“クルマ選びの楽しさ”訴求で売れ行きアップ――iPad活用の中古車販売店「WOW!TOWN」の企み:自動車不況を吹き飛ばせ(1/2 ページ)
中古車販売店の常識を覆すアプローチで、販売台数を伸ばしているのがガリバーの「WOW!TOWN」。来店者のガイド役を務めるiPadは、実は重要なミッションを担っている。
そこには、中古車販売店の常識を覆す光景が広がっている。
広々とした展示スペースには、車種もメーカーもバラバラな色とりどりのクルマが並ぶ。車窓に大きな値札は見あたらず、クルマのドアは開け放たれて「乗ってください」と言わんばかりだ。店頭から放射状に伸びる線で区切られた5つの展示スペースは「FAMILY」「ACTIVE」「FASHION」「ECO&ECO」「DRIVING PLEASURE」と名付けられ、車種や年式、スペックではなく、自分が思い描く利用シーンからクルマを探せるようになっている――。
ここは、ガリバーインターナショナルが7月14日にオープンした「WOW!TOWN」(ワオタウン)。“日々の生活を楽しくする車選び”をコンセプトに据えた、新しいタイプの中古車展示販売店だ。スペックや値段で車を選ぶのではなく、利用シーンや使い方から選べるようにしているのが特徴で、車に詳しくない人やファミリー層が気軽に来店できるよう工夫をこらしている。
そんなWOW!TOWNで、来店者の車選びを手伝ってくれるのがAppleのiPadだ。受付を済ませるとiPadが貸し出され、画面に表示される質問に答えていくと、自分に合った展示スペースが分かる。展示スペースで気に入ったクルマが見つかったら、窓に張られている値札付きのQRコードにiPadのカメラをかざせば、車の年式や型式、走行距離、スペック、写真データなどの詳細情報を確認できる。
気に入ったクルマの情報はチェックを入れておけば、あとから店内のカフェスペースでiPadを使ってじっくり見比べることができるほか、ガリバーの中古車販売用データベース「ドルフィネット」を通じて、選んだクルマの別のカラーバリエーションを見たり、似たタイプのほかのクルマを探したりすることが可能だ。
こうした中古車販売の新たなプレゼンテーションは注目を集め、ガリバーインターナショナル クラウドプロジェクトリーダーの椛田泰行氏によれば、来店者は当初の予想を上回る数に達したという。販売台数も「企画の段階で期待していた台数をはるかに上回っている。過小評価していた」(椛田氏)と、絶好調だ。
「“クルマ選びは楽しい”と思ってもらえる場所があれば、これまで中古車に興味がなかったファミリー層や若者、カップルにも足を運んでもらえる。実際、WOW!TOWNの来店者層は、こうした方々が多い」(同)
車窓に大きな値札を貼らない理由
この展示場で目を引くのが、中古車販売店でおなじみの「フロントガラスのプライスカード”がない点だ。これは、「クルマを選ぶときに先入観なしに見てほしいという思いがあるため」だと椛田氏。具体的な情報を表示してしまうと、買い手自身が選択肢を狭めてしまうことがあるといい、「まずは直感でピックアップしてほしい」と話す。
実際、WOW!TOWNでは、「外車は高いから買えない」と思いこんでいた人が、実際には手が届く値段であることが分かって購入に至るケースもあり、「統計を取ると、外車がよく売れていることが分かる」(椛田氏)という。ガリバーの新たな販売スタイルは、クルマ選びの幅を広げるのにも成功しているようだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.