“EI=M2C”が方程式――韓国KTが考える、スマホ時代のマシン間通信:Mobile IT Asia(2/2 ページ)
近年注目を集める、携帯電話のネットワークを利用した機械間通信(M2M)。日本でも自動販売機やデジタルサイネージなど、さまざまな場面で普及が進んでいる。韓国の通信大手KTのハン・ウォンシック氏はMobile IT Asiaで、スマートフォン時代におけるM2Mへの取り組み事例を紹介した。
特に注力する、自動車関連サービス
サービス分野では、SMCT Taxicallを含め、自動車関連のサービスに特に注力している。ヒュンダイ自動車向けには、各種テレマティクスサービスを提供。KTの3Gモジュール内蔵のカーナビを使って、運転者が持っているスマートフォンと連携してドアロックやエンジン始動を行ったり、自動車の状態を自動的に送信し、それに応じたメンテナンス情報を受け取る、といったサービスが行われている。まさしく、ネットワークでさまざまなものを結んでいる事例だ。
「スマートカー」サービスでは、3Gモジュールを搭載したカーナビを利用して走行距離に応じて料金を支払うタイプの自動車保険が提供されている。日本にも、同様の自動車保険はあるが、あくまで走行距離は自己申告だ。トラッキングすることによって自動的に料金を変える動的な自動車保険というのは興味深い。GPSを利用した貨物トラックの追跡サービスや、バスロケーションシステムと言った、日本でもおなじみのM2Mソリューションも提供している。
ユーティリティ、商業、エレクトロニクスなど、応用分野は多数
ユーティリティ分野も、力を入れている分野だ。従来から取り組んでいる「スマートメーター」をはじめとするテレメトリング(通信を使った使用量計測の自動化)に加え、家電などをネットワークを介して制御するファシリティ(家電)コントロールと、福祉分野での活用に注力する。ファシリティコントロールは、3Gだけではなく、WiMAXやLTE、屋内の電気配線を利用する「PLC」、家電制御を想定した無線通信規格である「ZigBee」など、多様なネットワークを想定したソリューションを開発しているそうだ。福祉分野では、子ども、高齢者や障害者に通信モジュールを内蔵したデバイスを持たせて居場所や歩行履歴を把握したり、場合によっては緊急通報ができるようにすることを想定して開発を進めている。
商業分野では、従来から進めてきたモバイル決済システムに加えて、NFCを利用した非接触決済サービス「PayOn」にも注力する。ユーザーはNFC内蔵のスマートフォンを持っていれば、アプリを追加するだけで利用できる。特に、タクシーや荷物の宅配サービスにおける決済で使われることを想定している。セキュリティにおいては、M2Mの利点を活かして、設置が簡単で高額な機器が不要でコストが安い監視カメラソリューション「Cloud CCTV」を提案している。自社の「KT Cloud」を活用しており、顔認証システムなど、他のセキュリティシステムとの組み合わせも容易だという。
エレクトロニクス分野では、子供用に「Kibot 2」と呼ばれる「子どもの世話をする」ロボットを開発した。1万個以上の教育用コンテンツを内蔵し、内蔵プロジェクターで家の壁などに映し出すことができるようになっている。音声・触感センサーも内蔵していて、子どもの仕草などに合わせてさまざまなアクションをする。日本でも普及が進んできたデジタルサイネージも場所に合わせたものを色々開発して設置を進めているという。AR(拡張現実)技術もM2Mソリューションとの関連を持たせられるものとして、開発を進めている。
今後の成長分野として医療にも注力
KTが今後成長が期待でき、自動車分野やユーティリティ分野に並ぶ主力になるとして、力を入れているのが医療分野だ。高齢者向けにリストバンド状のデバイスを与える。そのデバイスには血圧センサーや脈拍などを測るセンサーを内蔵し、異常を感知すると自動通報をするシステムとなっている。ユーティリティー分野の一部を発展させたものとなっている。
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