関電が8月と9月の需給見通しを発表、原発再稼働でも他社頼み:電力供給サービス
関西電力が8月と9月の需給見通しを発表した。5月の発表では8月の最大需要電力を2987万kWと予測し、最大供給電力を2542万kWとしていたが、大飯原子力発電所の再稼働でどれほど供給力を上積みできたのだろうか。
関西電力は8月と9月の供給力見通しの値を明らかにした。大飯原子力発電所3、4号機の再稼働で原子力と揚水型水力による供給力を大きく上積みできたが、関西電力は他社からの融通が不足したら供給力不足に陥る可能性が高いと見ているようだ。
5月に関西電力が立てた予想によると、8月の最大需要電力は2987万kWで、9月の最大需要電力は2902万kW。それに対して5月当時の状況では最大供給電力は2542万kWにとどまり、深刻な供給量不足に陥るとしていた。
その後、7月に大飯原子力発電所3、4号機を再稼働させたことにより、最大供給電力は大幅に上がった。5月発表値と、今回明らかになった8月見通し、9月見通しを比べたのが図1だ。
5月発表値と比べると、最大供給電力が原発再稼働により最大供給電力が236万kW上昇したほか、原発の深夜電力が利用可能になったことによって揚水型水力発電所による供給力が209万kW増加した。しかし、8月見通しの合計値を見ると2988万kW。5月に関西電力が予想した最大需要電力値である2987万kWをわずかに1万kW上回るだけだ。
9月の供給力見通しを見ると、火力の出力増と他社からの融通が増加して3108万kWとなっている。先に述べたように、9月の最大需要電力の予想値は2902万kWだ。
こうして8月、9月の供給力見通しを見ると、他社からの融通電力を計算に入れないと供給量不足であることが分かる。つまり原発が再稼働しても、関西電力の電力供給量は他社頼みということだ。
関西電力に電力を融通している中部電力、北陸電力、中国電力の各社管内では、大飯原発4号機の再稼働に伴い、節電目標値が解除となっている。これら3社の管内で電力需要が逼迫し、関西電力に融通できないという事態に陥る可能性も残っている。今夏、西日本ではまだまだ厳しい節電を強いられることになりそうだ。
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