> レビュー 2003年5月28日 11:59 PM 更新

プロの定番高級機をデジタル化「1」の称号を与えられた実力
キヤノン EOS-1D(2/3)


前のページ

 1Dはシャープな絵づくりだ。今回の作例はすべてパラメータを標準のまま撮っているが、ときに明るい作画傾向を感じた。もちろん不自然なわけではなく、ストロボを使わずに夕方でもガンガン撮影できて喜ばしい。


ライバルはやはりD1H、D1X

 スタジオにしてもロケにしても、プロは「1台の1Dだけで撮影に臨む」ということはあまりしない。機械だから壊れたり不具合を生じることもあるからだ。ロケに1台だけ持っていくプロがいたとしたら、彼はプロ意識を問われることになるだろう。

 そうしたリスクヘッジの意味合いとは別に、「現場ではなるべくレンズ交換をしたくない」ということから、スタジオ撮影でも2台用意するカメラマンも多い。キット込みの販売では、チャージャーや電源、専用ソフトがダブってしまうことになるが、やはり1Dはプロ仕様である。スペア用の本体単体販売というラインアップも設けているのだ。

 メインとスペアの2台を購入する場合、価格からするとD1H×2台という選択肢のほうが手頃だ。それでも1Dを選ぶのは、USMレンズの優位性が思案の中で大きく働き掛けるからだろうか。D1H×2台派のカメラマンを私は知らないから勝手なことを申し上げるが……。

 デジタル系の設定変更など使い勝手の面では、ライバルのD1H、D1Xのほうに分があるだろう。撮影後の後工程を考えてもニコンのほうが専用ソフトの出来がいい。しかしEOS-1Dのほうが撮像素子が大きいため、広角レンズを常用する際には圧倒的に有利だ。データ書き込みの速さにもしびれちゃうが、液晶モニタに拡大表示がないのはいただけない。それぐらい、どうして付けられなかったのか疑問……。


EOS-1D前面:EOS-1系のこのデザインは、正直なところをいえば「高級感」を漂わすイメージというよりも「質実剛健」そのもの、という気がする


EOS-1D側面:PCへのデータ移動は、ノートPCならカードリーダー、デスクトップPCならIEEE1394ケーブル

瞬間を切り取れるカメラ

 指を離すことで「実行」される一連のMENUは悪評だ。しかしこれは慣れが解決してくれることなので、目くじらを立てるほどの欠点とは思わない。全体に完成度の高いカメラなので、激動のデジカメ市場の中にあって1年半が経過しようとするが値崩れしないのがすごい。1Dsの登場後もしっかりと自らのポジションを守っている。

 1Dのポジションを危ういものにする機種は、いつ出てくるだろうか。もしかするとキヤノン内部から出てくるかもしれない。1Dと10Dの間が、商品構成としてポケットになってしまっているからだ。もっとも商売上手のキヤノンが、ラインアップの面で愚行を演じることは考えにくいのだけれど。


EOS-1D背面:銀塩カメラの最高級機、EOS-1Vの優れた基本性能と操作性をきっちりと継承。撮影者の意志にクイックに反応するレスポンス性能、視野率100%の高性能ファインダー(見やすい!)などが、デジタルに拒否反応を示しがちな銀塩ファンたちのハートをつかんだ

 とにかくこのカメラがどういうカメラか。一言で要約してしまえば、快感なカメラだ。機動力やAFのキマリ方、シャッターレリーズの降り具合、どれもこれも「快感」だ。私はいま10Dを使っているのだが、1Dの快適度を前にすると、足元にも及ばないことを痛感させられる(本来、比べてはいけない)。10Dを検討しているが、私より潤沢な予算がある、という人は思い切って1Dをゲットするのもオツかもしれない。家にあるものを売り飛ばして1Dを買ってしまうようなコンシューマーはとても好きだ。


EOS-1D軍艦部:機能面で最大のウリはやはり連写スピードだ。デジタルAF一眼レフとして世界最速の約8コマ/秒、連続約21コマを実現

 EF35mmF1.4L USMを付けておけば、室内撮影でもストロボの必要性を感じることなく使い回せるだろう。重さには慣れるがレスポンスの遅さに慣れることはできない。その意味では、堅牢さの中に秘められた1Dのサクサクしたポテンシャルは大枚をはたく価値が十分にあることを約束する。

[島津篤志(電塾会友), ITmedia ]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページ | 2/3 | 次のページ


モバイルショップ

最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
第3世代インテルCoreプロセッサー搭載PC ドスパラはスピード出荷でお届けします!!

最新スペック搭載ゲームパソコン
高性能でゲームが快適なのは
ドスパラゲームパソコンガレリア!