PCUPdate：ソニーバイオノートZはどこまで“モバイル”として使えるか？

> レビュー		2003年8月4日　05:29 PM 更新

ソニーバイオノートZはどこまで“モバイル”として使えるか？（3/3）

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素晴らしいプログラマブルボタンと微妙なキーボード

　スペック面以外で気になったのは、キーボードやインジケータなどユーザーインタフェース周りだ。

　大量の文字を打つことを仕事にしているだけに、編集者や記者がノートPCで重視するスペックの一つがキーボードだ。

　バイオノートZのキーピッチは18.5ミリで、14.1インチの各種ノートPCに比べると小振りだ。ストロークは2ミリあるが、バネの動きが単調なのかスカスカしたタッチ。底まで押し込んだ時の突き上げが固いため、力を入れてタイピングする人は疲れるかもしれない。

　ただし、モバイルノートPCとしてはかなり上質な部類に入る。バイオノートTRやバイオノート505よりはタッチは確実にいい。

　辛かったのは配置だ。こちらも個人差が大きい部分だが、（1）カーソルキーが独立していないこと、（2）ファンクションキーと数字キーの間にすき間がないこと――は、予想以上にミスタイプの原因になった。またキートップの面積が広いため、正確にキーを押さないと隣のキーに触れてしまう場合があった。特に東芝やIBMのノートPCに慣れた人には辛いかもしれない。

キーの収まりは美しいが、人によっては使い勝手が悪く感じるかもしれない

　一方素晴らしいのは、2個用意されたプログラマブルボタン。［P1］は音量に、［P2］は液晶輝度に割り当てられており、［P1］を1回押すと「消音」、続けて押すとボリュームが変えられる。［P2］の方は、1回押すと「最大輝度」、続けて押すと輝度が調節できる。消音と画面を最も明るくするのはモバイル環境で頻繁に行う操作だけに、ワンタッチで変更できる操作性には好感を覚えた。

　バイオノートZは、所有欲を満足させてくれるデザインの良さが魅力の一つ。しかし各種インジケータについては、機能性に首を傾げたくなる。例えば、HDDのアクセスランプは動作状況を知るためにしばしばチェックするものだが、バイオノートZではスピーカーの網の中に配置されていて見にくい。ランプ自体の輝度も低く、蛍光灯下では手で覆わないと明滅が分からない。また、電源や無線LANのインジケータも見やすいとはいえない。このあたりは再考が必要なのではないだろうか。

HDDのインジケータLEDが光っているのだが、見ても分からない

性能は文句なしだが、やはりサイズが難点？

　モバイル環境で利用するビジネスマシンとしては、バイオノートZは非常に微妙な位置にある。

　性能と14.1インチ高解像度液晶は文句なし。7時間程度のバッテリー動作が可能な12.1インチノートPCと比べると、AC電源なしでの長時間利用には不安が残るが、性能とのトレードオフと考えれば我慢できるレベルだ。

　サイズに関しては少々苦しい。液晶の額縁を狭くしてギリギリまで小さくしているが、喫茶店などだとノートPCだけでテーブルのほとんどを占領してしまう。開いた時の高さも問題だ。今回の試用では試せなかったが、新幹線や飛行機の中では開けない可能性もある。カバンへの収まりを考えると、厚みもなんとかしてほしい。

　モバイルPCとしては12.1インチがちょうどいいサイズなのは分かっているのだが、メインのマシンとして使うには、そろそろ解像度などの面で限界が来ている。一方、14.1インチSXGA+となると、このようにサイズの問題がどうしても生じてしまう。バイオノートZはモバイルユースで十分使えるマシンだが、常時携帯するといったレベルとなると、若干厳しい点があるのも事実だ。

　モバイルノートでしかもメインユースという要求を満たすには、12インチXGAと14.1インチSXGA+との中間サイズのディスプレイを搭載したノートPC（最近このサイズの液晶を見かけなくなったが……）が求められるのではないだろうか。今回のバイオノートZの感触は、決して悪いものではなかった。パフォーマンスには満足できた。だがその結果、筆者はどうすべきかさらに悩んでしまった。そんな筆者が一発で飛びつけるような、“ちょうどいいサイズ”のマシンの登場に、ぜひとも期待したいものだ。

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