1.2Gbpsの「LTE-A」から“ツイートする木”まで――技術力を披露するEricsson:Mobile World Congress 2010(1/2 ページ)
MWCでEricssonは、LTEやHSPAの紹介に加え、1.2Gbps近くの通信速度を実現する「LTE-Advanced」のデモを披露するなど技術力をアピール。センサーを使って周囲の状況に応じてつぶやく“オレンジの木”など、無線技術以外の取り組みも紹介された。
スペイン・バルセロナで開催している「Mobile World Congress 2010」で、通信機器最大手のEricssonは巨大なブースを構え、最新技術を展示した。
目玉は「LTE-Advanced」のデモンストレーション。LTE-Advancedは、LTEを発展させた第4世代の通信規格として3GPPで標準化が進んでいる。今回は急遽デモが決定したため、本社のあるスウェーデンに設置したシステムでのデモをライブ中継した。システムは同社の商用LTEハードウェアを利用し、4×4 MIMOとマルチキャリア技術を組み合わせている。各キャリア20MHzで搬送波は80MHz幅。64QAM変調で1191Mbps(1.19Gbps)という通信速度を実現していた。
LTEのデモでは、すでに商用提供されているSamsung製やQualcomm製などのLTE用USB接続型端末をPCにつなぎ、10MHz帯を利用して最大約40.9Mbpsの通信速度を実現。平均20〜30Mbpsの速度で、100Mバイトのファイルを5〜6秒で転送できることが示された。EricssonはTeliaSoneraと2009年12月に商用のLTEサービスを開始しており、ストックホルムには約300のLTE基地局が設置されているという。
また、Ericssonは世界初となるLTEモジュールを開発しており、Dellや東芝などから同モジュールを搭載したPCが7月頃に発売される予定という。スマートフォンへの対応は2011年頃を見込む。
HSPAの紹介エリアでは、世界最速という下り最大84Mbpsを実現する無線通信のデモを行っていた。マルチキャリア(2波)とMIMOと64QAM、またはマルチキャリア(4波)と64QAMを利用することで84Mbpsの高速通信に対応する。北欧の通信キャリアである「3」がデンマークとスウェーデンで84Mbpsの提供を決定しており、2011年に商用サービスを開始することになっているという。
紹介エリアではこのほか、下り最大21MbpsのHSPA+モジュールを搭載したPCなど、HSPAモジュールを組み込んだ端末が展示されていた。Dell、Lenovo、東芝といったメーカーがHSPAモジュールを搭載したPCを開発しているという。
さらにHSPAの通信速度に関してブースの説明員は「現在主流の7Mbpsから21Mbpsへのシフトが起こっている」と話す。現在、21Mbps対応の商用サービスを提供しているネットワークは40以上あり、このうち28のネットワークがEricssonの機器を利用しているという。21Mbpsの対応端末も選択肢が増えてきており、「2011年には21Mbpsがメインの市場になる」とみているようだ。さらに、最大42Mbpsのサービスも商用利用が可能になっており、世界の通信キャリアがサービスインに向けた準備をすすめているほか、2011年には最大84Mbpsの商用利用が実現すると見込まれている。
こうした通信の高速化にあたってはバックホールの対応が課題となるが、その解決策として注目されているマイクロ波伝送ソリューション「MINI-Link」も展示されていた。MINI-Linkは、固定網の代わりにマイクロ波を利用して基地局間の接続を実現するもので、70〜80GHzの帯域を利用し最大2.5Gbpsの伝送速度に対応する。通信可能な区間は約3キロ程度という。
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