LTE導入でデータ料金プランが下がった国は7割以上――ABI Research調べ:調査リポート
ABI Researchのアナリストは「LTE導入を契機に、サービスからの売上を伸ばすべき」と、値下げ傾向にあることを懸念している。
ABI Researchによると、高速モバイル通信を可能にするLTEサービスがスタートしている国のうち、7割以上でデータ料金プランが実質的に値下がりしているという。「LTE導入を契機に、サービスからの売上を伸ばすべき」と同社アナリストは値下げの動きに懸念を示している。
ABI ResearchがモバイルARPU調査の一環として、LTEを開始しているキャリアのモバイルデータ料金プランを調べ、「Mobile Data Price Tracker」にまとめた。
2012年第2四半期から第4四半期の各社のデータ料金プランを調べたところ、LTEがスタートしている国の中でギガビットあたりの通信料金が下がっている国は約73%にも及んだという。第2四半期と第4四半期を比較した下げ率は平均30%となり、6カ月で30%の値下げが行われたことになる。同社が調査した中で最も料金が低かったインドでは、第4四半期の料金プランは前年同期比と比べて29.4%も下がったという。これまでの最安値はシンガポールだったが、シンガポールでは料金はそのままにデータ通信料の上限が下がったと報告している。逆に最も高かったのはアラブ首長国連邦で、上限5ギガバイトで月額67.8ドルという設定になっている。
傾向としては、(1)料金は同じでデータ量の上限を上げる(2)データ量の上限は同じにして料金を下げる の2種類があり、前者の例として米国を、後者の例として日本、オーストラリアなどを挙げている。
LTEは周波数帯の利用効率に優れた技術ではあるが、ABI Researchではこのような値下げトレンドに懸念を見せている。「多数のオペレータが3Gと同じ、あるいは低い料金プランを導入したことを懸念している」と同社フォーキャスト担当ジェイク・サンダーズ(Jake Saunders)氏はコメントしている。「LTEの導入を機にサービスからの売上アップを図ることが大切」と助言し、複数のモバイル端末でデータ料金を共有できる“データ共有プラン”を米国で初めて導入し、加入者増とサービス売上げの増加に貢献したVerizon Wirelessの例を挙げている。
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