> レビュー 2003年7月7日 05:50 PM 更新

マニュアルコンパクトのフラッグシップ
キヤノン PowerShot G3(3/4)

製品写真
総合評価9
画質9
カメラ性能9
デジタル性能9
デザイン・インタフェース7
機動力8
レイティングポリシー

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 注目すべきは3点ほど。1番目は電源スイッチ。スイッチを左に回すと撮影モードでオン、右に回すと再生モードでオンであり、オフボタンは別に設けられている。これによって撮影モードと再生モードの切り替えが一発でできるし、再生モードでもシャッターボタンの半押しですぐ撮影モードに戻る。そのため特にクイックレビューボタンなどはない。

 2番目はお馴染みとなったFUNCボタン。ISO感度、色効果モード、ブラケット、解像度などのセットを行う。さらに十字キーの上限が露出補正とホワイトバランスに割り当てられており、メニューを出さずにダイレクトに操作可能だ。ただ、ボタンが分散していることもあり、どれがダイレクト操作可能で、どれがメニューの中にあるのかを身体が覚えるまではちょっと戸惑う。もう少しブラッシュアップしてもらえるとうれしい。

 3番目は細かいカスタム設定。ホワイトバランスには2種類のカスタム設定を保存できるので、状況に合わせて使い分けることができる。さらに露出モードやホワイトバランスなどのセッティングの組み合わせを2つまで記録しておける。これはモードダイヤルのC1とC2ですぐ呼び出せるので、とてもありがたい。

 つまり、多少ややこしいところはあるが、ハイエンド機ならではの高機能が実現されているのである。細かいことだが、マニュアルフォーカスでだいたいの位置決めをしたあとでそこを基準にAFをかける機能など、ハイエンド機ならではの小技も効いている。さらに面白いところでは、NDフィルターの内蔵がある。レンズ内にNDフィルターを持っており、これをオンにすると3絞り分、暗くできるのだ。明るいところでスローシャッターを使いたいとき、マクロでストロボをたきたいときなど、意外に使い道はあるのだ。

 そして、忘れてはならないのがバリアングル液晶モニタ。これは横に開いて回転させるタイプで、ハイアングル/ローアングル以外に縦位置でのハイアングル/ローアングルも可能なので、使いこなすと重宝する。


液晶モニタは左に180度開き、180度回転する。横に開けばハイアングルやローアングルの撮影が、90度だけ開いて回転させれば縦位置でのハイアングルやローアングルの撮影ができるのはよい

 再生時も、見やすい角度にモニタを向けてチェックできるし、ヒストグラム表示機能もある。が、再生時の描画がやや遅めなのは残念。特に、縦横検知機能で縦位置で撮った写真は自動的に90度回転して表示されるのは便利なのだが、再生時に縦位置の写真があると表示がワンテンポ遅れてしまう。今後改善して欲しい点である。

もうちょっと軽快感が欲しい

 このようにPowerShot G3は、凝った撮影をしたいハイエンドユーザー向けの機能が詰まっていて、多くのシチュエーションに対応してくれる。三脚をつけてじっくり撮るのもいいし、スナップを撮るのもいい。アクセサリーシューにストロボを付けて凝ったライティングをするのもいい。

 ただ、苦手なシチュエーションもある。まず、全体に動作があまり速くない。起動も含めて、もう少し高速化してほしい。特にAF。AFはかなり正確だが、一発で合うときはいいが、そうでないときはけっこう時間がかかる。特にマクロ時のAFは遅いので、タイミングを逃すことがあるのだ。大きくて重いこともあり、機動力重視の撮影やスポーツ撮影にはあまり向かない。シャッタースピードももうちょっとほしいところだ。最高1/2000秒だが、その際はF4.0以上に開けない。

 そこさえ許容できれば、画質はトップクラスだし、機能は豊富だし、使っていてイライラすることも少ない。ヘンなクセもないし、ボディの質感もある。バリアングル液晶モニタのおかげで無理な姿勢を取らなくても凝ったアングルで撮れる。そういった意味で完成度は非常に高い。フルオートでも撮りたいし、凝った撮影もしたいカメラ好きが買うには最適のデジカメである。ただし、光学ファインダーで撮りたいのなら止めた方がいい。広角側で大きく鏡胴にケラれてしまうからだ。

[荻窪圭, ITmedia ]

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