人気メッセンジャーアプリ「WhatsApp」はプライバシーを侵害――カナダとオランダの規制当局が見解
「WhatsApp」が、プライバシー関連法に抵触するという見解をカナダとオランダの規制当局が示している。ユーザーのアドレス帳へのアクセス方法とデータ保存に問題があると見ているようだ。
人気のモバイル向けメッセンジャーアプリ「WhatsApp」が、プライバシー関連法に抵触するという見解をカナダとオランダの規制当局が示している。ユーザーのアドレス帳へのアクセス方法とデータ保存に問題があると見ているようだ。WhatsAppはすでに、調査の過程で一部に改善を行っている。
WhatsAppは米WhatsAppが開発する無料のモバイル向けメッセンジャーアプリ。iPhone、Androind、Windows Phone、BlackBerry、Symbianなどに対応し、データ通信を利用してメッセージを送受信する。無料で使えることから、通信キャリアの課金対象となっているSMSの代わりに使われることが多く、1日10億件以上のメッセージが送受信されているという。
カナダのデータ保護当局となるカナダ連邦プライバシーコミッショナー事務局(OPC)、オランダのデータ保護機構(CBP)は1月28日、WhatsAppによる個人情報の扱いに関する共同調査の結果を発表。当局らは以下のような点を挙げ、WhatsAppがプライバシーを侵害している、とまとめている。
- WhatsAppはユーザーが一度同意すると、そのユーザーのアドレス帳からWhatsAppのユーザーと非ユーザーを含む全ての電話番号情報を収集し、維持する。
- 調査開始時、WhatsAppメッセンジャーを利用して送信されたメッセージは暗号化されておらず、傍受される危険性があった。2012年9月、WhatsAppは当局らの調査に部分的に応じる形で暗号化の仕組みを導入した。
OPCとCBPは、WhatsAppは調査に協力しており、ユーザーの個人情報保護のため一部変更を加えたことを認めている。しかし、アドレス帳へのアクセスを拒否した場合、ユーザーはアプリを利用できないことから「選択肢を提供していない」と問題を指摘し、「まだ完全に満足していない」と記している。
OBPとCBPは共同で調査を行った後、自国の規制に照らし合わせて別々の調査レポートを作成した。今後、CBPでは、WhatsAppの改善作業などの経過を見守った後に、さらなる対策を講じるかを決定するとしている。オランダのプライバシー保護法の場合、違反が認められると罰金の可能性もあるという。OPCもWhatsAppの改善作業をモニタリングするが、OPCには罰金などを下す権限はない。
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