ソフトによる差別化1
ソフトこそがノートPC差別化の鍵、東芝のソフト開発体制(1/2)

企業向けのPCでは、ビジネスの現場における細かな使い勝手の違いが、企業全体の効率に影響する。無駄な時間を排除するには、優れたソフトウェア技術が必要だ。東芝のソフトに対する取り組みの姿勢を聞いた。

 ハードウェアスペックによる差別化が難しくなってきている昨今、PC業界では品質や使いやすさなど、カタログだけではわかりにくい感覚的な部分での差別化しか行えなくなってきているのが現状だ。しかし、大量導入を前提とした企業向けのPCでは、そうした部分でさえ差別化は困難になってきている。

 そうした中で、企業向けPCベンダー各社が力を入れているのが、ユーティリティやミドルウェアによる差別化だ。より使いやすく、メンテナンスコストを下げ、ネットワークへの接続性を向上させる。ところが、これがあまり簡単な話ではない。

 たとえばワイヤレスネットワーク。ワイヤレスで通信が行える便利さは説明するまでもないが、ケーブルが存在しないが故に、思ったように繋がってくれない場合も出てくる。目に見えないワイヤレスのネットワークを、視覚的に見えればどんなにかトラブルが減ることだろう。

 企業向けのPCでは、ビジネスの現場における細かな使い勝手の違いが、企業全体の効率に影響する場合がある。あらゆる部分での無駄な時間を排除するには、優れたソフトウェア技術が必要だ。


ソフトウェア第二部・部長の豊田俊夫氏


ソフトウェア第二部・第七担当・グループ長の岩井仁史氏


ソフトウェア第二部・第六担当・主務の見原 秀和氏(IPSec・IEEE802.1xとMobile IP技術をもとにした「SeamlessOffice」を担当)

Dynabookを陰で支える青梅事業所のソフトウェア開発チーム

 東芝のノートPCを設計・開発している青梅事業所のデジタルメディア開発センターには、自社製PC向けのソフトウェアを開発する専門部署が存在する。Windows 2000、XP、XP Media Center Edition、XP Tablet PC EditionそれにWindows CEなどのWindowsプラットフォーム全般はもちろん、Linuxベースのアプライアンスサーバまでをカバーする規模だ。

 そこでは独自開発のデバイスドライバから電源管理、AVソフトウェア、ネットワーク、独自Bluetoothスタックまで、幅広いソフトウェアを自社内で開発、またサードベンダー性ソフトウェアの評価を行う体制を持つ。

 アジア、北米、欧州、オーストラリアなどにも、ソフトウェア部門のブランチがあり、青梅で基本形を作り、それを各国の言語や顧客に合わせたカスタマイズ、ローカライズが行われている。また、シアトルには技術者が常駐し、新しいアーキテクチャのPCへの実装をマイクロソフトと共同で行っているのも東芝の特徴だ。

 PCに内蔵、バンドルされるソフトウェアの中でも、ハードウェア機能に直接関わる部分は、品質、特に高い信頼性を求められるが、東芝はここに日本企業ならではの品質改善モデルを導入。工場における製品品質の向上、改善運動、いわゆる80年代の日本企業躍進を支えたQC活動にも似た品質改善モデルを、ソフトウェア開発の中にシステマチックに組み込んでいるのが特徴である。

 ソフトウェアの開発、テスト、出荷といった行程を、完全にシステマチックに行うことは、なかなか難しい。しかし、東芝・青梅事業所では仕様検討、開発、評価などの各段階で、徹底した社内審査を行うことで、品質の低いソフトウェアが開発されることを防いでいるという。ソフトウェアのリリース後も、顧客からのフィードバックが直接品質改善プログラムの中に反映され、繰り返し品質を高めていくシステムだ。


ソフトウェア第二部・第二担当・主務の坂本圭氏

[本田雅一, ITmedia ]

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