> レビュー 2003年7月17日 08:23 AM 更新

鳥肌が立つほどの解像力――絵づくりはプロバックに迫る勢い
コダック DCS Pro 14n(2/3)

製品写真
総合評価8
デザイン6
ユーザーインタフェース6
機能6
性能10
バッテリー4
ソフト10
レンズ8
レイティングポリシー

前のページ

個性派のデジタル一眼レフ


 プロ用として位置付けられたデジタル一眼レフは、総じて起動時間が速やかだ。しかし、DCS Pro 14nはこれに当てはまらない。この瞬間に筆者は、14nの用途が報道系やスポーツ系を想定していないことを悟った。さらに、RAW撮影専用機として考えれば、連写速度なども求めるべきではない。14nは、ワンカットに入魂する使い道が正しいのだ。そして、そこから得られる解像力は、他のDSLRを圧倒する凄さだったことを前置きしておきたい。14nの画質は、報道需要の域をはるかに超えてしまっているのだ。

 Fマウントに35ミリフルサイズCMOSの組み合わせとなる14nでは、レンズによっては画像の中に色ムラが生じてしまうケースがある。これを補正するべく、14nにはカメラ側のCPUで各レンズの特性を認識して対処する機能が用意されている。レンズオプティマイゼーションという機能である。これをオートにしておけば、カメラが1〜3のレンズタイプを自動認識で選択し、補正をかけてくれるのだ。

 タイプ1は標準〜望遠系のレンズ。タイプ2は広角レンズ。タイプ3は広角系ズームレンズ。Nikkorの比較的新しいレンズなら、ほとんど網羅されている(対応レンズのリストは、米国KodakのWebサイトに掲載されている)。





DCS Pro 14nの4面写真。ボディの下腹あたりがぽっこりと前にせり出した個性的なフォルムとなっている。ここに当たってしまうため、一部使えないレンズがある。この点には注意が必要だ。

 記録方式は、コダック独自の12ビットRAWファイル形式「DCR(Digital Camera Raw)」、RAWの画像品質を保持したコダック独自の拡張JPEGファイル形式「ERI-JPEG」、および標準JPEGの3タイプで、1枚のカードにRAWとどちらかのJPEGを同時記録することが可能だ。ただし、前置きした通り、14nはRAW撮影専用機と位置付けるのが正しい。14nのデータ記録速度はJPEGよりもRAWのほうが速く、速度的にも画質的にも最大パフォーマンスを得たいのならRAW撮影なのである。このあたり、他のDSLRとは区別する必要がある。

 次ページに掲載した作例も、もちろんRAWファイルで撮影したもののみである。

フルサイズにバリューな価格設定

 35ミリフルサイズで広角に強い14nは、シャープで解像感のある画質を誇る。適した用途は風景写真やスタジオでの商品撮影であろう。

 RAWモードの最高画質で撮影した画像データはファイル容量が約14Mバイト/1枚。この高画素を受け止めるとなると、ストレージはもはや2Gバイト、3Gバイトでは間に合わない状況になっている。5Gバイトぐらいのメモリカードが欲しいところだ。

 コンパクトフラッシュカードよりもSDメモリーカードのほうが処理速度が速いのが一般的な傾向だが、現時点のファームウェアではコンパクトフラッシュの方が速い。このことはコダック自身が公表している。なお、記録画像の書き込み速度は、14nのMENU画面で確認できる。

 インタフェースも個性的、デザインも個性的。多くのユーザーに広く開放されたキャラクターではないが、こだわり派のニコンユーザー、プロバックユーザー、DCS 760ユーザーなどにはこの上なく付き合い甲斐のある1台のはずである。この解像力でこの価格(=ボディ本体約60万円台)は、もちろん高価ではあるのだが、考えようによっては安いと言えるだろう。

[島津篤志(電塾会友), ITmedia ]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページ | 2/3 | 次のページ


モバイルショップ

最新スペック搭載ゲームパソコン
高性能でゲームが快適なのは
ドスパラゲームパソコンガレリア!

最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
第3世代インテルCoreプロセッサー搭載PC ドスパラはスピード出荷でお届けします!!