「インアプリPRを制する者が、iPhoneアプリを制す」 CRI・ミドルウェアの考えるアプリ販促戦略(1/2 ページ)
App Storeのランキングに入らなければ、存在すら認められない――。そんなiPhoneアプリの状況に対してCRI・ミドルウェアの幅氏は「インアプリPR」の重要性を説く。同社の開発したインアプリPRを効率的に管理するミドルウェアとは?
日々大量のアプリが追加され、すでに登録アプリが7万5000本を超えているAppleのApp Store。アプリがより多くユーザーの目に触れられるよう、AppleはiPhone OS 3.1にアプリ版のGenius(ユーザーの興味を予想して商品をレコメンドする機能)を追加したが、一方でアプリベンダーは、“自社アプリ内で、ほかの自社アプリをPR”する「インアプリPR」で、効果的な販促を図ろうとしている――。
9月14日、アップルストア銀座で行われた、IGDA日本(国際ゲーム開発者協会日本)主催のiPhoneアプリ開発者向けセミナーに、CRI・ミドルウェアの幅朝徳氏が登壇した。iPhone & SmartPhone推進室長を務める同氏は、ゲーム企業のiPhoneアプリに対する期待や不安を同社の調査結果から紹介したほか、インアプリPRを効率的に行うためのミドルウェア「CLOUDIA(クラウディア)」を発表した。
“ゲーム業界の永世中立国”が感じる、iPhoneエコシステムの魅力と課題
CRI・ミドルウェアは映像や音声、ファイル圧縮などに関するミドルウェアを中心に製品を展開している企業だ。多くのゲームメーカーが同社の製品を利用しており、幅氏は自社を「特定のプラットフォームやコンテンツプロバイダーに限定せず製品を提供する、ゲーム業界の永世中立国のような存在」と説明する。
そんな同社が、2009年2月〜3月にかけてゲーム開発者を対象に実施したiPhone/iPod touchアプリ開発に関する調査では、ゲーム開発者の9割以上がiPhone/iPod touchアプリ開発に興味を持っているという結果が得られた。また、全体の34パーセントはすでにiPhoneアプリの開発実績があり、開発を予定する開発者も38パーセント存在した。さらに幅氏は、「同じ調査を今すれば、9割に近いところまで参入の動きが見られるのではないか」と、iPhoneアプリに対する関心の高まりを予想する。
同調査では、iPhoneの魅力としてタッチパネルや加速度センサーといったデバイス面を挙げる開発者が多く、開発の際にはMacでの開発や情報ソースの少なさを課題と捉える傾向が見られた。
ビジネス面では、ワールドワイドな市場規模の大きさや購入の手軽さなどに期待が集まる一方で、国内市場の規模や、膨大アプリが存在する中で販売予測が難しいことなどがベンダーを悩ませていることが浮き彫りに。「App Storeのランキングに載らなければ、アプリの存在すら認められない」――そんな声を、幅氏は多くのゲームクリエイターから聞いたという。
さらに幅氏は、ユーザーが必ずしもiTunesやApp Storeを“使いこなす”とは限らないことを強調する。同社は、「iPhone 3GS」を社員全員に配布しているが、「社員はITリテラシーの高い方に属する」にも関わらず「『iPhoneをPCに接続したことがない』という社員もいる」のだという。「現在のApp Store上でコンテンツプロバイダーがブランドを構築するのは難しい」というのが、幅氏の率直な考えだ。
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