MTR東鉄線に乗って新界地区にある羅湖(らこ/ローウー)駅まで移動すると、徒歩で中国本土(Mainland China)にある深センに行ける。深水ホからであれば、おおむね1時間あれば移動できるので、「香港に行ったついでに深センにも行く」という旅程も十分に現実的だ。

 なお、香港は中国の一部だが、本土とは出入境(出入国)管理を分離しているため、外国人が香港と中国本土の行き来する際はパスポート(旅券)が必要だ。

徒歩で深センへ
MTR東鉄線の羅湖駅では、周辺に住んでいる人以外は中国本土(深セン)へと続く出口しか利用できない。そのため「外国人が羅湖駅に行く≒中国本土に渡る」ということになる。この通路を歩いた先には香港の出境窓口があり、出境後また少し歩くと中国本土の入境窓口がある

 ひと言で「深セン市」といっても、かなり市域は広い。電脳街(電気街)があるのは「華強北(かきょうきた/ファーチャンベイ)」と呼ばれる地区だ。羅湖から行く場合、深セン地鉄(地下鉄)1号線に乗って「華強路(かきょうろ/ファーチャンロー)駅」まで行くと分かりやすい。

華強北
羅湖から華強北に行く場合は、深セン地鉄1号線に乗って「華強路駅」を目指すと分かりやすい(写真は地上に出た風景)

 華強北にはいくつものビルがあり、その中にショップ(というかブース)がひしめき合っている。しかし、ビルによって扱っている商品の傾向に大きな差があり、入るビルを間違えるとメモリの“メ”の字も見つけられない

 PC本体やパーツに焦点を絞りたい場合は、「賽格電子市場(SEG Electonics Market)」に行くと効率良くショップを見つけられる。

今回PC系に焦点を絞ると(SEGエレクトロニクスマーケット)は比較的見つけやすいだろう。

賽格電子市場
賽格電子市場の入口
内部
賽格電子市場の中の様子。ショップというよりも“作業場”みたいになっている所もある

 華強北にあるPCパーツショップの多くは、卸売(問屋)としての側面も持っている。そのため、ボリュームディスカウント(大量購入時の割引)を想定して価格表は基本的に掲示していない。もちろん小売(個人向け)店舗もあるのだが、特に小規模店だと価格は店員に聞かないと分からないこともある。

メモリはローカルメーカーが多め 価格変動もそれなりにある

 深センでは、まるで買う気が無さそうでしつこく聞いてくる筆者のような客は嫌がられる傾向にある。そこでメモリモジュールはKingstonのJEDEC準拠のDDR5-5600 16GBに絞って比較する。参考として、ローカルメーカーのモジュールの価格も可能な限り聞いてみた。

 調査から5日ほど期間が経過してしまったこともあり、秋葉原の方が高めに見える点はご容赦願いたい。

メモリ
深センにおけるメモリモジュールの価格
KingBank
深センでは、KingBankのような中国ローカルメーカーのPCパーツも多く店に並ぶ
GALAX
GALAXの「BOOMSTAR 星曜 DDR5-6800 16GB2」は、パッケージに「星耀娘」というGALAXYオリジナルキャラクターをあしらっている。こちらはハイクロックなDDR5-6800ながら、Kingstonのモジュールと近い値段でお得だ(もちろん扱いは苦労するだろうが……)。余談だが、ある店では筆者が日本人と知った店員が「このメーカー(GALAX)、日本でも『玄人志向』から出てるよ!」と教えてくれた(注:玄人志向でGALAX製グラフィックスカードを販売している)。玄人志向は日本限定ブランドなのに、深センで一定の知名度があるようだ
Biwin
「Biwin DW100 24GBx2」は2600元で、市場価格よりも安いという。言われてみると、現在の秋葉原価格を考えたら“アリ”な値段設定だと思う
値上げ
Kingstonの「DDR5-5600 16GB」モジュールは当初1本650元と言われたのだが、改めて調べてみると850元に“値上がり”していたようだ。筆者も、店員と一緒についつい「アイヤー」と漏らしてしまった

SSDも秋葉原では大差なし

 SSDについても定番製品となるKingston NV3の1TBモデルに絞って価格を調査した。参考としてSandisk(旧Western Digital)の「WD Blue SN7100」の価格も入れている。

SSD
深センにおけるSSDの価格
SSD
Kingston NV3のパッケージは、他国のものと異なるデザインとなっている

 NV3の価格は香港とほとんど変わらず、秋葉原C店で特価を継続している関係上、秋葉原の方が安く見えてしまう結果となった。WD Blue SN7100は深センと秋葉原で価格に大きく違いはない。

手頃な価格の店舗は店員も親切な傾向(ただしクセ強)

 筆者は通常、旅行でほとんど言葉を発することがない。しかし、深センではあの広いビル群を時々迷いながらひたすら歩き、そして“気合い”でコミュニケーションを取ることを強いられる。台湾や香港とはひと味違う“動き方”が求められる。ショップ(ブース)で寝ているおじさんがいたり、店員同士が雑談しながらワイワイお茶を飲んでいたりと、店員のクセも強めだ。

 今回も、話している途中で面倒くさそうになって「メイヨーメイヨー」と追い返されたりもしたが、中には親身に相談に乗ってくれるショップもいくつかあった。振り返ると、対応が良いショップは商品価格が安めだった。

 単純に「筆者が他でぼったくられているのでは?」と言われればその通りなのだが、やはりどうせ買うなら、親切で手頃なショップのお世話になりたいところだ。

 読者のみなさんも、ぜひ深センで“推しショップ”を見つけてほしい。

ショップ
メモリとSSDの価格調査で大変お世話なったショップ。親切にいろいろ対応してくれた

まとめ:やはりメモリ不足は世界的な問題

 台湾/香港/深センと3つのエリアと東京・秋葉原におけるメモリ/SSDの実売価格を比較してきたが、この“理不尽”ともいえる価格上昇は日本だけでなく周辺国、そして世界中で同時に発生している

 DDR5メモリについては、どうしても必要な場合を除き、特に大容量モジュールは買い時ではないと感じる。中古市場まで目を向けてみると多少安くなる可能性はあるものの、一部の中古ショップは在庫をある程度キープし、価格がより高くなった時に物を出そうとする動きもあると聞く。このような市場で商品に飛び付くのは、株と同じくリスクが高い。

 アクセス速度を最重要視するのでなければ、一歩引いて既存のDDR4メモリを活用できる自作プランを検討するなど、戦略を変えてみるのも1つの手だ。

 2026年のメモリの価格はどうなってしまうのか――見守りながら過ごしていきたい。

G.Skill
筆者が2025年3月に購入したG.SkillのDDR5-5200 48GBモジュールx2は、当時3万円以下だった。それを考えると、今は本当に時期が悪い……

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