市場を席巻するLINEやKakao Talk、通信キャリアの機会損失は5年で30億ドルに:調査リポート
調査会社Strategy Analyticsは、OTTサービスによる通信キャリアの機会損失は2012年から5年で30億ドル以上になると予測しているが、OTT優勢が続くとは限らないとも分析している。
Lineやカカオトークに代表されるモバイル端末向けOTT(Over the Top)メッセージサービスが市場を席巻している。調査会社Strategy Analyticsは、OTTサービスによる通信キャリアの機会損失は2012年から5年で30億ドル以上になると予測しているが、OTTサービスの勢いが続くとは限らないとも分析している。
Strategy Analyticsが発表した最新のレポート「A LINE in the sand: How KakaoTalk and others messaging apps are destroying revenue」によると、日本で生まれたLINEをはじめ、「Kakao Talk」(韓国)、「WeChat」(中国)、「TicToc Plus」(韓国)など、主としてアジア太平洋地域でメッセージアプリが人気を集めているという。
これらのOTTサービスでは、スマートフォンのプラットフォームやキャリアを超えてメンバー間でメッセージを送受信することができ、その利便性の高さから、LINEは1億人超、WeChatは3億人超のユーザーを擁している。アプリは無料で配布されており、まずは多くのユーザーを集め、スタンプなどのバーチャルグッズやアイテムの有料販売で収益を得るというビジネスモデルをとっている。Strategy Analyticsによると、2012年から2017年にかけて、OTTメッセージアプリによる通信キャリアのメッセージ市場の収益損失は、30億ドルを上回るという。
しかしStrategy Analyticsでは、アジア発OTTメッセージサービスが世界での成功を確約されているわけではないとみている。理由の1つとして、アジア太平洋地域以外では、こうしたバーチャルグッズのビジネスモデルがマス市場に受け入れられるかどうかが分からないという点を挙げている。収益化が軌道に乗らないために、最終的には大企業に買収されたり、経営難に陥るサービスも出てくる可能性があると同社は見ている。
同時に、これらのメッセージングサービスがFacebookなどのSNSと競合するようになることは、通信キャリアが展開するIMSベースのRCS(Rich Communication Suite)「Joyn」の追い風になるとも分析している。RCSは通信キャリアが通話を超えたコミュニケーションサービスを提供するための標準技術で、電話側に直接チャットやプレゼンスなどのリッチコミュニケーション技術を組み込むため、ユーザーは別途サービスに加入する必要はない。欧州や韓国などの通信キャリアが徐々に実装を開始している。「広告収益を必要としないJoynは、メッセージアプリを超えてサードパーティアプリの開発者を引きつけるプラットフォームになる可能性がある」とし、そのためには、堅牢なAPIと開発者の支持が必要だと分析している。
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